
レイ・バーンハート氏
アラスカ大学フェアバンクスキャンパス
多文化スタディ教授
1970年から、先住民教育の調査、研究に従事。多文化教育部長を務めた他、小規模高校プロジェクト、多文化研究センター、多地域間教育プログラム、アラスカ先住民知識ネットワークの立ち上げに関わる。
アラスカ先住民の知識体系
地域に根ざした環境教育は、アラスカでも日本でも、関心をもたれていると思っています。今日は、アラスカ先住民の子どもたちや地域のニーズにあわせて、10年間で教育プロジェクトがどのように発展していったかお話したいと思います。
この取り組みはアラスカ先住民族連盟という団体を通じて行いました。アラスカ大学フェアバンクス校とアラスカ州政府教育局が協力して米国国立科学財団の資金を使って行われました。
このプロジェクトには、私も理事の一人として加わり、アラスカ先住民族の教育者やアラスカ各地の長老たちと緊密に協力して行われました。
このプロジェクトに最も重要な貢献をしてくれたのは、アラスカ先住民族の知識の担い手であるシシリア・マーツさんや、オールドミントという村に住むアサバスカン・インディアンの長老たちです。彼らは、何千年ものあいだ住み続けた土地に対する膨大な知識を身につけています。
地図をみると、いかにアラスカと日本が近いかお分かりかと思います。日本で地震が起きるとアラスカでもそれを感じるくらい近いです。このような自然の地形になっているので、その意味からも、日本とアラスカの人たちで、考えや様々な関心事項を交換できるといいと思います。
この地図でわかるように、アラスカには多くの文化・言語グループがあります。それぞれのグループはそれぞれの環境に適応してきました。沿岸の雨林地帯から北極圏のツンドラ地帯まで環境は様々です。そんな中でそれぞれの文化により適した教育システムを作るためには、その文化地域がもつ独自の世界観、価値観、伝統を考慮する必要がありました。