マイク・マーツ氏
ベセル放送局シニアプロデューサー
アラスカ大学異文化教育修士課程修了。各地の高校で言語芸術教師を務めた後、KYUKテレビでディレクター、プロデューサー、制作責任者等、ビデオ制作や放送の分野で活躍
ドキュメンタリービデオ「知っていることを見せること」から
1998年に私が制作したビデオの一部をお見せします。この教育プログラムでは、レイ・バーンハートさんも共同ディレクタ−としてビデオの制作に関わりました。ここに描かれているのは、コディアックという島の子どもたちが教師、長老たちと一緒に参加した、科学や文化をテーマにした夏のキャンプの様子です。
アラスカというと非常に大きな州なので、多様な環境がありますが、このビデオからその多様性の一端を垣間見れるのではないかと思います。
<ビデオの内容>
ナレーター:
コディアックの北にあるアフォグナック島です。その細長い浜辺にあるキャンプに、小さな子どもと教師たちがやってきました。これから一週間共に過ごし、新たな発見をします。この浜辺はカッタニと呼ばれています。このキャンプは、長老科学アカデミーキャンプと呼ばれていまして、コディアック地域先住民族協会、アフォグナックコーポレーション、コディアック島地域学校区の3者が共同で実施しています。
テリー・シュナイダー:
このキャンプの目的は、地域の人たち、ベテラン教師や最近教師になった人、教師のアシスタントなどの教育者を長老たちと引き合わせることです。
私たちは彼らをこのような郊外で引き合わせます。このような設定は子どもたちにとっても長老たちの多くにとってもきわめて自然なことなのです。こうした場所は参加者に、自分たちが暮らすコミュニティの一員としての一体感を育みます。
また、子どもたちや教師たちが、長老や地域の人たちから直に伝統的なやり方や、地域で共に暮らすための価値観について学ぶ機会を提供しています。そうすることで、先住民族の価値観と、西洋科学、コディアックにみられる科学研究を結びつけたりしています。子どもたちに科学技術や数学に対する関心を持たせたいですし、周囲の事柄や、ものごとの伝統的なやり方を探求しながら、伝統的な考え方ややり方と科学が関わりあることを子どもたちに示そうとしています。
[映像:子どもたちが火打石で火をおこしている場面と温度実験による毛皮の断熱効果の測定の場面]
テリー・シュナイダー:
私たちは、この土地に古くから伝わるものごとのやり方や知識を、現代の西洋科学の流れの中に統合させるようなカリキュラムを作りたいと思っています。
[映像:子どもたちがアザラシの腸を使って、防水にする縫い方を学んでいます。]
テリー・シュナイダー:
究極的には、過去と現在のアルーティック民族(コディアック地域の先住民)の豊かな文化と遺産を探求したいと思っています。
[映像:キャンプの様々な活動の紹介]
ナレーター:
キャンプでは、アフォグナック考古学プロジェクトの施設も使います。子どもたちは実際に発掘作業に参加して、考古学者がどのように作業するのか見ることができます。
[映像:男の子たちが発掘作業をしている場面。子どもたちが「実験テント」で作業している場面。女の子が何人かの大人から、防水縫いを教わっている場面]
テリー・シュナイダー:
このキャンプに参加した子どもたちが科学プロジェクトの枠組みを学び、キャンプを終えて自分の村に戻った時に、学んだことをほかの生徒や家族と分かち合うことを願っています。最終的には、(1998年)11月に開かれる地方の科学展示会に子どもたちが自分たちのプロジェクトを出品してくれるよう望んでいます。話した子どもたちは全員、夏休みにこのようなキャンプをするのは価値があると言ってくれました。
[映像:子どもたちと長老が、浜辺で科学プロジェクトを行ったり、魚を捕る網をチェックしたり、踊ったり、遊んだりしている場面。長老たちが微笑んでいる。]
テリー・シュナイダー:
カッタニのようなビーチでキャンプをするのはとても意味があります。考古学調査や、科学の応用をしたりするのに適しています。長老たちは、ここで起きていることを、コミュニティ作りの経験としても、子どもたちが学ぶ様子を見るという教育的な観点からしても、誇りを持つことができると言っています。
[映像:参加者全員が、大きな輪になって踊っている場面]
このビデオは、実際は26分間のもので、その抜粋をご覧いただきました。この夏のキャンプに参加した子どもたちは自分たちの学校に戻ってから、科学プロジェクトの発表会を行い、このキャンプで学んだことを発表しています。これ以外にも夏のキャンプはあちこちで行われています。中にはアラスカ州の内陸で行われているキャンプもあります。