田植え座学「稲作概論」その4

「とちくぼパノラマ農産」について
[とちくぼパノラマ農産の取り組み]
高齢になったり、若手が勤め人になったりして田んぼの担い手がいないところから農地を集めて、耕作放棄田を出さないようにすることが目的だ。現在12ヘクタール、15軒が参加している。

パノラマ農産では常勤の従業員が6人いる。そのうち1人は新潟県の「新規就農」のモデル事業で来ている人だ。

目指しているのは、完全無農薬栽培。他にもBLコシヒカリという、いもち病に強く、背が低い稲を、除草剤を一回だけ使うやり方で作り、県認証を受け出荷していきたい。

有機肥料を使い、土の力を引き出しながらやっていこうとこだわっている。安心、安全なものを作って、消費者の信頼を築いていきたいと考えている。
[質疑応答]
Q、とちくぼパノラマ農産の運営での課題は何か。

A、販路と農地集積が課題。
今は収量の半分くらいはJAに出している。30俵は地元の寿司屋に、残りは直販をしている。

パノラマ農産を集落営農化するに当たって受けた助成金の関係で、市と18町歩(18ha)の農地の集積することを約束しているが、まだ集まっていない。

荒れている土地を畑にしていくことにも取り組んでいる。昨年、コメの他にミニ白菜を作ってみたが、葉ものは安く、日持ちしない。アスパラやズッキーニの栽培を検討している。これらは日持ちするし、塩沢農協が全国的なシェアを持っているので、出荷すれば売れる見込みがある。

野菜をやってみて、コメが一番高く売れることがわかった。特に高いコメを売ることに慣れているので、野菜は安い感じがするが、コメだけではなくレパートリーを広げていく必要があると考えている。

また、栃窪の中にパノラマ農産の他にも農家がある。みんな栃窪のコメとして協力してブランドを作っていかないといけない。
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Q、高齢化という課題があると言っていたが、若い農家が参入し、新陳代謝をよくしようという試みはあるか。

A、退職世代を主たる構成員と考えている。パノラマ農産の社長もいるが、社長の会社ではなく集落の会社だ。次につないでいくことが大事だ。

今の日本人はコメを年間平均60キロ食べる。30年前は平均120キロを食べていた。もうちょっとお米を食べて欲しいということが切実な願いだ。
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Q、夫がアトピー持ちだったり子どものことを思うと、食べ物は有機のものを食べたいと考えているが、実際どのくらい調査をして有機ブランドをつけているのか。

A 、新潟県認定のエコファーマーをとるには地質調査をするが、毎年検査しているわけでない。
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Q、栃窪には家畜がいないのか。

A、少し前まで栃窪にも酪農家が2軒あったが、飼料が高くてやめてしまった。昔みたいに干し草を食べさせておくわけにもいかない。エサによって出る牛乳も変わってくる。水のほうが牛乳より高いのはどうか。
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