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自然をとことん感じた「雪ざんまいキャンプ」

 エコプラスは、2021年3月20日~22日に、新潟県南魚沼市の巻機山(1,967m)中腹の清水地区で、「雪ざんまいキャンプ」を行いました。新型コロナウイルスの対応のため、ご縁のある高校生、大学生、社会人13人が、事前の自主隔離やPCR検査を経て参加しました。

 今回は、前日19日の準備段階からほとんどの人たちに加わってもらい、3m前後の雪が残る清水地区に移動。設営作業を行いました。

 青空に白い山がそびえ立つ見事な光景の中、本部テントの資材や薪をソリに積み、かんじきを履いて、設営場所に引き上げました。集落の長老3人が慣れた手つきで立ち木にロープを通してブルーシートを張ります。手際の良さにみんなびっくり。ドラム缶を切ったコンロ3基が置かれ、それを囲む椅子が雪を掘って作られました。

 20日も午前中は快晴。みんなが一列になって雪を踏みしめて平らにして、そこに宿泊用のテントを設置しました。コロナ対策で、テントの収容人数を減らしたため、全部で7張。

 お昼は、雪面を掘って作った雪のテーブルを囲んでおにぎり。午後はトイレ作り。近くの杉林の中に、男子チームは、周りをレンガ塀のように雪で囲みました。トイレに向かう斜面には階段を作り、両脇には杉の葉を植えて、おしゃれな小路に仕上がりました。一方、女子チームは、木と葉で念入りに目隠しを作り、飾りのついたこじゃれたトイレに。ちなみに、手とおしりは雪で洗います。

 雪の中では、工夫次第で、テーブルも、風よけの壁も、食器棚も、何でも作れてしまいます。

 夕方には小雨が。2つのチームに分かれて、それぞれ一斗缶を改造したコンロ2つを使って、コメを炊き、おでん風ミルクシチューを作りました。夜になると、雨風が強くなり、ごーごーという風の音を聞きながら眠りました。

 21日は、地元の阿部和義さんの案内で集落の後にある、「後山」へ。集落を雪崩から守るために、絶対に切ってはならないというおきてがある場所。樹齢百年以上のブナの巨木が並ぶ斜面を歩きました。開けた場所では、ビニールシートを尻にしいてそりをしたり、鹿やウサギの糞、熊が木に登った爪痕を観察したり。カモシカがすぐ下を歩いているのを、目撃出来た人もいました。

 夕方近くからは寒冷前線の通過で、強風とともに本降りに。その中でも、もう自由に火を操れるようになったみんなで、夕食を準備。地元からはイノシシとシカの肉が入った大鍋の差し入れも登場しました。

 雨風はその後も続き、テントのフライシートが飛ばないか、気を遣いながらの夜となりました。

 明け方になると、今度は小雪が舞う状態。朝食後に、ススで真っ黒になった鍋を木灰と杉の葉で磨き上げるなどして撤収作業を進めました。

 自然を体験するだけではなく、暮らしを組み立てることが、エコプラスのキャンプの大きな目的です。地元のみなさんからも、その地で積み重ねられてきた暮らしの知恵を学びます。

 参加したみなさんからは「自然の中で暮らすことでこんなにも知らない世界があることが分かった」「雪だけでこんなにもいろんなことが出来る」「普段の暮らしが、どれだけ自然を切り捨てて営まれているかを感じた」などのコメントが寄せられています。

Snow Camp in Niigata

陽光の中で、雪ざんまいキャンプ

Jumping into the snow 雪の中に飛び込む

ECOPLUS conducted snow camp from March 20 to 22 in a mountainous village, Shimizu in Niigata, Japan with 12 participants including high school, university students and young adults. TAKANO Takako, executive director of ECOPLUS, Shimizu villagers and 2 other staff supported the program.

 2020年3月20日から22日まで、新潟県南魚沼市清水地区で、恒例の「雪ざんまいキャンプ」を開催しました。参加したのは高校生から大学生、社会人まで12人。高野孝子代表理事ほか2人のスタッフ、地元集落のみなさんと一緒に、雪の中での2泊3日を存分に楽しみました。

Due to extraordinary warm weather condition of this winter, snow was far less than normal. We only had 50cm to 1 meter of snow at the filed where it should have more than 2 meters. However, wet snow and strong wind suddenly came when the participants began to set up the tents, toilets, the fireplace and other facilities.

 この冬が異常に暖かだったことから、例年なら2m以上の雪がある現地も、50センチから1mほどの雪しかなく、一部は地面がむき出しになっているところまでありました。みんなで調理場やトイレ、テントなどの暮らしの環境を整えようとした矢先、強烈な風交じりの雪が降り始めて、一気に冬に戻ったようになりました。

Finally they set up the living space. Creative boys’ and ladies’ toilets were built in snow decorated with leaves and trees. Cooking was also done on the snow. They cut vegetables on the snow table and made fire on the snow.

 出来上がった男女別々のトイレは、それぞれ雪や落ちていた木の枝を使ってアートに仕上げられていました。料理も雪の上。雪の上で野菜を切り、雪の上で火を付けて調理をしました。

On day 2, we enjoyed snow shoe hike under the blue sky. Using traditional Japanese snow shoes, called “Kan-Jiki,” we started walking. On the surface of snow, many animal footprints were spotted. The villager, ABE Kazuyoshi, taught us they were raccoon’s or marten’s. We also found marks of hares, squirrels and others.

 2日目は、晴天のもと、かんじきハイクを行いました。日本の伝統的なかんじきをそれぞれはいて、山の中に。雪の上にはあちこちに動物の足跡がついています。地元の阿部和義さんが「あれはタヌキ」「こっちはテン」と教えてくれます。ほかにも、ウサギやリスなどの足跡を見ることができました

During three days, we spent time on the snow; cooking, eating, talking, playing, sleeping, and so on. Villagers offered us a big pod of wild bore stew and wild deer curry and rice. They talked about life and nature now and then. We concentrated our senses on listening, watching, communicating, without being annoyed by modern devices. By simply using time just for living, participants had rich and dense learning experiences.

 3日間、私たちは雪の上で、料理をし、食べ、話し、遊び、眠るなどして過ごしました。村人からは、イノシシ鍋や鹿肉カレーなどもいただき、また山の自然や暮らしが今と昔でどう変わってきたかの話を聞かせてもらいました。この間、スマホなど「便利な」道具はほとんど使わず、聞いたり、見たり、話しをしたりすることに集中しました。暮らしことのために時間を使うなかで、参加者たちは、豊かで濃い学びを体験することが出来ました。星空を二日続けで見ることができた。自然の偉大さや厳しさを感じることができた

 星空を二日続けで見ることができた。自然の偉大さや厳しさを感じることができた。

男子高校1年生

 雪でできることがこんなにも多いとは思わなかった!クリエイティビティがあれば可能性は無限大。

男性社会人

It was gorgeous to watch so many stars every night. I felt the greatness and severity of the nature.

10th grader, boy

I was surprised to find that so many things could be done with snow. Possibility is infinite only with your creativity.

Male, business person

雪とたっぷりと楽しむ・・・雪中キャンプに17人

09年度の雪中キャンプ、「大荒れ」という天気予報でしたが、快晴から雨、吹雪、そして快晴へという天候の中で、みんなはたっぷりと楽しみました。
新潟県南魚沼市の清水地区で、2010年3月20日から22日までの2泊3日、首都圏や地元の子どもたち計17人が集まって、エコプラス恒例の雪中キャンプに挑戦しました。あいにく日本海側を通った低気圧の影響で、初日の夜遅くに雨、2日目夜には吹雪となる天候でしたが、子どもたちはまきを使った料理や尻すべりなどで存分に雪を楽しみました。

参加したのは、小学校4年生から高校1年までの男女17人。東京、埼玉、神奈川の首都圏、地元南魚沼市、さらには大阪府からも夜行列車で中学1年生が加わりました。

滞在の場所となった清水地区は、日本百名山のひとつ巻機山(1,967m)の登山口にあたる20世帯弱の小さな集落です。標高は約600m。その中心部から500メートルほどさらに奥に入った雪の台地を、キャンプ場所として使わせてもらいました。

夏場はダイコンなどが育つ畑ですが、積雪はこの時期でも2メートル以上。

雪の上でのたき火は、一斗缶を使って起こします。後ろのテント群がお泊まりの場所となりました
雪の上でのたき火は、一斗缶を使って起こします。後ろのテント群がお泊まりの場所となりました

参加者は、「スノータイガー」「スーパーホワイトスノータイガー」とそれぞれ名付けた2つのチームに分かれて行動しました。
初日の天気は快晴。時折生ぬるいほどの暖かな風を感じながら、雪を掘り下げてトイレを作ったり、参加者用の計5張りのテントを建てたりして、暮らしの場所を作りました。夕食も、雪の上でまきを使って大鍋でごはんととり鍋に挑戦。ごはんはちょっと固めだったけれども、両チームとも午後8時前には食べ始められるという手ぎわのよさでした。
細い三日月が西側に、南にはオリオン座がきらめく雲ひとつない夜空でしたが、午後9時頃から雲が出始めました。就寝は10時過ぎ。夜半には雨がぱらつき始め、時折稲妻が走り強風が吹きつける荒れ模様となりました。

落差数十メートルを一気に下り降りる「豪快尻すべり」。今年は雪質がすべりやすく、高速尻すべりになりました。
落差数十メートルを一気に下り降りる「豪快尻すべり」。今年は雪質がすべりやすく、高速尻すべりになりました。

2日目の朝には、雨が上がり、いよいよハイライトの尻すべりへ。キャンプ地を9時すぎに出発して雪道を1時間余り歩いて、標高800メートルほどの尾根まで上がりました。途中、ウサギやキツネの足跡が雪の上に残されているのも発見。休憩をとった後に、一気に落差数十メートルの斜面を滑り降りる、豪快尻すべりが始まりました。
おしりの下に敷くのは、幅50センチ長さ1.5メートルほどのビニール袋。腹ばいになって前向きに突進する人、途中で横転してごろごろと落ちていく人、スタッフと一緒に腕を組んですべる人。いろんなスタイルに一人ひとりがすべるたびに、拍手が起きました。

尻すべりの後の午後は、キャンプ地一帯で自由な雪遊び時間。すべり台を作ってソリでジャンプをしてみたり、大きな雪穴を掘ったりと、存分に雪を楽しみました。

このころから雪が激しくなり、夕方の食事は杉林の中に作った天幕の中で用意することに。焼き肉には、地元で取れたシカ肉の差し入れも登場して、おなかいっぱいになりました。

最終日の朝起きてみると、前日みんなで遊び回った足跡がまったく消えてしまい、30センチ近い真っ白な新雪に一面がおおわれていました。雲の切れ目からは青空も見え始め、周辺にそびえる白い山々と青空がくっきりと見える素晴らしい光景となりました。

快晴から雨、吹雪、そして快晴へとめまぐるしく変わる天候の中でしたが、地元清水集落のみなさんの強力な支援と、参加者のがんばりで、充実した3日間となりました。