集落のおじいさんが、セミになる前のセミ(幼虫)を持ってきてくれました。
7月25日、ちょっと遅くまで事務所にいて、そのあと集落のみなさんとお盆祭りの出し物の練習をしていました。
そこへ、よく知っているおじいさんが来て、「こんなものがいたぞ」と手を差し出します。見てみると、手の中でセミの幼虫がもぞもぞしていました。足にはまだ土のかたまりがついていて、土から出て間もないようでした。
「はい」と渡されて受け取ったまではよかったけれど、よく考えたらどうしていいかわかりません。とにかく抜けがらを思い出して、幼虫がぶら下がれる植物を探しに外へ行きました。しかし暗くてちょうどいいものが見つけられず、仕方なく割り箸と生けてあったあじさいを虫かごに入れて、いったんその中に入れました。
しばらく動きまくっていた幼虫は、40分後くらいにはだんだん動かなくなってきました。「これじゃあ飛び立てないかもしれない」と無理矢理かごのそとに出し直しました。そして何の根拠もなく「セミになるのは朝早くだ」と思っていたので、練習に戻りました。
1時間後、練習を終えて帰ろうと事務所に行ってみると!もう幼虫の背中が割れて、セミが出てきているではありませんか。白い、まだセミとは似ても似つかない状態です。白い体全体がカラから出ていて、頭が下向きになっています。
どうしても過程を見たかったので、持ち帰って観察することにしました。そのままおそるおそる、普通なら3分くらいでつく道を8分くらいかけて帰りました。
羽は薄いきれいな緑色に広がっていました。目も黒目がちでツブラです。その目がとてもかわいくて、しばらく見ていました。
翌朝、セミは茶色くなっていましたが、じっとして動かなかったので、かごごと外の木や草がある近くにおいておくことにしました。
ここまでで約12時間かかりました。大人になったあのセミは、精一杯生きてくれていることでしょう。せみが