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エコプラス30周年イベントに100人近くが参加

直接対面とオンラインのハイブリッド方式で

 エコプラスの活動開始30年を記念する特別イベント「知恵と体験の大バザール」を、2022年11月19日午後に開催しました。東京都渋谷区の東京ウィメンズプラザのホールには、約70人、オンラインでは30人近くが参加しました。

 写真やビデオで30年間の活動をふり返ったあと、それぞれ数人づつに分かれての交流会。現場のホールで、数人づつになって対話を重ねました。オンラインでも同じように分科会に分かれて近況報告などを行いました。

 スイスや米西海岸、オーストラリア、さらにアフリカからもオンラインで参加して、それぞれがエコプラスとの出会いやその後の関係などを語り合いました。

 第2部は、リアル2つ、オンライン1つの3ブースに分かれての、それぞれの活動報告。4回に分けて、全部で12人が、いま取り組んでいること、考えていることなどを発表しました。

エコプラス30周年記念「 知恵と体験の大バザール」詳報

11月19日に東京ウィメンズプラザで開催

 エコプラスが活動を開始したのは1992年。任意団体のエコクラブとして出発し、2003年に特定非営利活動法人ECOPLUSとなった30年間の活動に関わった人たちが一堂に会して交流します。

 環境教育の専門家、持続可能な農業に挑む人、国内外で活躍するビジネスパーソン、地域で新しい暮らしを築こうとする人など、多種多様な仲間が、エコプラスには集まっています。

 そうした仲間が、 エコプラスのテーマ「人・自然・異文化」を軸に、それぞれの知見・体験をもちより、自らのチャレンジを紹介し、交流し合える「バザール」です。

 現時点で下記のみなさんから、発表いただくことを表明いただいています(一部はオンラインでの発表)。これからもさらに増える予定です。どのテーマも魅力的で大変興味深いです。ぜひみなさまも大バザールにご参加ください!!

<当日の発表者とテーマ(予定)>※50音順
  • 浦邉藻琴さん(エコプラスの南魚沼での活動に参加・取材) 「なぜ“リモートじゃダメ”なのか?」

 2児と過ごしつつTV番組を作っています。「何で?」が口癖です。ドキュメンタリー取材の際、私はリモート技術が普及してからも必ず相手に会いに行きます。それは “リモートじゃダメ”だと感じるからです。では何が“ダメ”なのか?言葉にしにくいこの違和感。しかし私は、合理化が進む現代を生きる上でとても大切な感覚だと信じています。簡単な実験や議論から、一緒に違和感の正体を考えてみませんか?

  • 江﨑淳一さん(南魚沼での活動や国際シンポジウムに参加)「エコプラスとの関わりとSDGs教育」

 小学校教員15年目?総合的な学習の時間が好きです。子ども達に里山の良さを伝えようと栃窪集落でいただいたお米を育てたり,清水集落でいただいた原木なめこの原木を教室に持ち帰り,コマうち体験をしたりしました。今回は,そんなエコプラスとの関わりをお話します。また,子ども達が学んだことの作文を読み,歌っている映像があるので見て頂ければと思います。

  • 川上真理子さん(ヤップ島や南魚沼での活動に参加):「池田町の暮らし実践(副題:地方と都市or古民家or食)」

 早稲田大学卒業(2022.3)。高野ゼミでご縁のあった福井県今立郡池田町に移住。人口約2,300、町の9割が森の農山村。そんな町で暮らすとは、一体どういうことか。首都圏にいた頃とはまるで異文化でした。池田町に残ってる景色、暮らしの姿について、地方と都市の関係性のこと、古民家改修のこと、食べ物のこと…トピックでみていきます。

  • 酒井富美さん(エコプラスにスタッフとして関わる)「地域(旧伊南村)での今の暮らし」

 福島県南会津郡南会津町(旧伊南村)で稼業(民宿業)を営みながら、現在地元の小学校で講師として働いています。今の伊南地域での課題「急速に進む少子高齢化、過疎化」20年前は100人余りだった地元の小学校全校生は今30人余りになったことや、ちょうど息子が高校進学になるタイミングで「地元の高校統廃合」で村を(15歳で)離れる子どもたちが増えていくこと。

 大変なことをあげたらきりがないけれど、同居している92歳のじいちゃんや87歳のばあちゃんの生きる知恵を学びつつ・・・この村での暮らしの大変さも楽しさもちょっぴり身に染みてわかるようになったことなど。

  • 陶山佳久さん(ヤップ島プログラムにスタッフとして参加、エコプラス副代表理事)「DNA分析技術を自然保護のために活かす:森林分子生態学者としての研究」

 東北大学大学院農学研究科教授。いつか自然を守るために貢献したいと思い続けていました。その夢が叶い、今は研究者の立場から、専門としているDNA分析技術を活用して、世界・日本・地域に残された生物の生態と多様性を理解し、その豊かさと共生する次世代を目指した研究を行っている話をします。

  • 高野義寛さん(1994年ヤップ島プログラム参加)「脱炭素牛肉を巡る珍騒動」

 メルボルンで単身赴任中。温暖化ガス排出要因の上位を占める、牛のげっぷに含まれるメタンガス。“牛”大国のNZや豪州は頭が痛い。そんな中豪州近郊で生息する、ある海苔を牛に食べさせると90%ほど排出ガス削減できるとの論文が発表されたことで巻き起こっている、ビジネス・政府・NGOの間の急速な展開について。

  • 高橋佐和子さん(エコプラスを支援する企業の広報担当、国際シンポジウムなどに参加)「地域から世界へ:バリ島の独自性と多様性」

 東京を離れバリ島で10年余、「住めば都」を実感する日々です。観光地として常に世界ランキング上位に入るバリ島には多くの人を惹きつける自然、文化、信仰があります。また、開発による自然破壊、貧困、観光業への依存など、問題が山積していますが、「閉塞感」という言葉を耳にすることはありません。ここで育った若者が小さな活動を世界に広げていく事例などを紹介し、バリの魅力を伝えます。

  • 當銘朋恵さん(ヤップ島プログラム参加)「南の島の星と民話と暮らしの話」

 沖縄石垣島のパイン農家です。学童クラブ支援員や星ガイド、ネイチャーゲームインストラクターもしています。日本の南端、沖縄県八重山諸島の島々にはたくさんの星にまつわる民話や歌があり、昔から星と共に生きてきた先人たちの豊かな知恵と暮らしと自然の様子が描かれています。南の島の暮らしと共に、星と人と自然の物語をスマムニ(島言葉)を交えてお話したいと思います。

  • 村上由美さん(国際シンポジウム参加など)「世田谷区で子ども食堂の活動をして感じていること」

 子ども食堂を2か所で開催している。2015年当時、子育てと両親の介護をしていた私は知り合いから声を掛けられて東京都世田谷区で子ども食堂を始めました。現在は代表として2か所の子ども食堂を運営しています。この活動を通して私が得た経験、広がり、感じていることを「人」との繋がりをテーマにお話をさせて頂きます。

  • 矢原陽子さん(ヤップ島プログラム参加、ヤップの若者の日本研修ではホスト役も)「合氣道 護身術体験と調和的な人とのつながり方」

 20代の頃ヤップ島プログラムに参加。合氣道は学生時代から20年以上続けています。最近、突然無差別に斬り付けられるという物騒な事件がよく起きています。そんな理不尽な暴力からいざという時ご自身を守る方法をお伝えします。子供や女性でも簡単にできます。また、合氣道の根底に流れる相手を敬い、尊重する心は護身だけでなく、対人関係の場面でも人生を豊かにしてくれます。技と心が一体化する感覚を一緒に体験してみませんか?

エコプラスの2022年の活動予定について

 エコプラスは、2022年度、新型コロナウィルスの感染拡大に注視しながら、各種プログラムを以下のように展開します。いずれも準備が整い次第、個別プログラムの募集画面を用意します。

 年明けからのオミクロン株の感染拡大の状況から、体験活動は、しばらくの間、規模を縮小するなどして実施します。ヤップ島での持続可能な社会づくり活動のリモート支援などは継続して展開します。ご協力をお願いします。

雪ざんまいキャンプ(3月19-22日)

 高校生以上の若者対象。人数を平常より絞り、参加者には事前の自主隔離、健康確認をしてもらった上で、感染防止策を取ったプログラム展開とします。

休日農業講座「田んぼのイロハ」

 田植え(5月21、22日)
 草取り(6月11、12日ほか)
 稲刈り(9月23、24日)
 いずれも、新型コロナの状況を見て、現状では日帰りで実施。 事前の自主隔離、PCR検査などをお願いする予定です。

 お米の予約販売

 極端な少雪に見舞われた日本の山間地域は、スキー場を中心にした経済が、新型コロナも加わって深刻な打撃を受けています。このため、早めではありますが、秋の収穫のお米の予約も始めます。

 ヤップ島プログラム

 2022年実施の可能性も
 ミクロネシア連邦は、2020年2月から外部からの訪問者の受け入れを停止していて、自国民も昨年後半からやっと限定的に帰国できるようになった段階です。全世界での流行が続く限り、渡航は難しそうだというのが、現地からの声です。世界での感染状況とミクロネシア連邦政府、ならびにヤップ州の受け入れ状況などを見ながら、実施出来るかどうか、可能性を探ります。

 子どもの野外体験事業

 3月中下旬に、日帰りのデイキャンプを検討しています。また春以降も、日帰りを中心とするキャンプを計画中です。新型コロナで閉じこもりがちになった子どもたちに、自然の中で伸び伸びと過ごす環境を用意しようと考えています。

エコプラスについて

ひと、自然、異文化をテーマに持続可能な社会を目指す

 エコプラスは、自然と調和した平和な社会を目指しています。自然を「消費」の対象として使い捨てていく20世紀型の経済発展は明らかに限界を迎えました。プラスチックゴミは世界中の海を覆いながら循環し、排出した温暖化ガスは荒々しい気候を生み出してしまいました。自然と調和し、豊かさを分かち合う、おだやかな社会を、どう切り開いていけばいいか。そのためには、自然の中で、自らの命を実感する体験が大きな意味を持つと考えます。

The area we were kindly allowed to stay. 滞在させてもらったメンズハウス一帯。

 エコプラスは、それぞれの場所にある自然の中で、人々が長年にわたって築き上げてきた暮らしを出発点に、もう一度、あるべき社会を作り直す、その作業をともに進める仲間を増やしたいと思っています。

 キーワードは、「ひと」「自然」「異文化」です。自分と他人、家族と隣人、集落、そして地域。ひとへの関心を高め、コミュニケーションを深めて、ともに生きていく。その土台にあるのは自然。海沿い、あるいは山奥、そして都市、農山漁村、さまざまな場に自然があり、その中で、私たちは呼吸し、食べ、排せつし、暮らしています。

ハザかけのイロハ田んぼ
ハザかけのイロハ田んぼ

 さらには、性別や世代別、あるいは出生地別という異なる文化を個人は背負い、さらに家族や集落、地域も独自の文化を持っているはずです。その異なる文化が調和し支え合う関係をどう作ればいいのか。分断の時代、と呼ばれる今、どのように調和する社会を作れるかは、大きなチャレンジだと思います。

 新型コロナウィルスで、自然に触れ合うことも、他人と交流することもままならない昨今ですが、エコプラスは、「ひと、自然、異文化」を旗頭に、地に足を着けて歩んでいきます。

2011年9月のヤップカオハガン大同窓会(オンライン開催)

エコプラスのミッションステートメント

 環境と異文化に対する理解を深めることを目的として、地域に根ざした体験と国内外をつなぐ学びを提供し、地球的視野に立って社会作りに貢献します。

主な活動

ヤップ島プログラム

 1992年の活動開始当初からのプログラム。ミクロネシア連邦ヤップ島の集落にお邪魔させていただき、自然に密着した暮らしを体験させていただきます。開始当初は、水道も電気もガスもない、自然そのままの世界でしたが、昨今はスマホが入り、車も往来する近代化の波が押し寄せています。その中でも、まだ自然の中で生きる技と知恵を維持する人々の力強さを学ばせてもらいます。

田んぼのイロハ

 新潟県南魚沼市の栃窪集落の絶景の棚田で、無農薬天日乾燥米を育てます。標高500m、冬には4m前後の雪に包まれる地域です。最上流部の清らかな雪どけ水、ニホンカモシカがそこここに姿を現す、自然豊かな環境です。地元の農家が、できるだけ環境に負荷をかけないようにと努力して始めた無農薬栽培を、来訪者も一緒になって支え、学びます。

雪ざんまいキャンプ

 新潟県南魚沼市の清水集落を舞台に、雪が落ち着いた3月に雪の中でのキャンプをします。寝るのも、食事するのも、トイレも、雪の中。豪雪の中で暮らしを重ねてきた地元のみなさんの技を学び、自然を体感します。標高差50mの長大なスロープを滑り下りる、超豪快尻滑りがクライマックスです。

ヤップ島支援事業

 長年お世話になってきたミクロネシア連邦ヤップ島に対して、環境保全や地域開発で、お手伝いをさせてもらう各種取り組みを実施中です。経団連自然保護基金やJICA、りそなアジアオセアニア財団などからの支援を得て、ヤップ島タミル地区を中心に、水産資源の保護や排水の浄化プロジェクト、天然石けんの製造、エコツアーなどを試みています。

会員になって、一緒に活動を


 どなたでも、エコプラスの会員になっていただけます。会報誌「PLUS」を郵送するほか、メールでの情報提供をします。

 会員になることを希望される方は、下記の郵便振替口座にご入金ください。振込用紙には、住所、氏名、電話番号、メールアドレスをご記入下さい。

郵便振替口座:00130-7-333207
特定非営利活動法人ECOPLUS
入会料金は、会員の種類によって、以下のように異なります。ご希望の会員の種類を選んで、その種類に応じた金額をご入金ください。

■正会員・・・・【1万円】 総会での議決権を持ちます

■一般会員・・・【5千円】 総会の議決権はありません

■準会員・・・・【3千円】 学生やシニアなど収入がない方向けの割引会員制度です

■賛助会員・・・個人一口【1万円】/団体一口【5万円】

「チャンネルECO+」始めます

 エコプラスは、この新型コロナウィルスの感染拡大の状況にあわせて、動画を使った情報発信を始めます。「チャンネルECO+」と名付けました。このウェブサイトの中で始めますが、近くYouTubeなどでも、広く発信をしていこうと思っています。

 内容は、エコプラスの多彩な理事たちを中心に、それぞれの専門の角度から、持続可能な社会づくりにつながる日本や世界各地の様子、それぞれの活動状況など。多彩な内容になると思います。

 最初のシリーズは、髙野孝子代表理事の世界の旅のお話からです。

Day +3 ) Reflection by Volunteers ボランティアスタッフの振り返り会

TAKANO Takako, executive director of ECOPLUS, hosted the reflection session.
A reflection session by volunteers for “Welcome Yap” Project in past two weeks was held in Waseda University in Tokyo in the evening of Friday, 23 March. Among eleven volunteers, eight persons and a videographer who had been with us almost the period joined the meeting.

 ヤップ島の青少年招へい事業にかかわったボランティアスタッフらの反省会が、2018年3月23日夕、東京都新宿区の早稲田大学で開かれました。受け入れの中核となった11人のボランティアスタッフのうちの8人と、期間中のほとんどに同行してもらったビデオエンジニアの女性が集まりました。

They donated their time and money for the project heavily since the first meeting in last November accumulating meetings and site visits to identify the most ideal places for the Yapese students. All of activities of each day was organized by responsible team members of the day. One of volunteers was an IT engineer who took days off for this project and joined almost entire period.

 ボランティアの学生や社会人は、ほとんどがヤップ島での暮らしを体験するエコプラスのプログラムの参加者たち。
 昨年11月以来、それぞれの時間を使い、経費の一部も負担して、打合せや現場の下見を何度も重ねてきました。毎日の活動は、ヤップの若者たちの環境への理解を深めてもらえるように、それぞれの日の担当チームが組み立てを考えてきました。

Volunteers exchanged opinions with smiles.
During the meeting, they exchange comments and fanny stories during the time, watching photos of Yapese students during the project. Many commented they will come back to Yap to see students they spent time together this time.

 ふり返りの会では、ボランティアたちは、ヤップの若者たちの写真を見ながら、気付いたことをコメントしたり、予想外だった出来事を思い出して大笑いしたりしていました。何人もが、あの若者たちに再会するために、またヤップ島を訪ねてみたいと離していました。

The project was supported by so many students, families, ex-participants of ECOPLUS’s program in Yap, and organizations, like Keidanren Nature Reserve Fund, United Airlines, Patagonia, Minamiuonuma City Board of Education.

 このプロジェクトでは、多くの学生、ご家庭、過去のヤップ島プログラム参加者などの個人、さらに日本経団連自然保護基金、ユナイテッド航空、パタゴニア、南魚沼市教育委員会など多くの組織からのご支援をいただきました。ありがとうございました。

Day 9) Reporting Session with a lot of smiles 笑顔に包まれた最後の報告会

Reflection discussion in Tokyo

Today, we went back from Niigata to Tokyo by bus. It was impressive that the students from Yap tried to see out of the window not to forget the scenery of Niigata. In the bus, they reflected what they had done in these nine days with the pictures.

今日は新潟から東京へバスで戻りました。新潟での風景を目に焼き付けようと窓の外を眺める彼らの様子が印象的でした。バスの中ではここまでの9日間の写真を見て振り返りをしました。

東京に着いてからは、日本で学んだことを振り返りながら個々人が思い描くヤップの将来の姿や、これから自分には何ができるのかを考える時間を持ちました。

Reporting Session with a lot of persons.

After arrived at Tokyo, they deepened their learnings during this program and discussed what kind of future did they want in Yap. Then, they considered what they could do by themselves to make it happen.

During a farewell party in the evening, the students from Yap gave a presentation about their desired future of Yap and their learnings. Many people came and joined the farewell party including our supporters, host families and the people who had been to Yap. Thanks to them, it was a worm and wonderful party.

伝統を残しつつも現代的な生活を取り入れたい。私たちがヤップの未来そのものを作る存在なのだ。と彼らから力強い言葉が聞けました。夕方から行われた報告会では協賛者の方やホストファミリー、ヤップ島プログラムの過去の参加者など多くの方にお越し頂き彼らが学んだことを共有することができました。笑いの溢れる温かな会となりました。

Reported by NAOI Saki and ITO Sakurako

12月9日に、国際シンポジウム「地域に根差した教育の可能性」を開催します

インドを拠点に農民支援など多彩な活動をするチャタジーさん

 エコプラスは、12月9日に東京都新宿区の早稲田大学で、国際シンポジウム「地域に根差した教育の可能性」を開きます。グローバル化が進む一方で、「地域」への注目も高まっています。私たちの足元を見つめ直すことから、持続可能な社会づくりを考える幅広い議論を期待しています。また前日の8日には、シンポジウムに参加するインドの市民活動家オルデンドゥー・チャタジーさんによるレクチャーも予定しています。チャタジーさんは日本語が堪能で、両日とも日本語での進行します。どなたでも参加いただけます。参加申し込みは、このページの下にあるフォームからどうぞ。

国際シンポジウム 地域に根差した教育の可能性
・・・足元から始まる持続可能な社会づくり

趣旨
 学校での郷土学習から、環境教育、いま注目されている「森のようちえん」、国が推進する「地域再生」まで、地域に着目した活動が、各地でさまざまに展開されています。グローバル経済の巨大な波が世界を支配する現代社会で、この「地域」を出発点にした学びこそが、持続可能な未来への出発点ではないのか。第一線の実践家や研究者が集まって、6年間に渡って議論を重ねてきた集大成として、場の教育の可能性を議論します。

    日時:2017年12月9日(土)午前10時から午後4時まで
    場所:早稲田大学本部キャンパス11号館505教室(東京都新宿区)
    海外ゲスト:オルデンドゥー・チャタジーさん(インド・市民活動家)
    国内ゲスト:伊谷玄さん(沖縄西表島・くまのみ自然学校)
    対象:グローバル化と地域、教育全般、地域づくりや農山村交流、民族や文化、持続可能な社会づくりなどに関心を持つ学生、市民、実践者、研究者
    参加:無料
    企画委員:阿部治・立教大学教授、安藤聡彦・埼玉大学教授、板垣順平・神戸大学学術研究員、佐々木豊志・くりこま高原自然学校代表、佐久間憲生・出羽三山の自然を守る会代表、豊田光世・新潟大学准教授、高野孝子・早稲田大学教授、横山隆一・日本自然保護協会参事

    進行予定:

      10:00 開会
      10:10 「地域に根差した教育」研究6年間のレビュー(高野委員)
      10:30 「地域に根差した教育」インドからの事例報告(チャタジーさん)
      11:05 西表・干立集落での場の教育(伊谷さん)
      11:40 干立集落を訪ねた農大一高生物部の事例紹介
      12:15 昼食+ポスターセッション
      13:30 パネル討議(進行、安藤委員)
      15:30 まとめ
      17:00すぎから 懇親会(早稲田大学近くの食堂で)

オルデンドゥー・チャタジーさん講演会

内容:インドの貧農、小農民らの自立支援に携わりながら、農を取り巻く技術や政策の研究を重ねて来たチャタジー氏の来日に合わせ、私たちの暮らしと社会のサステナビリティについて、特に農の視点から、その知見を披露していただき、ディスカッションにつなげていく。

国際シンポジウムとチャタジーさん講演会への申込書

参加イベントにチェックをお願いします(必須)

12月9日の昼食サンドイッチ(500円)を(必須)

12月9日の終了後の懇親会に参加する(実費)(必須)

「自然の中で人はもっと元気になる」ーーミッテン教授がやさしく語りました

森の中で話をするミッテンさん

エコプラスは、2017年6月22日から24日まで、新潟県南魚沼市や早稲田大学、東京都八王子市を舞台に、米国プレスコット大学大学院教授のデニース・ミッテンさんによる、「自然の治癒力」をテーマとしたセミナーやワークショップを連続展開しました。

ミッテンさんは、森林生態学を出発点に、野外セラピーや女性のための野外活動、野外教育や心理カウンセリングと幅広く活動を展開。理論と実務の双方に詳しい専門家です。今回は、日本野外教育学会での記念講演などで来日され、それを機会に、エコプラスの高野孝子代表理事が、連続してのイベントを企画しました。

南魚沼市でのセミナー

22日の南魚沼市では、新潟市や長岡市などからも野外活動家や教育関係者など20人近くが集まり、23日の早稲田大学でも、学生のみならず障害者教育などにあたる実践者ら30人が集まって、それぞれセミナー形式で、ミッテンさんの発表を聞きました。

セミナーの中でミッテンさんは、人間がこの数万年の進化のほとんどの時期を、自然の中で暮らしてきたことに触れ、「私たちの中に埋もれている先住民族としての意識(Intra Indiginous consiousness)」があると指摘。一方で、現代社会が急速に自然と人との関係を切り離して、その中で、もう一度自然との関係を築くことで、個人も家庭も社会もより健全になることが出来ると強調しました。

早稲田大学で話すミッテンさん

ミッテンさんは、この自然がもつ治癒力がこれまで軽視されてきたことを1994年に学術的に指摘。他のさまざまな研究例を引きながら、野外で過ごす時間を少しでも持つことで、人がいかに健全になるかを分かりやすく説明してくれました。

セミナーでは、全員が目を閉じて、お気に入りの自然の様子を思い浮かべるNature Visualizationという活動などもして、参加者自身が、心拍数が下がり、気持ちが落ち着くことを体感しました。

24日は、JR中央線の高尾駅前にある森林総合研究所の多摩森林科学園を舞台に、午前午後を通したワークショップをしてもらいました。ミッテンさんは、野外やカウンセリングなどの専門家ら13人を、同科学園のみどり豊かな森の中にゆっくりと導き入れて、自然をよく見る活動(Nature Scan)、自然の中から友達を探す(Find Friends)、拾ってきた枯れ葉や木の実でアートを作る(Nature Art)などの活動を、一つひとつ丁寧に実施して、その意味を体験的に考える時間を作り上げてくれました。

森の中でゆったりと話し合う参加者のみなさん

江戸時代からの古い歴史を持つ深い森の中で、鳥のさえずりや吹き渡る風、自らの体の鼓動などを感じながら、じっくりと自然を感じることで、ストレスで圧迫されていた心と体がよみがえることを、強く感じさせてもらいました。

一連のセミナーやワークショップに参加したみなさんからは、「教育、医学、心理学など多様な分野をつなぐ貴重な話を聞かせてもらった」「野外活動が単なる運動ではなくて、幸福感を育むものだと分った」「これまで実践してきたことが正しいと理論的に確信できた」などという前向きなコメントが数多く寄せられました。

今回の連続イベントでは、南魚沼市教育委員会、森林総合研究所に大変お世話になりました。明治大学講師の針ケ谷雅子さんにも東京での開催でお力をいただきました。ありがとうございました。