休日農業講座「田んぼのイロハ」の田植え編が、2017年5月20−21日の週末、新潟県南魚沼市栃窪集落で、首都圏からの学生や親子連れなど21人が参加して開かれました。夏を思わせる日差しの中、はだしで田んぼに入り、苗を一つづつ植えていきました。集落にはウグイスなどの小鳥たちの声が響き、食卓には採れたての山菜が次々と登場。季節を堪能する週末でした。
今年の田植えでは、新しい試みをしたいと、集落営農組織「とちくぼパノラマ農産」の笛木晶さんが大きな道具を紹介してくれました。過去10年間の田んぼのイロハでは、6角形の枠を転がして田んぼに印を付けてきたのですが、今年は大きなクマデのような道具が出てきました。横に長い棒に10本のツメが出ています。間隔は1尺1寸(33センチ)。いつもの30センチ間隔より広くなりました。「除草作業が楽になると思うので、やってみようと」と晶さん。
応援にかけつけた集落の笛木良一さんが、縦方向に定規で線を引き、エコプラスの大前がもう一本の定規で横方法に線を引くと、33センチ角のマス目が出来。その線の交わる場所に、苗を植えていきました。
遠くには、巻機山(1967m)や八海山(1778m)が見えます。山頂近くの沢にはまだ多くの雪が残り、ふもとは鮮やかな緑色。棚田が連続するイロハ田んぼ周辺は、タカの仲間のサシバが悠々と舞い、小鳥たちが鳴いています。車などの音もまったくないので、参加者同士も田んぼのあっちとこっちで話を交わしながら、田植えを進めました。
例年よりわずか1割広げただけですが、1坪(3.3平方m)当たり30株しか植えないこともあって、作業はどんどん進み。休憩をはさんで2時間ほどで、およそ1反4畝(1,400平方m)の田植えを終えました。
昼食は、田んぼの脇にある木陰で、軽トラで運ばれてきたおにぎり。ネマガリタケや山ウドなどが入った汁、山ウドのきんぴら、ワラビのおひたし、キュウリとニンジンのかす漬けなど、地域ならではの料理も並んで、さわやかな風に吹かれてゆっくりした時間を過ごしました。
田植えに先立って、20日には集落散策をしたり、稲づくりの座学をしたり、夜には地面に寝転がっての星空観察をしたりと、山里の暮らしを五感で体験しました。散策時には、上杉謙信が関東出兵の際に軍馬とともに行き来した「古道」も探索。林の中の古道の一部には雪が残っていて、その上を歩きながら空を覆う明るい新緑を見上げるというぜいたくな時間を持つこともできました。
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参加者の多くは、自然との関係の素晴らしさや農山村の厳しい現状を肌で感じたという感想を多く残してくれました。
大学進学の前の1年を使って、英国から日本にボランティア活動で来ていた若者の一人は、「こうやって日本人は日本の文化を覚える。私は英国に戻ったら英国の農場でボランティアをしてみたい」とコメントしてくれました。
イロハ田んぼは、無農薬栽培なので、これから稲が生長する8月までの間に、3回は手作業での除草作業が必要です。6月には田んぼのイロハの除草編が実施されます。