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「未来の脅威は環境問題」・・・レスター・ブラウンさんが語る

米国の環境学者レスター・ブラウン氏を招いたシンポジウムが、2010年5月27日に東京都千代田区の憲政記念館で行われました。

 

熱意あふれる言葉がトークセッションで飛び交いました。
熱意あふれる言葉がトークセッションで飛び交いました。

シンポジウムは、ブラウン氏の基調講演の後、竹田義信・アサヒビール社会環境推進部長と高野孝子・エコプラス代表理事の3人でのトークセッションが行われました。

ブラウン氏の基調講演の中で、「低炭素社会に向けた方法論はすでにある。太陽、風力、地熱の3つで、これまでの化石燃料に頼った発電を置き換えるのだ」と主張。すでに中国やアメリカで大規模な取り組みが進んでいることを紹介しました。特に去年のCOP15にあわせて欧州のミュンヘン再保険会社が提唱した「デザーテック」構想を取り上げ、北アフリカの風と太陽のエネルギーを欧州に供給する事業を、政府が関与しない民間の試みとして高く評価していました。

会場には300人近い会社員や若者が詰めかけました。
会場には300人近い会社員や若者が詰めかけました。

ブラウン氏は、「グリーランドの氷床が全部融解すれば、全世界の海面が7メートル上昇する。私たちはいつその限界を迎えるのか、まだ何も知らない。表土の崩壊、魚の乱獲、森林破壊、温暖化ガス。あらゆる課題について何一つ改善を出来ていない人間社会は、文明崩壊の危機にある。次の世代では間に合わない。私たちの世代でこの解決に当たらねばならない」と強い警告を発していました。

港区の自然と生き物展開催中

537-l 港区立エコプラザ環境学習パネル展「港区の自然と生き物展」が8月16日から始まりました。
オフィスビルやマンションが立ち並ぶ港区にも、少し目を向けると自然がそこかしこに残されています。このパネル展では、お台場の干潟、元麻布のビオトープ、自然教育園、六本木ヒルズ屋上庭園など、あまり知られていない港区の自然環境と、そこに生きる生き物たちの姿を写真でとらえ、その生態を紹介しています。

538-lオオシオカラトンボなどの昆虫、シジュウカラなどの鳥類、アカエイなどの魚介類など30点あまりを展示し、それぞれの生き物が生息できる条件や環境の変化による影響なども解説しています。

身近な自然を知る事から、環境問題について考えてみてはいかがでしょうか。

パネル展は9月8日まで開催されています.
(日月祝休館。午前9時〜午後5時まで)

環境教室「温暖化防止」行われました

講師の石井徹さん(朝日新聞編集委員)
講師の石井徹さん(朝日新聞編集委員)

世界各国の地球温暖化対策を報告する環境教室「国際社会に広がる温暖化防止の取り組み」が7月17日(火)に行われ、盛況のうちに終了しました。

講師は、環境問題を中心に取材している朝日新聞編集委員の石井徹さん。石井さんは、最近、同紙の連載でヨーロッパやアメリカの温暖化対策の最新事情を報告しています。

石井さんはまず世界的な気候の変化にふれ、台風の大型化、サンゴの白化、干ばつ、森林消失など、「観測史上なかったことが起きている」現状を説明。そして、それが「人為的影響」によると、専門家からなる国際機関が報告していて、共通理解になっていることを説明しました。

資料を見ながら耳を傾ける参加者。会場は満員になりました。
資料を見ながら耳を傾ける参加者。会場は満員になりました。

こうした現状に対して、対策をリードしているEUの取り組みにふれ、イギリスのカーボンオフセット(排出した分の二酸化炭素を植林などで削減する)や、ドイツの自然エネルギー推進策(太陽光発電など)を紹介。とりわけ、ドイツが、投資の仕組みを取り入れて年金基金も参加しているなど、政策誘導が効を奏している状況を解説しました。

一方で、EUがリーダーシップをとる背景として、温暖化対策を「ビジネスチャンス」としてとらえている向きがあることにもふれ、排出権取引などには批判もあるという実態を指摘しました。

翻って、日本では、京都議定書で90年比6%削減とうたっていながら、削減策が効果を発揮しておらず、EU諸国に比べて政策誘導が欠けていると指摘。「2050年にCO2を半減すると言っているが、考えられない。ライフスタイルが全て変わるぐらいでないと」と、状況の厳しさを語りました。

最後に、石井さんは、「一番訴えたいことは?」という参加者からの質問に、自身子どもを持つ親として危機感があり、「『明日世界が終わろうとも、今日木を植える』の気持ちでやっている」と語り、「大変だけどみんなで考えていかないといけない」と締めくくりました。

温暖化問題への関心が高まっているだけに、この日は高校生、主婦、ビジネスマンなど多数の参加者が来場。たくさんの質問が出され、活発なやりとりが行われました。