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(09年第6回報告)田起こしと豆腐づくりを体験

2009年11月7-8日に、南魚沼市栃窪地区で、クワを使った田起こしや豆腐づくりを体験しました。
休日農業講座「田んぼのイロハ」の今年度最後の回が、11月7-8日に開かれました。首都圏の親子連れや会社員、学生など15人が参加しました。

石うすを見て、地元の子どももやって来ました。交代しながら、にぎやかに石うすを回しました。
石うすを見て、地元の子どももやって来ました。交代しながら、にぎやかに石うすを回しました。

1日目は、地元の笛木晶さんに豆腐づくりを教わりました。
使った大豆は約3キロ。7月の草刈りの回にイロハ田んぼのあぜに苗を植え、10月の稲刈りの回に無事収穫した、「あぜ豆」です。
笛木さんの家でずっと使われてきた石うすで、一晩水に浸した大豆を、1時間半近くかけてひきました。できた大豆の汁を煮立たせ、熱いうちに木綿でしぼった液ににがりを入れ、固まってきたものを、木の箱に流し入れて重しをかけました。翌日、味の濃い、しっかりした豆腐ができていました。

2日目は、地元の桑原一男さんを講師に、昔ながらの「田起こし」を体験しました。稲を刈り取った後の株を土にかえし肥料にする、来年の米づくりに備える作業です。
「3本グワ」という刃が3本に分かれた田起こし専用のクワを、地元のみなさんに借りて使いました。クワの刃先は鋼(はがね)でできていて、どれも30−40年間使い込んでいるものだそうです。このクワで田起こしを行っていた頃は、集落に鍛冶屋がいて、修理や手入れをしてもらえたとのこと。中には5本グワもありましたが、それはあぜを作るためのクワだそうです。

ヨコ一列に並び、一人2,3列ずつを耕しました。
ヨコ一列に並び、一人2,3列ずつを耕しました。

参加者は黙々とクワを動かし、クワの刃を土に入れるザク、ザク、という音が辺りに響いていました。田んぼにはぬかるむ場所も多く、ところどころに水もたまっていました。参加者は足を取られそうになりながらも、クワにつかまってバランスをとっていました。
午前9時に始め、約2時間で一反近くの田んぼ全体を耕しました。

田起こしの後は、パノラマ農産が主催する、地元のみなさんの収穫祭に参加しました。
きねつきもち、ヌカ釜炊きのご飯、何種類もの漬け物など、地元食材のごちそうが並びました。参加者が前日から作ったあぜ豆の豆腐も、具だくさんのけんちん汁に仲間入りしました。
参加者は、田起こしの疲れも忘れ、談笑しながら味わっていました。

また、今回は1日目の始めに、栃窪集落の地域活性化のイベント「とちくぼ秋のパノラマウォーク」の一環として行われた生態系観察会にも参加し、集落内を散策しながら生き物を観察しました。1度雪が降ったからか、生き物の数は多くありませんでしたが、コオイムシやカエル、ヤゴ、オタマジャクシなどを観察しました。

とちくぼ秋のパノラマウォークについてはこちら
http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=9&aid=801

ふりかえりでは、参加者から「景色がすばらしいので、また来たい」「手づくり豆腐やきねつきもち、どこにでもあるけれど、今日ここでしか食べられないもの」「食べ物から活力を受け取った」などの感想が聞かれました。

聞いて「なるほど」!野菜によって違う種まきのコツ

「種まき」と1言で言っても、全部の種が同じまき方ではありませんでした。実は野菜の種類ごとに、適したまき方があったのです。
1限で大豆を植えた畑に到着すると、下の段の畑に耕されて平らに整えられた一画がありました。そこには酸性の土壌をアルカリ性にするための石灰という白い粉がまかれていました。ここが今回大根の種をまくところです。

 はじめはお父さんと一緒にくわを持っていた男の子。そのうち「自分だけで持ちたい」と言い、ひとりで重いくわを持ち、一生懸命に土を寄せていました。
はじめはお父さんと一緒にくわを持っていた男の子。そのうち「自分だけで持ちたい」と言い、ひとりで重いくわを持ち、一生懸命に土を寄せていました。

まずくわの使い方を教わり、参加者もおそるおそる土を耕し始めました。スキーのストックを再利用した棒をうねの端と端に立て、ひもを張って目印にしながら、何とかまっすぐに土を寄せていきます。少しずつ慣れて楽しくなってきた大人の雰囲気を察してか、子どももやってみたいと言い出して、重いくわを持って土をうねの方に寄せ始めました。中心には鶏糞も入れ、最後に上を平らにならして完成です。

その次は種まきです。まず1本目のうねは何も教わらずに種をまいた参加者。
2本目のうねの種まきで桑原さんのまき方が説明されました。
*まず、穴は浅めに。…大根の種の場合、種の3倍の厚さの土をかけます。芽は、ちょっと頭を出したときに土の上に出ないと死んでしまうそうです。
*土は固める!!…大根は土を固くおしつけた方が芽がでやすいそうです。そこで桑原さんは等間隔の足幅でうねの上を歩き(注意:体重が50キロくらいの人まで。重い人はできません)、足あとのかかととつま先に種を3粒ずつまいて、軽く土をかけた後上からたたきます。
そして、芽がでたら2回間引いて1本立ての大根にするそうです。

桑原さんの話を聞いて「ええー!そうだったのか!!」と早くも不安になる参加者のみなさん。芽は順調なら3日後に出るそうです。

 「種は高価なもの」と教えられた参加者。一粒も無駄にはできません。「ここにこうやってまこう」と話し合いながらの種まきです。
「種は高価なもの」と教えられた参加者。一粒も無駄にはできません。「ここにこうやってまこう」と話し合いながらの種まきです。

ちなみに、種をまくときはどこかで必ずカラスが見ていて、誰もいなくなったら降りてきて種をほじって食べてしまうため、対策として土をかけた後はすぐ上に糸を張ります。鳥は羽にものが当たるのを嫌がるので、この糸に羽が当たると、こわくなってもう来ないそうです。