集落内を散策し、地元の人の暮らしにもふれながら、秋の生き物の様子を観察しました。
2009年第5回目の「栃窪いきものプロジェクト」が、10月17日(土)に行われました。参加者は、集落内や南魚沼市内からの他、「田んぼのイロハ」の参加者を入れて30人。集落を散策しながら、生き物の様子を観察した他、地元の人たちの暮らしを学ぶ場面もありました。
はじめに、講師の深沢さんが、観察用に冷凍保存されていたフクロウとハイタカを見せてくれました。どちらも南魚沼市周辺に住む鳥で、栃窪でも確認されています。羽毛の中の耳の位置を探ったりしながら、それぞれの特徴について教わりました。
この他に深沢さんは、栃窪で確認された生き物と確認されると思われる生き物の写真も見せてくれました。首都圏から来ている「田んぼのイロハ」参加者は、たくさんの生き物がいることに感心しながら、写真をながめていました。
集落内の散策では、小学校裏のスイレンの田んぼ、「清水端」のため池、定点観測をしている「桐木平」の田んぼ跡、の順番に移動しながら、生き物を観察しました。観察したのは、オニヤンマやギンヤンマのヤゴ、いろいろな大きさのヤマアカガエル、カラムシの葉にくるまったアカタテハの幼虫、アカハライモリ(オス)、クロスジギンヤンマのつがい、カマキリの卵など。植物では、ミズオオバコ、アメリカセンダングサ、ヌスビトハギ、ヒシの実、ウバユリなど。
散策の途中で、庭先でアズキを乾かし、サヤから豆を取り出す作業をしている家の前を通りかかりました。アズキがサヤから出て来るのを初めて見たという何人かの参加者は、少しだけいっしょに作業をさせてもらいながら、保存や料理の仕方などを家の人に聞いていました。
深沢さんは、「今回の観察で、子孫を増やすためのさまざまな『生き物の戦略』が見えた」と話しました。アメリカセンダングサやヌスビトハギ、ヒシのように、何かにくっついてタネを運ばせるもの、ウバユリの種のようにヒラヒラと宙を舞うもの、トンボのつがい、生き物の冬の越し方など、それぞれ自然に沿いながら、生き残るための工夫がありました。
また、日本中の田んぼや里山でよく見られた生き物が、この2,30年で見られなくなっていること、栃窪ではまだそうした生き物が見られること、そうした生態系を維持するには生き物の多様性が大事であるということなども話していました。
「田んぼのイロハ」のふりかえりアンケートの中で、「いきものプロジェクトの講師の話を聞いて、人間の暮らしにも残していかなければならないものがあると思った」と感想を寄せてくれた参加者がいました。