青かった穂が黄色く色づいてきました。まだ籾の中はやらかくて厚みもありません。これからが勝負です。
2-3週間程前に花が咲いたイネたちは、受粉もうまくいったようで、モミが育ってきています。
初めは緑色そのものだった穂が、順次色づき始めていて、同時に、重みが出てきて垂れ始めています。中に米粒がしっかり形成されはじめてきたようです。
風がくると、この重みを持ち始めた穂がざわわと揺れていきます。夏の名残の強い日差しを浴びて、モミは育っていきます。
穂が出てからの毎日の最高気温のたし算が、1,000度になると刈り取りが出来ると言われます。平均の最高気温が25度とすると40日。9月の終わりから10月の初めが刈り取り時期なのですが、それまでの天気で、実の入りが決まってくるのだそうです。
イネの根本には、何度も草取りをしたはずなのに、また雑草がびっしり生えてきています。ツユクサやアオイの仲間の植物が、きれいな白い花を咲かせています。
じっくりみると大変美しいのですが、イネにとっては大事な栄養素を奪いあう競合関係にあります。「完全無農薬で安全なコメを」というのは簡単ですが、実際にはこの競合関係から、抜け出すのは大変です。
ごま和えや天ぷらなど、春の味覚として知名度の高い「ウド」ですが、春先に難を逃れたウドたちは今、白い小さな花を咲かせています。
栃窪では山まで採りに行かなくてもいいように、田んぼの大きなあぜや庭に移植している場合が多く、集落内のそこここでウドの花が見られます。
8月中旬くらいから見られるようになり、後から後から咲いています。
ちなみに慣用句で「ウドの大木」と言うだけあって、大きいものは2メートル近くにもなっていますが、実際は「木」ではなくクキです。
トウモロコシ、ナス、ピーマン、トマト、スイカ… 大根の種まきをした畑と別の畑を2カ所もまわって、夏野菜を収穫しました。
大根の種まきをした畑も、この2カ所の畑も、全部桑原さんの畑です。畑には動物がやって来たあとがいっぱいありました。それに対抗して桑原さんも空き缶をぶら下げて音が鳴るようにしたり網で囲ったり、いろんな工夫をしていました。
収穫に適した大きさや色を教わって収穫し、桑原さんの家の車庫に集めました。(車庫は作業場にもなっていて、バイクや自転車の他にお米を乾燥させる機械などもおいてありました。)自分たちで収穫した野菜と、あらかじめ祐子さんが収穫しておいてくれた野菜(メロン、夕顔)をブルーシートの上でに広げて、みんなで山分けにしました。
集落のおじいさんが、セミになる前のセミ(幼虫)を持ってきてくれました。
7月25日、ちょっと遅くまで事務所にいて、そのあと集落のみなさんとお盆祭りの出し物の練習をしていました。
そこへ、よく知っているおじいさんが来て、「こんなものがいたぞ」と手を差し出します。見てみると、手の中でセミの幼虫がもぞもぞしていました。足にはまだ土のかたまりがついていて、土から出て間もないようでした。
「はい」と渡されて受け取ったまではよかったけれど、よく考えたらどうしていいかわかりません。とにかく抜けがらを思い出して、幼虫がぶら下がれる植物を探しに外へ行きました。しかし暗くてちょうどいいものが見つけられず、仕方なく割り箸と生けてあったあじさいを虫かごに入れて、いったんその中に入れました。
しばらく動きまくっていた幼虫は、40分後くらいにはだんだん動かなくなってきました。「これじゃあ飛び立てないかもしれない」と無理矢理かごのそとに出し直しました。そして何の根拠もなく「セミになるのは朝早くだ」と思っていたので、練習に戻りました。
1時間後、練習を終えて帰ろうと事務所に行ってみると!もう幼虫の背中が割れて、セミが出てきているではありませんか。白い、まだセミとは似ても似つかない状態です。白い体全体がカラから出ていて、頭が下向きになっています。
どうしても過程を見たかったので、持ち帰って観察することにしました。そのままおそるおそる、普通なら3分くらいでつく道を8分くらいかけて帰りました。
羽は薄いきれいな緑色に広がっていました。目も黒目がちでツブラです。その目がとてもかわいくて、しばらく見ていました。
翌朝、セミは茶色くなっていましたが、じっとして動かなかったので、かごごと外の木や草がある近くにおいておくことにしました。
ここまでで約12時間かかりました。大人になったあのセミは、精一杯生きてくれていることでしょう。せみが
開講式が終わるとすぐに祐子さんの畑へ移動。集落センターから車で2〜3分下った、シャトースキー場駐車場の少し上辺り、栃窪側の道路脇に小道があります。
祐子さんの後に続き、桑の木のトンネルをくぐり、傾斜のあるその小道を3分くらい登って行くと、2段にわかれて祐子さんの畑がありました。斜面に向かって右側はスキー場で、リフトの鉄柱も見えます。面積は全部で約1反。見晴らし抜群!南魚沼を一望に収めることができます。
まずは分担して畝づくりと大豆の苗の移植をしました。
畝づくりは、予め祐子さんが作ってくれていた10メートルくらいの畝がすでにあったので、溝の部分の雑草を鍬でけずるようにしていくという作業でした。初めて鍬を使った参加者はうまく扱えず苦戦。その横でサクサク畝を作っていく祐子さん、さすが!
できた畝からどんどん苗を植えている間に、気が付くと7本の畝ができていました。
6月15日(日)、夏の訪れを告げるホトトギスもピョピョピョ ピョピョピョ と鳴く、初夏の気持ちいい快晴の日の午後、2008年度栃窪いきものプロジェクト第2回が新潟県南魚沼市栃窪集落で行われました。
参加したのは、22人(子ども11人、大人11人)。集落の方17人に同じ南魚沼市内からや東京からの参加者も加わりました。今回は、清水が流れ込む空き地「清水端」と第1回でも行った山「天王さま」にいきました。
清水端は、上杉謙信も通ったという栃窪峠に続く古道沿いにある空き地です。冷たい清水が流れ込んでおり、いくつが深い水たまりができています。ここでは、4種類のカエル、イモリ、サンショウウオの両生類や、レッドリストに載っているシナイモツゴという魚、他にもコオイムシやイトトンボのヤゴなど虫も多く確認されました。
地元の小学生の「身近なところにたくさんの生き物がいるんだな」との感想に「弱い生き物である両生類がたくさんいるということは、とても良い環境があるということ。それが人の家のすぐ近くにあることは素晴らしい。」と講師の深沢先生。
去年から継続して参加している地元の小学生は「秋に見た時より生き物が減った。季節の違いを感じた。 」とコメントしました。継続的に観察するとより多角的な視点をもつことができるだと気づかされました。
「天王さまの森が涼しくて幸せだった」
天王さまは、針葉樹と広葉樹が交じりあった森で、森に一歩足を踏み入れると、冷んやり気持ちいい。「森の中は温度が一定で乾燥もしない。そして、ここは特に針葉樹と広葉樹が交じりあった森なので、生息する生き物の種類も多い。」と深沢先生は教えてくれました。早速のセミの鳴き声を聞いたり、クスサンというガの繭やホウの実、リスがかじった後のクルミ、キツツキが開けた穴のある木、大きなブナの木と足下に広がるブナの子どもたち。たくさんの生き物がこの森にいることを感じました。
また、前回見つけたタヌキの穴は今回も健在でしたが、新しい糞の形跡がなかったり、タヌキの皮膚のついた毛が落ちていたりしたので、何者かに襲われた可能性が考えられるということでした。
「とにかく気持ち良かった。癒された。」「昔はこんな風に遊んでいたが、今は仕事場と家との行き帰りなので、久しぶりに童心にかえった。カワニナやドジョウが昔に比べて少なくなっていた。」と参加者の感想がありました。
定点観測では、前回よりも多く、オタマジャクシ2種、マルタムシ、イトトンボのヤゴと幼虫、コオイムシ、アメンボ、ゲンゴロウの幼虫が観察されました。
水芭蕉(ミズバショウ)が、とあるお宅の池につながる水路に咲いてました。
水芭蕉は4月から5月に湿地で咲きます。栃窪的には少し早めの開花です。
一見白いところが花の様に見えますが実は葉の変形したもので、中の芯のようなものに数十から数百の小さな花が集まっています。
水芭蕉は「夏の思い出」の歌のとおり、何といっても尾瀬沼が有名ですね。広辞苑でも季節は「夏」とありました。
でも実際にはこのとおり今の時期に咲いていますし、俳句の季題便覧では「春4月」とあります。不思議に思って少し調べたところ、尾瀬沼のような高地では融雪後の5月から7月にかけて咲くのだそうです。なるほど…
*水芭蕉 心の俳句*
水芭蕉せゝらぐ雪解水に咲く 高浜年尾
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