「草刈りに夢中!」田んぼのイロハ第3回報告

草刈りあり、たい肥づくりあり、芋の手収穫&料理教室あり。今回の田んぼのイロハは体験が盛りだくさんでした。
2008年9月6日から7日まで、休日農業講座「田んぼのイロハ」第3回目が行われました。今回のテーマは「草刈りとあぜ管理」で、参加者は東京在住の大学生と会社員、2名でした。

[1日目]
昼すぎからとても強い雨が降り、集落内の側溝からはものすごい勢いで水が流れる音がしていました。県道わきの斜面が1カ所崩れていました。

そんな中、パノラマ農産の笛木晶さんを講師に「あぜの管理」についての座学を行いました。

一般的な稲作では、あぜが害虫の住みかにならないように草の生長を抑えます。現代の農業では省力化を図り除草剤も使われてきました。面積が広く傾斜もある栃窪集落のあぜならなおさら、除草剤を使えば作業は楽になるように思われます。

しかし傾斜のあるあぜが崩れずにすむのは、実は草の根が斜面の保護・強化に一役買ってくれているからなのです。景観の保全という面からも、栃窪ではあぜの草刈りが欠かせない作業であることを教わりました。

田の草取りやその省力化としてのアイガモ農法についての話、農耕用に家畜を飼っていた昭和40年代の話など、話題は多岐に渡りました。

その後の夕食では、笛木晶さんと区長夫妻にも加わってもらい、お話を聞いたり、これまでのイロハの様子や稲の育ち具合、夏に行われた「棚田草刈りアート日本選手権大会」などの写真を見たりしました。

[2日目]
朝のうちは、くもってはいるものの雨は降っていませんでした。

 集落の方にカマの研ぎ方を教わりました。砥石の角度や力の入れ具合、コツをつかむのは難しいものです。
集落の方にカマの研ぎ方を教わりました。砥石の角度や力の入れ具合、コツをつかむのは難しいものです。

9時にはイロハ田んぼに到着し、パノラマ農産の方々にカマの刃のとぎ方から教わりました。刃を立てて見て、刃が白い筋に見えたらまだ研げていないそうです。辺りにはしばらくシャッシャッシャッという刃物と砥石のこすれる音だけが響いていました。切れ味を試しに辺りの草に軽くカマをふるってみると、それだけで草が切れ、歓声が上がっていました。

カマが研げるといよいよ草刈りです。斜面に向かい、一定の幅で右から左へカマを振りながら登って行きます。切れ味が良くなったカマで調子良く草を刈り始めましたが、10時を過ぎた頃からカミナリが鳴り始めました。

休憩して様子を見ていましたがとうとう雨が降り始めたため、草刈りを中断して集落センターへ戻り、集落の方が提供して下さった野菜で料理教室をすることにしました。ナスは油で揚げてみそとからめる「油みそ」と焼きナスに。芋の手(サツマ芋の葉のくき)はきんぴらに、ミョウガは佃煮に。芋の手の収穫体験もできました。

こうしてお昼の食卓には地元で採れた野菜のおそうざいがズラリと並び、素朴な味に癒されるひとときとなりました。

昼食が終わる頃には雨も止んで、13時から作業を再開しました。最初は「こわいー」と言っていた学生も、この頃には「この作業、はまりますね」と夢中で草を刈っていました。もう1人の参加者は草刈り機の使い方も教わり、10分くらいですっかり慣れ、鼻歌を歌いながら刈っていました。

刈った草はたい肥にします。

 刈った草でたい肥づくり。どんどん草を詰め込みます。このあとブルーシートで全体をおおい、熱を逃さないようにして草の醗酵を促します。
刈った草でたい肥づくり。どんどん草を詰め込みます。このあとブルーシートで全体をおおい、熱を逃さないようにして草の醗酵を促します。

田んぼの一画に組まれた木枠(たて80センチ、よこ1.5メートル、高さ45センチ)の中に刈り取られたあぜ2面分の草がどんどん詰め込まれ、米ぬかと鶏ふんを混ぜ込みながら踏み固められていきました。枠の高さいっぱいまで来たら、枠だけ15センチほど持ち上げて詰め、踏み固めて、最終的に高さは約70センチほどになりました。笛木晶さんの提案で、このたい肥の高さが醗酵によって来春どこまで下がるかを当ててみることになりました。

参加者からは、「天気次第でスケジュールも変わってしまうけど、それもまた作物を育てる大変さ、難しさを実感できる機会になりました」「採れたての野菜を使って料理を作れたのが良かったです」「集めた草が、たくさんに見えてもワクの中に入れて踏み固めるとどんどん押し詰まって、小さくなっていくのが印象的でした」などの感想が聞かれました。

次回はいよいよ「稲刈り」です。
http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=8&aid=619
1日目には生態系調査「とちくぼ生き物プロジェクト」にも参加します!