2月11日—13日に、首都圏から14人が新潟県南魚沼市の山里を訪ね、雪に埋もれた高齢者世帯の除雪作業などに当たりました。
2010年2月11日から13日の3日間、首都圏の学生や会社員など14 名が新潟県南魚沼市栃窪集落を訪問。高齢者宅など計11軒の除雪作業をしたほか、カンジキをはいた雪上ハイクや村の活性化に向けた村人との意見交換などを行いました。
このプログラムは、地域にある身近な資源を再確認し、集落の将来計画を作るために昨年実施した「とちくぼ秋のパノラマウォーク」の第二弾。参加者の多くは、初めて見た積雪3メートル以上の雪に圧倒されつつ、「都会ではできない面白い体験だった」「これが毎日のこととなると大変」という感想を語っていました。
「雪掘り道場」と名打った除雪プログラムでは、初日に、地元の30代から50代のみなさん5人による講習会を実施。雪はシャベルでいきなり掘るのではなく、四角いブロックに切り出してから投げ飛ばすこと、シャベルでぶつからないように互いに間隔をあけて作業することなど、基本的なことを学びながら、2軒の家の雪掘りを実施しました。一階部分がすっかり雪に埋もれていた住宅の周辺を掘り進め、埋まっていた窓の外側の雪をどけて室内に光が入るようにしました。
2日目は3つのグループにわかれ、「今日はじいちゃんが病院から帰ってくるから」と玄関前の雪どけをしていたおばあさんの家など、計9軒の除雪作業を手伝いました。
一軒の作業を終えるたびに、お茶やお菓子、漬物などをいただき、地元のみなさんと参加者の貴重な会話の場ともなりました。多くの参加者が、雪掘りの大変さと同時に、お年寄りのみなさんとの交流に、都会にはない暖かみを感じていました。
初日に行った「カンジキ雪上ハイク」では、大量の雪の上を地元の高校で生物を教える深沢和基さんと一緒に2時間ほどかけて散策。雪の上に残された無数のウサギの足跡のほか、リス、イタチ、タヌキ、それにカモシカの足跡まで見つけました。木々の葉が落ちた後の「葉痕」の模様は、時にはヒツジのような模様をしていることも発見。冬ならではの生き物観察ができました。
最終日には、地元のみなさんが特産品に育てることができるかもしれない品物を持ち寄った「とちくぼ博覧会」に参加。薬草にもなるつる植物で作ったカゴや、竹細工、わら細工、手作りコンニャクなどの14の出展品に関しての発表を聞いたり、試食したりしました。机に並べた品物をはさんで、地元のお年寄りたちと参加者の対話が弾み、「一冬に、わらじを何百足も編んだもんだ」などという昔の生活の様子に、あっという間に時間が過ぎました。
講師として東京から参加したマーケティングに詳しい有田俊雄さんは、集落の人には「地味だけど味わい深い、『滋味』な取組みの継続」を訴え、参加者には「何と言っても口コミが一番。栃窪の良さをぜひ身近な人に伝えて欲しい」と呼びかけました。
最後に行われた意見交換では、「地元の人との交流がおもしろい」「今の集落の雰囲気を若い人に受け継いでほしい」「イベントを通じて交流の場を作り、情報を発信する」といった意見が出されました。
地元栃窪集落では、今回の参加者からの声をもとに、雪を逆手に取ったイベントの実施など、集落の活性化を検討していく予定です。