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2016年ヤップ島プログラムの報告会が開かれました

報告会終了後の集合写真。参加者が手にしているのは、同行したスタッフが手織りした木綿の布を使った修了証です。
報告会終了後の集合写真。参加者が手にしているのは、同行したスタッフが手織りした木綿の布を使った修了証です。

2016年のヤップ島プログラムの報告会が、11月13日午後、東京都千代田区の神田公園区民館で開かれ、参加者や家族、知人、関係者ら20数人が、現地の自然や暮らしだけでなく、自分自身の生き方を一緒に考える機会となりました。

午後2時前からの報告会では、前半に全体的な活動報告、後半はそれぞれがどのように感じたのかを報告する形で進行しました。

ヤップでの毎日の料理の報告。鍋いっぱいのカニ料理も。
ヤップでの毎日の料理の報告。鍋いっぱいのカニ料理も。

活動報告では、ヤップ島の場所、自然、海の様子、魚取りやカニのさばき方、毎日の食事や、ヤシの使い方、日本との関係などが幅広く紹介されました。中でも現地の暮らしを象徴するヤシについては、実は青いうちはジュースになり、乾燥してくるとジュース分が固まった胚乳を削ってココナツミルクにして料理に使うなどの使い方が、イラストなどを使って分かりやすく説明されました。

個人報告では、ほとんどの参加者が現地の人たちの優しさや、島の暮らしの豊かさをあげ、心の深いところでの感動を受けたことが伝わってきました。

「星空の美しさと、ホームステイをさせてもらった家族の優しさに感動した」

「人と自然の近さ、人と人のつながりの深さを感じた」

「時計にしばられない暮らし方。日本にも世界にも広がればいい」

「日本では見えなくなっているけれど、食料ひとつをとっても、どこかでだれかに私たちは支えられている、ということを改めて感じた」

現地の環境問題や社会のあり方にも視点が広がっていきました。

「海沿いの家庭に滞在させてもらったとき、自分のシャンプーの混ざった水、洗剤が混じった洗濯水がそのまま海に流れ込んでいくのを見た。日本でもどこかで起きているはずのことが、ヤップでは目の前で起きていた」

島の中心部にあるゴミ処分場。多くのゴミが山積みされている。
島の中心部にあるゴミ処分場。多くのゴミが山積みされている。

「ダンプサイト(ゴミ処理場)を見学したとき、驚く、それに対して何もできない自分の無力さを感じた」

「伝統的なグラススカート(草や樹木の皮の繊維でできている)を作れる人が集落に1人だけになっていた」

「今回現地ではスマホやカメラを使わないとみんなで決めた。画面越しではなく、目の前のことに本気で向き合う生活はよかった。絵を描き、日記をいっぱい書いた。これからも五感を使って目の前のことに向き合っていきたい」

弁論大会や部活動の試合で出席できなかった参加者たちからの発表も、他の参加者が代読する形で報告されました。

それぞれの参加者にとって、これからの人生に残る、大事な宝物になったことが感じられる報告会でした。

第2回環境リーダー養成講座開催

みなと区民環境リーダー養成講座の第2回の講義が行われました。講師は、首都大学東京の黒川信助教授。テーマは「港区の自然を知る〜海と干潟の生きもの」。

 

高層ビルの目の前に広がるお台場の砂浜で生きものを観察
高層ビルの目の前に広がるお台場の砂浜で生きものを観察

「たくさんの生きものを見たかったら、どこに行きますか?」こんな問い掛けで始まった黒川講師の講義。まず、生物の系統樹を用いて、進化の歴史を解説。生命が海で誕生し、現在1億種いる生物のほとんどが実は海に生息している事、したがって、お台場の海岸だけでも多様な生物を観察できる事を説明しました。

そして、干潮時に合わせて実際に砂浜に出て生きものを観察。黒川講師の案内に従って波打ち際の砂を掘ると、貝類やゴカイやエビ、カニ類などが、また、岩場ではカキやアメフラシなど、普段目にすることのない多様な生きものが次々と登場しました。

これはスナモグリ。他にもクモガニやマテガイ、クラゲにアメフラシ、ハゼの仲間など、わずか1時間ほどでたくさんの生きものを発見しました
これはスナモグリ。他にもクモガニやマテガイ、クラゲにアメフラシ、ハゼの仲間など、わずか1時間ほどでたくさんの生きものを発見しました

午後は、採集した生きものを室内でじっくりと観察。黒川講師は「ヒトに一番近いのはどれ?」「心臓があり、血が流れているのは?」などの視点を持って観察するよう指示。実はホヤなどの原索動物がヒトに近かったり、ほとんどの生きものがヒトと共通点を持っていることなど、受講生にとって驚くことばかりでした。

また、海水に米のとぎ汁をまぜた液体を濃淡2種類用意し、その中に貝を入れてどうなるかも実験。濃度の低い方は、すぐに水が奇麗になり、貝が栄養分を食べて海水を浄化する働きがあることを確認。濃度の高い方は見た目には変化に乏しく、「あまり汚れると浄化できないのでは」との反応が受講生に見られましたが、黒川講師は「人間の目には見えにくくても、同じ分だけ浄化されている。よく観察する事が重要」と指摘。結局、海の環境改善には生物の力が欠かせず、そのためには人間は海草を植えるなどして生物が住める環境を整えなくてはならないと解説しました。

参加者は「こんな近くで多様な生物が見られることに驚いた」「人間と他の生きものがそんなに変わらないと知った」と振り返り、干潟を通して自然環境の縦(時間)と横(種)のつながりを感じとった様子でした。

第4回みなと区民環境リーダー養成講座

砂浜を夢中で掘り返す受講生たち。想像以上に生き物が出てくる。 後ろに見えているのは、レインボーブリッジ
砂浜を夢中で掘り返す受講生たち。想像以上に生き物が出てくる。
後ろに見えているのは、レインボーブリッジ

6月10日、第4回講座が開催された。講師は首都大学東京の黒川信氏。テーマは港区の自然を知る「海と人と生き物たちのつながり」

朝9時00分、受講生は港区立港陽中学校へ集合。当日は大潮、しかも干潮の時間に合わせての集合です。普段見れない干潟の部分までもが現れる限られた時間です。

講義終了後、黒川講師から八丈島で採ったテングサでつくったところてんをいただき、歓談しているところ
講義終了後、黒川講師から八丈島で採ったテングサでつくったところてんをいただき、歓談しているところ

既に準備を整え待ってくださっていた黒川講師、お手伝いしてくれる学生4名と合流し、早速干潟へ向かいました。

実際の調査に移る前に、調査の方法、危険な生き物について簡単に説明を聞きました。その後、いくつかのグループに別れ、出来るだけ多くの種類を採取しようと夢中になって砂浜を掘り返しました。

途中、アマモ再生に取り組む方のお話しも聞けました。岩場に移動してからはびっしりと岩に張り付く牡蠣の殻に足をとられながら、砂浜とは違う種類の生き物を観察・採取していきました。
約2時間の調査でしたが、信じられないくらい多くの生き物が干潟で生息していることわかりました。

浜辺でゆっくりと昼食を取った後は、教室での講義です。

始めに、採取した生き物の観察をしました。そこら中で喚声があがり、これを採ったのはわたしだ、ぼくだと、まるで子どものように騒いでいる受講生の姿が印象的でした。
その後、脊椎動物であるヒトは、なんとなまこやヒトデなどと同じ系統の動物であることなど、海と生物、生物と人、人と海のつながりについて話しがありました。

海と様々なつながりを感じた受講生たちは、前回の学習テーマでもあったゴミが浜辺に散見されることや、生活排水についても考え始め、自身の生活を見直しているように見受けられました。