「タイから来ました。日本に興味を持ったのはアニメが好きだからです」。「アメリカの大学に在籍しています。母が日本出身ですが、自分には初めての日本滞在です」。
早稲田サマーセッション、略してWSSという4週間のサマーコースの様子だ。今年で3年目となる。履修生はほとんどが海外からで、彼らにしてみれば「短期留学」だ。授業は英語で行われる。私は全体を見渡して、コースを考えたり担当の先生を見つけたりする役割だ。
初年度は手探りで、海外からの76名で開始。やってみたら教員たちにも刺激的で、学生たちもほぼ全員が大満足という評価を残した。そして3年目の今年、履修生は、世界各地67の大学からやって来た142名に加えて、留学から帰国直後の早大生らが18人。授業数は初年度の6から13に増えた。文化や経済、ビジネス、政治など幾つかの分野で、日本やアジアについて、世界の文脈で取り上げることになっている。教員は私を除いて9名だが、4名が海外からこのために来日し、残り5人のうち2人は外国人だ。日本に焦点が当てられるので、基本的に日本について研究している人たちだ。
私はあちこちの授業を訪問して様子を見るのだが、とてもおもしろい。
まず学生たちが多様であること。日本を始め、アジアの幾つかの国出身の学生たちは基本的に静かに聴いていることが多いが、オーストラリアやアメリカ、アジアでもシンガポールの大学生たちは、どんどん自ら手をあげて教員の話に質問したり、自分の知っている例をあげたりして、話が深まったり広がったりしていく。