1月22-23日、栃窪集落で行われた「雪掘りと保存食講座」に、首都圏や南魚沼市、長野県から10名が参加しました。地元の人たちと一緒に雪掘りを行い、保存食を調理するなど、昔から続く雪国の暮らしや食文化を思う存分体験しました。
冬は数メートルもの積雪で覆われる栃窪集落。居住地域としては世界有数の豪雪地帯にあるこの農山村で、「雪掘り」と呼ばれる除雪作業を体験し、多彩な保存術を活用した冬の食生活を学びました。
初日は、雪掘りの講習と作業が行われました。まずは集落内を散策。雪に埋もれないように道路標識が高い位置にあるのを確認し、屋根の上での除雪作業を見て、雪に囲まれた生活の様子に触れました。その後、雪掘りのやり方や道具の使い方を教わって、いざ雪掘りに挑戦。地元の人たちの指導のもと、一人暮らしの高齢者宅を中心に、参加者がいくつかのグループに分かれて雪掘りを行いました。はじめはスコップやスノーダンプ(大型の角型シャベルにパイプの持ち手がついた除雪用具)の使い方に苦労していた参加者も徐々にコツをつかんだ様子で、重労働ながらも楽しそうに雪と格闘していました。初体験の人たちからは、「雪が意外と重いことに驚いた」「掘った後の雪の置き場所が難しいことを学んだ」などの声が聞かれました。
2日目は、桑原さん宅を訪問して野菜や漬け物の保存方法を見学し、野菜や山菜などの保存食材を使った調理を体験しました。参加者はいくつかのグループに分かれ、集落の女性たちに手ほどきしてもらいながら、ゼンマイの煮物、ウドのきんぴら、切り干しダイコンの油炒め、酢豆、大学イモなど、色鮮やかで見た目にもおいしそうな数々の料理を作りました。それぞれの素材を活かした保存食を味わいながら、長年地元で受け継がれてきた食文化を体感するひと時でした。
最後のふりかえりでは、「雪掘りは掘った分だけ成果が見えて楽しかった」「味付けや漬け物の戻し方など、地元の人たちと一緒に調理して参考になった」「雪に囲まれた暮らしと食文化の結びつきを感じた」という感想が寄せられました。雪深い
厳しい冬の思い出を笑って話してくれたお母さん方の明るい笑顔。山里の暮らしの心の豊かさに触れました。
2010年1月16日、「冬の保存食講座」を新潟県南魚沼市栃窪集落で行いました。ドイツ人の一家を含む東京、長野、南魚沼市周辺からの11名が参加し、地元の笛木イミ子さん、笛木清子さん、桑原アヤ子さんを講師に栃窪の冬の食について学び、体験しました。
自己紹介の後、まず笛木さんたちが嫁いで来た頃の栃窪の冬の暮らしについて聞きました。簡単に車で行き来できる道はなく、当時の厳しい冬の思い出が語られました。食料品の買い出しにも簡単には行くことができなかったため、春から秋にかけて採集した山菜や畑で収穫したものを、干したり塩漬けにしたりして保存し、春まで過ごしたそうです。
今は自動車に乗り冬でも買い物に出かけることができますが、笛木さんたちは今でも山菜や野菜を保存し食材として利用しています。保存しているものを実際に見せてもらった参加者は、その種類の豊富さや色の鮮やかさに驚いている様子でした。
午後には、笛木清子さんのお宅を訪ね、車庫に保存してある野菜や漬けものを見せてもらったり、野菜をワラでつるして干す保存方法を教わったりしました。その後の質疑応答では、山菜の調理に関する具体的な方法やコツなどの質問がありました。「栃窪に住んでいて良かったことは」という質問があり、笛木さんたちは「空気がいい」「人付き合いが気楽」などと答えました。また、「嫁いでから数年は大変なところに来てしまったと思っていたが『住めば都』。今はいいところだと思う」と笑って話してくれました。
見せてもらった保存食材を使用した昼食は大好評で、近隣の町村からの参加者も「一度にこれだけの山菜料理を食べられる機会はない」「お店を出してほしい」と絶賛していました。
参加者のふり返りコメントでは、「これまでは食材を捨ててしまうことが多かったが、今日教わったことを活かして保存食を利用したい」「笛木さんたちの笑顔が印象的だった」「栃窪はものが少ない分人のつながりがあり豊かであると感じた」などの感想が聞かれました。
このところ続いている雪で在来線の運行は見合わせ、プログラムの開始は40分ほど遅れてしまいましたが、笛木さんたちは「雪がたくさんあって栃窪らしいところを見てもらえた」と笑い飛ばしていました。
「やまざとの食と暮らし講座」は今回で予定していた4回の講座を終えました。「山菜は暮らしそのもの」「住めば都」という集落の人の言葉から、栃窪という山里の「食と暮らし」には、自然に親しみ暮らしを楽しむ知恵がたくさんつまっているということをあらためて学びました。
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