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「針江生水の郷(はりえしょうずのさと)」を視察。清水地区の活性化委員会

自噴する湧水を利用した「川端(カバタ)」。日々の炊事などに使われている。私有地のため、ガイドなしでは立ち入れない。
自噴する湧水を利用した「川端(カバタ)」。日々の炊事などに使われている。私有地のため、ガイドなしでは立ち入れない。

耕作放棄された田んぼの生物多様性を復活させる取組みを展開している新潟県南魚沼市の清水集落のみなさんが、湧き水の郷として知られる滋賀県高島市針江地区を視察しました。

6月30日から7月1日にかけて清水地区活性化委員会とエコプラスは、琵琶湖湖岸に位置する針江地区の視察を行いました。

生きものや川や湖の保全を目指す様々な試みが展開されていました。
生きものや川や湖の保全を目指す様々な試みが展開されていました。

この地区は古来より良質な湧水が大量に自噴しており、「針江生水の郷(はりえしょうずのさと)」と呼ばれます。

詳しくは以下特製サイトでご覧ください。

【清水いきもの復活大作戦特設サイト】
http://ikimono.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=9&aid=602

見たことのない生きものとの出会いに感動!〜清水いきもの復活大作戦・夏の巻〜

首都圏からの社会人や学生に加え、地元南魚沼や新潟市内からの参加者計10名が、専門家や地元の人たちと一緒に生物多様性の保全活動を行いました。

今年2回目となるいきもの復活大作戦が、7月23-24日に新潟県南魚沼市清水で行われました。今回は草刈りや木道作りなどの作業だけでなく、専門家と一緒に調査をしたり、地元の人から柴木造りを教わったりしました。

今回は、プロジェクトアドバイザーの(財)日本自然保護協会常勤理事の横山隆一さんと新潟県立小出高等学校教諭の深沢和基さんが2日間一緒に活動してくれました。専門家の鋭い視点や生きものに関する深い知識に触れ、参加者や地元の人たちがたくさんの学びや気付きを得る機会となりました。

西谷後の池を調査している様子。池の中の黒い斑点は、オタマジャクシです。
西谷後の池を調査している様子。池の中の黒い斑点は、オタマジャクシです。

初日の午後は、「西谷後」という保全地域の調査と草刈りを行いました。調査の中で、初めてシャチホコガの幼虫が見つかりました。体を反り返し、成虫さながらに発達した細長い足を広げる珍しい姿に、皆が驚いていました。草刈りでは、人間の身長を優に超すほどに背の高いアシや1mほどまで伸びたススキなどを刈りました。来た時にはうっそうと茂っていた草も、見違えるほどにきれいに刈られ、歩きやすい保全地域となりました。
夕食後の交流会では、地元の人の地域活性化に対する情熱に触れる機会がありました。参加者からは「どんな思いでプロジェクトに関わってくれているのかが分かり、心に響いた」「町を変えていきたい!という思いが聞けて良かった」という声があがりました。

木で木を縛る「柴木造り」。参加者も挑戦しましたが、地元の人の技には敵いません。
木で木を縛る「柴木造り」。参加者も挑戦しましたが、地元の人の技には敵いません。

2日目は、朝6時から集落散策に出かけました。電線の上に止まって鳴き続けるホオジロや羽化したばかりのエゾゼミ、スギの木のてっぺんにとまったアオサギ、民宿付近のガマ畑などさまざまな生きものを見つけ、観察しました。
2日目の調査と作業は、「大明神」というエリアで行われました。サンショウウオの幼生や、水を飲みに集まるミヤマカラスアゲハ、ハッチョウトンボなどが確認できました。照りつける太陽の下、周りでオニヤンマ、ルリボシヤンマ、シオカラトンボ、アキアカネなどたくさんのトンボが飛び交う中、草刈りや木道作りの作業を進めました。

今回の活動を通して、参加者からは、「すべてにちゃんと名前があり、ただの『カエル』はいないことが分かった」や「今までは食料にならない物には興味がなかったが、色々な生きものを見て2日間楽しめた」など、興味の幅が広がったという声や、「また来たい」「活性化を手伝いたい」などの清水を今後も応援していきたいという声が聞かれました。

次回の活動は、9月23−24日の秋の巻です!

*このプロジェクトは2011年度経団連自然保護基金支援事業です。

清水の秋空にルリボシヤンマが舞いおどる 生物多様性保全・教育プロジェクト〜清水いきもの復活大作戦・秋の巻〜

新潟県南魚沼市清水で、今年度3度目の保全活動を9月18-20日実施しました。首都圏からの6名の参加者と地元の人たちが一緒に草刈りや木道作りに汗を流しました。
今回は、生物多様性保全活動に加えて、専門家と一緒の調査やナメコ栽培現場の草刈り、山登りを実施。秋の清水の自然の豊かさをじっくり味わう3日間となりました。

木道作りの様子。板を運ぶ人、木を切る人、打ち付ける人と役割を分けてスムーズに進みました。
木道作りの様子。板を運ぶ人、木を切る人、打ち付ける人と役割を分けてスムーズに進みました。

初日の夕方と2日目の午後に保全地域の草刈りと木道作りを行いました。7月の夏の巻の時にも、アシやススキなど乾燥化を好む草を刈り取りましたが、2ヶ月間でぐんぐん伸びていました。それをカマや草刈り機でばっさばっさと刈り取り、きれいになった畔に木道を設置しました。
参加者と地元の人たちが畔に一列に並び、バケツリレーのように木を運び、着いた先でどんどんと道を作っていきました。ほんの1時間ほどで約100mの木道が完成。「やはり人の手が多いのは強い!」と清水の人が言っていました。

2日目の午前は、プロジェクトのアドバイザーである新潟県立小出高校の深沢和基さんと共に、現在の保全地域の環境の様子や生息する生き物について調べました。池の上を飛び交う多くのルリボシヤンマや巨大なヒキガエル、細長いヒモのような不思議な生き物のハリガネムシなどに、みんな引きつけられていました。
大人たち10数人が虫取り網を持って、生き物を追いかけ、ところどころで歓声が上がっていました。

最終日は朝早くから、地域の共同事業として行っているナメコ栽培の現場に向かい、原木周りの草刈りをしました。3日目にもなると都心からの参加者も慣れたもの。手際良くカマを使って草を刈っていき、予想以上の早さで終わりました。

巨大なヒキガエルを握りしめる参加者。
巨大なヒキガエルを握りしめる参加者。

今年度の生物多様性保全・教育プロジェクトの交流イベントは今回で最後。年内にまとめの調査と次年度の計画作りを行います。

5月に休耕田に穴を掘って水を引いてから約半年で、様々な種類のトンボやカエルが姿を見せるようになりました。一冬を越えて、来年はどんな姿を見せてくれるでしょうか。プロジェクトはこれからも継続します。

 

【参加者の感想】
・想像していたより3倍も楽しかった。人と話しても楽しかったし、山に登ったのも楽しかった。また来たいです。
・2泊3日、心も体も充実した時間だった。ナメコの原木を初めてみた。ナメコがどうやって作られるのかを知れてよかった。
・2泊3日で清水を堪能できて楽しかった。ナメコ現場の沢が素敵だといつも思うが、その上にあんな山があるなんて知りませんでした。とっても爽快でした。山の山頂からの景色はなにものにも代え難い。
・「人間が生き延びるため」ではなくただ生き物、自然が好きだから保全したいというのは美しいことだと思います。僕もただ画一化されていくこと自体がよくないという動機で生物多様性は守られなければならないと思います。

【清水の人たちからのコメント】
・いままでは注意してみていなかったが、何か興味のあるものをひとつ見つけると見方が変わってくる。私が白いカタクリの花を見つけて以来、カタクリの花をよーく見るようになった。
・名前の分からない生きものがまだまだたくさんいる。楽しみが増える。カエルの顔が種類などによって違うのを見たいと思って、ルーペを買った。
★プロジェクト専用ウェブサイトが出来ました!
http://ikimono.ecoplus.jp/top.php?lang=ja

保全地域の変化の様子や、清水の人たちからのコメントなどを掲載しています。