「カマ」タグアーカイブ

夏祭りの山里で、農と暮らしを体験。田んぼのイロハ草刈り編

2011年7月9−10日、首都圏在住の5人が参加し、新潟県南魚沼市栃窪集落で休日農業講座「田んぼのイロハ」草刈り編が開催されました。

7月9−10日、「田んぼのイロハ」草刈り編が行われ、無農薬・有機栽培の田んぼやあぜなどの整備をしました。参加者は首都圏からの社会人や家族連れなど5人。うち4人が今年度2度目の参加でした。2日間の活動は、自分でカマを研ぎ、あぜで草刈り、さらに田んぼの草取りや、ホタル鑑賞、村の夏祭り参加など盛りだくさんでした。

初日は雨が予想されたため、最初に草刈り作業を行いました。作業には地元の桑原一男さんらが講師として加わり、カマの研ぎ方や草の刈り方などを教えてくれました。参加者は最初にカマを研いでから、上下3メートル以上、奥行き約60メートルのあぜに挑戦しました。雑草は、背の高いものでは大人の腰ほどもありました。地元の桑原信子さんが無駄なくスムーズにカマを使う姿に、一同は目を丸くしていました。刈り始めて2,30分もすると「そろそろ研いだ方がいい」とアドバイスがあり、カマを研ぎ直すと、その切れ味の違いに、みんな驚いていました。
作業には地元の小学生たちも参加し、刈り取った草を抱えて田んぼの脇の一角に運んでくれました。縦90センチ、横180センチの木枠に積み上げてたい肥にします。
座学では、「とちくぼパノラマ農産」社長の笛木晶さんが、昔の村の暮らしの話を交えつつ、草刈りや草取りなどの田んぼのメンテナンスの大切さについて教えてくれました。
夕食後のホタル鑑賞では、田んぼの間を流れる小川沿いに何十匹ものホタルが舞い飛ぶ幻想的な光景を見ることができました。

村の若い衆と一緒に、参加者も神輿を担ぎました。
村の若い衆と一緒に、参加者も神輿を担ぎました。

2日目朝は、村の夏祭りの見学。神主が祝詞をよみ、高い階段の奥にある本殿の扉を開ける様子などを見ました。参加者からは「お祭りに村の歴史と暮らしが今も折り重なっている」という声が上がりました。
その後、再び田んぼで草取りを行いました。50センチ前後に育った稲の根元には、緑色のコナギなどがびっしり。高さ30センチを超え、立派に白い花を咲かせていたオモダカもあり、一つ一つを抜き取っていきました。
照りつける太陽の下、8名で約3時間の作業をした結果、1反3畝のうち4割ほどの草取りを終えられました。

2日間の作業を終えて、集合写真を撮りました。
2日間の作業を終えて、集合写真を撮りました。

最後のふりかえりでは、「ホタルが去年よりも増えていた」「作業の中で、だんだんと上手に覚えていくものだと感じた。収穫が楽しみです」「カマを使った草刈りや手作業での草取りは、自分の田舎でもできない。何十年ぶりかの貴重な体験ができました」などのコメントがありました。

自然の中で体を動かし、お祭りや手作業での田んぼの仕事など、日本古くから伝わる文化を体験した1泊2日となりました。

次回の「田んぼのイロハ」は稲刈り編です。10月1−2日に行われる予定です。

(09年第4回報告)草刈りとあぜ豆植え

東京から家族連れと社会人の5人が、南魚沼市栃窪地区で、あぜの草刈りを学びました。
2009年7月4−5日、休日農業講座「田んぼのイロハ」の第4回が開かれました。東京から家族連れと社会人の5人が参加しました。

4日は、地元の笛木健作さんを講師に、あぜの草刈りに関する座学を行いました。
穂が実り始める頃にやって来る害虫から米を守るために、害虫の居場所となるあぜの草を刈らなくてはならない、それもタイミングを見計らって刈ることを教わりました。
また、大型機械や化学肥料が普及する前は、刈り取ったあぜの草が、堆肥になったり家畜の飼料になったりして、循環していたことも学びました。

地元の人に研ぎ方を教わり、カマの刃を研いでから始めました。
地元の人に研ぎ方を教わり、カマの刃を研いでから始めました。

夕食後はホタルを見に行きました。山からの清水が流れている場所に飛んでいて、多いところでは10匹以上いました。

5日は、実際の草刈り作業を体験しました。地元の桑原一男さんからカマの研ぎ方や扱い方を教わり、手刈りでイロハ田んぼの大きなあぜの草を刈りました。
草を刈った後に、あぜ豆植えも行いました。

梅雨の晴れ間の少し暑い日、気温は日中29度にもなりましたが、参加者は「気持ちのいい汗をかき、心身ともにリフレッシュできました」と笑顔で話していました。

地元の人はとても手際が良く、おもしろいように草が刈られていきます。
地元の人はとても手際が良く、おもしろいように草が刈られていきます。

「草刈りに夢中!」田んぼのイロハ第3回報告

草刈りあり、たい肥づくりあり、芋の手収穫&料理教室あり。今回の田んぼのイロハは体験が盛りだくさんでした。
2008年9月6日から7日まで、休日農業講座「田んぼのイロハ」第3回目が行われました。今回のテーマは「草刈りとあぜ管理」で、参加者は東京在住の大学生と会社員、2名でした。

[1日目]
昼すぎからとても強い雨が降り、集落内の側溝からはものすごい勢いで水が流れる音がしていました。県道わきの斜面が1カ所崩れていました。

そんな中、パノラマ農産の笛木晶さんを講師に「あぜの管理」についての座学を行いました。

一般的な稲作では、あぜが害虫の住みかにならないように草の生長を抑えます。現代の農業では省力化を図り除草剤も使われてきました。面積が広く傾斜もある栃窪集落のあぜならなおさら、除草剤を使えば作業は楽になるように思われます。

しかし傾斜のあるあぜが崩れずにすむのは、実は草の根が斜面の保護・強化に一役買ってくれているからなのです。景観の保全という面からも、栃窪ではあぜの草刈りが欠かせない作業であることを教わりました。

田の草取りやその省力化としてのアイガモ農法についての話、農耕用に家畜を飼っていた昭和40年代の話など、話題は多岐に渡りました。

その後の夕食では、笛木晶さんと区長夫妻にも加わってもらい、お話を聞いたり、これまでのイロハの様子や稲の育ち具合、夏に行われた「棚田草刈りアート日本選手権大会」などの写真を見たりしました。

[2日目]
朝のうちは、くもってはいるものの雨は降っていませんでした。

 集落の方にカマの研ぎ方を教わりました。砥石の角度や力の入れ具合、コツをつかむのは難しいものです。
集落の方にカマの研ぎ方を教わりました。砥石の角度や力の入れ具合、コツをつかむのは難しいものです。

9時にはイロハ田んぼに到着し、パノラマ農産の方々にカマの刃のとぎ方から教わりました。刃を立てて見て、刃が白い筋に見えたらまだ研げていないそうです。辺りにはしばらくシャッシャッシャッという刃物と砥石のこすれる音だけが響いていました。切れ味を試しに辺りの草に軽くカマをふるってみると、それだけで草が切れ、歓声が上がっていました。

カマが研げるといよいよ草刈りです。斜面に向かい、一定の幅で右から左へカマを振りながら登って行きます。切れ味が良くなったカマで調子良く草を刈り始めましたが、10時を過ぎた頃からカミナリが鳴り始めました。

休憩して様子を見ていましたがとうとう雨が降り始めたため、草刈りを中断して集落センターへ戻り、集落の方が提供して下さった野菜で料理教室をすることにしました。ナスは油で揚げてみそとからめる「油みそ」と焼きナスに。芋の手(サツマ芋の葉のくき)はきんぴらに、ミョウガは佃煮に。芋の手の収穫体験もできました。

こうしてお昼の食卓には地元で採れた野菜のおそうざいがズラリと並び、素朴な味に癒されるひとときとなりました。

昼食が終わる頃には雨も止んで、13時から作業を再開しました。最初は「こわいー」と言っていた学生も、この頃には「この作業、はまりますね」と夢中で草を刈っていました。もう1人の参加者は草刈り機の使い方も教わり、10分くらいですっかり慣れ、鼻歌を歌いながら刈っていました。

刈った草はたい肥にします。

 刈った草でたい肥づくり。どんどん草を詰め込みます。このあとブルーシートで全体をおおい、熱を逃さないようにして草の醗酵を促します。
刈った草でたい肥づくり。どんどん草を詰め込みます。このあとブルーシートで全体をおおい、熱を逃さないようにして草の醗酵を促します。

田んぼの一画に組まれた木枠(たて80センチ、よこ1.5メートル、高さ45センチ)の中に刈り取られたあぜ2面分の草がどんどん詰め込まれ、米ぬかと鶏ふんを混ぜ込みながら踏み固められていきました。枠の高さいっぱいまで来たら、枠だけ15センチほど持ち上げて詰め、踏み固めて、最終的に高さは約70センチほどになりました。笛木晶さんの提案で、このたい肥の高さが醗酵によって来春どこまで下がるかを当ててみることになりました。

参加者からは、「天気次第でスケジュールも変わってしまうけど、それもまた作物を育てる大変さ、難しさを実感できる機会になりました」「採れたての野菜を使って料理を作れたのが良かったです」「集めた草が、たくさんに見えてもワクの中に入れて踏み固めるとどんどん押し詰まって、小さくなっていくのが印象的でした」などの感想が聞かれました。

次回はいよいよ「稲刈り」です。
http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=8&aid=619
1日目には生態系調査「とちくぼ生き物プロジェクト」にも参加します!