厳しい冬も『住めば都』やまざとの食と暮らし講座最終回「冬の保存食講座」

厳しい冬の思い出を笑って話してくれたお母さん方の明るい笑顔。山里の暮らしの心の豊かさに触れました。
2010年1月16日、「冬の保存食講座」を新潟県南魚沼市栃窪集落で行いました。ドイツ人の一家を含む東京、長野、南魚沼市周辺からの11名が参加し、地元の笛木イミ子さん、笛木清子さん、桑原アヤ子さんを講師に栃窪の冬の食について学び、体験しました。

保存食材を紹介している様子。
保存食材を紹介している様子。

自己紹介の後、まず笛木さんたちが嫁いで来た頃の栃窪の冬の暮らしについて聞きました。簡単に車で行き来できる道はなく、当時の厳しい冬の思い出が語られました。食料品の買い出しにも簡単には行くことができなかったため、春から秋にかけて採集した山菜や畑で収穫したものを、干したり塩漬けにしたりして保存し、春まで過ごしたそうです。
今は自動車に乗り冬でも買い物に出かけることができますが、笛木さんたちは今でも山菜や野菜を保存し食材として利用しています。保存しているものを実際に見せてもらった参加者は、その種類の豊富さや色の鮮やかさに驚いている様子でした。

野菜をワラで編み込み、つるして干す保存方法を体験。
野菜をワラで編み込み、つるして干す保存方法を体験。

午後には、笛木清子さんのお宅を訪ね、車庫に保存してある野菜や漬けものを見せてもらったり、野菜をワラでつるして干す保存方法を教わったりしました。その後の質疑応答では、山菜の調理に関する具体的な方法やコツなどの質問がありました。「栃窪に住んでいて良かったことは」という質問があり、笛木さんたちは「空気がいい」「人付き合いが気楽」などと答えました。また、「嫁いでから数年は大変なところに来てしまったと思っていたが『住めば都』。今はいいところだと思う」と笑って話してくれました。

見せてもらった保存食材を使用した昼食は大好評で、近隣の町村からの参加者も「一度にこれだけの山菜料理を食べられる機会はない」「お店を出してほしい」と絶賛していました。

参加者のふり返りコメントでは、「これまでは食材を捨ててしまうことが多かったが、今日教わったことを活かして保存食を利用したい」「笛木さんたちの笑顔が印象的だった」「栃窪はものが少ない分人のつながりがあり豊かであると感じた」などの感想が聞かれました。

このところ続いている雪で在来線の運行は見合わせ、プログラムの開始は40分ほど遅れてしまいましたが、笛木さんたちは「雪がたくさんあって栃窪らしいところを見てもらえた」と笑い飛ばしていました。

「やまざとの食と暮らし講座」は今回で予定していた4回の講座を終えました。「山菜は暮らしそのもの」「住めば都」という集落の人の言葉から、栃窪という山里の「食と暮らし」には、自然に親しみ暮らしを楽しむ知恵がたくさんつまっているということをあらためて学びました。