6月13日(日)、朝6時からバードウォッチングと生きもの調べが行われました。林の中や周辺で、野鳥の鳴き声を聞いたり、様々な生きものを観察したりしました。
6月13日(日)に、南魚沼市栃窪集落で今年度2回目の「栃窪生きものプロジェクト」が行われました。「田んぼのイロハ」参加者を含む17人が参加し、小出高校教諭の深沢和基さんを講師に、バードウォッチングや生きもの観察を行いました。
最初に栃窪集落センターに集合した時点で、サンショウクイやカワラヒワ、ヤマガラ、ホトトギス、メジロなどの鳴き声や姿を確認できました。
その後、地元の人から「天王さま」「薬師さま」と呼ばれている小さな山の林やその周辺で、観察を行いました。深沢さんによると、その林は、針葉樹であるスギと広葉樹であるホオやイタヤカエデ、クルミなどが混ざっている、典型的な日本の里山とのことです。木には小さな虫が住み、クルミなどの実はリスやネズミなど小さな生きものを支えます。そしてそれらをエサにする生きものが集まり、豊かな生態系を育みます。
キビタキの鳴き声を聞いたり、植物を調べたりしながら林の中を行くと、子どもたちが大きなブナの木の下でクルミのからを見つけました。恐らくリスが運んだものだろうと深沢さんが推測し、こうした痕跡から生きものの行動を想像することが生きもの調べの面白さであり、大切なことでもあると付け加えました。
林の周辺では、幅40センチくらいの川沿いの農道を歩きながら、生きものを探しました。川べりでオオカワトンボ、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエルなどを、川の中ではオニヤンマなどのヤゴを、観察することができました。
ふりかえりでは、地元の小学生が印象に残った生きものとしてアワフキムシ、オオカワトンボ、カナヘビなどの名前をあげていました。中学生は「シュレーゲルアオガエルはよく見るがモリアオガエルは今年初めて見たので、数が減ってきているのでは」と話していました。また「田んぼのイロハ」参加者で首都圏から来た人は、「カエルの種類の多さに驚いた」「自然を見る観点を教えてもらえた」と話していました。
都市部の学生など若者を中心とした21名が参加して、5月22-23日に新潟県南魚沼市清水地区で、地元の皆さんと地域の生態系を保全するための作業を行いました。
山里生物多様性保全プロジェクト〜清水いきもの復活大作戦・春の巻〜が、2010年5月22-23日に開催されました。参加者は首都圏からの学生や若い社会人が大半で、活気のあるメンバーとなりました。
初日は、2日間の作業概要の説明後、清水地区の西谷後へ移動。休耕田の生物多様性を蘇らせるための生息環境(ビオトープ)作りや、それを観察するための整備作業などを行いました。
具体的には、地元の人たちの指導のもと、あらかじめ重機で掘った2ヶ所の池に土を盛って畦を作る作業や、長靴をはかずに現場を観察できるための木道の整備、周辺の木をその場で加工・使用した土留め作り、ドロバチなどが住めるように短く切った竹の束を木に固定する作業、などを行い、合わせて池の数箇所で水質検査を実施しました。
2日目は、当初予定されていたナメコのコマ打ち作業が残雪でできなかったため、清水地区大明神の休耕田に作った大小計8ヶ所の池で、前日と同様の作業を行いました。ここでは、池によって深さを変えるなどして、ハッチョウトンボなどの生物が戻ってくるための工夫を凝らしました。
2日間を通して、参加者は普段見ることのない豊かな自然を満喫しながらも、慣れない肉体労働に悪戦苦闘の連続。それでも、作業の要領を覚えたためか、2日目からテキパキと作業をこなし、途中から雨が降り出したにも関わらず、予定よりも一時間も早く作業を終わらせるなど、地元の人たちを驚かせました。
ふりかえりでは、自然とのつながり、そして清水地区の人たちと出会って交流できたことに感謝する声が相次ぎ、清水の人たちからも再会を楽しみにしているとのメッセージが贈られました。
今回の作業を通して、参加者は、農山村の生物多様性を保全していくことの大切さを実感するとともに、地元住民との交流を通して、自然と近い暮らしのあり方や人と自然の関係について深く学ぶことができたものと思います。
5月23日(日)早朝6時から、バードウォッチングを中心に生きもの調べが行われました。野鳥のおもしろい行動をいくつも観察することができました。
5月23日(日)に、南魚沼市栃窪集落で2010年度第1回目の「栃窪いきものプロジェクト」が行われました。集落内外から14人が参加し、講師で小出高校教諭の深沢和基さんの説明を受けながら、バードウォッチングをメインに野鳥や生きものを観察しました。
杉の木の先にとまったハチクマにカケスが嫌がらせをするところや、サシバとトビが対決するところを目撃したり、アオゲラのドラミングにじっと耳を傾けたりしました。ドラミングを聞いた場所から6、7分移動した場所で、杉に木に新しく開けられたと思われるキツツキの巣穴を見つけました。また、遠くの木の先にとまったカワラヒワを単眼鏡で観察し始めたら、じっとして動く様子がなく、スケッチをした子どももいました。
昨年同じ時期にモリアオガエルが産卵のために集まっていた沼には、今年はモリアオガエルの姿が見当たりませんでした。沼の周辺に、マンサクやキクザキイチゲなど早春の花々が咲いているかと思えば、夏の花であるオオバキスミレも同時に咲いているという場所があり、今年の気候が平年と異なるということが確かめられました。その他の水辺2か所では、モリアオガエルの卵のみ確認できました。
深沢さんがタンポポを見る度にエゾタンポポかどうかを確認していたので、子どもたちも見分けるポイントを教わって探しましたが、セイヨウタンポポばかりで見つかりませんでした。集落センターに戻る少し手前で、地元の人が「うちにあるから」と庭に通してくれ、エゾタンポポを観察することができました。
ふりかえりでは子どもたちから「サシバがかっこよかった」「たくさん鳥を見られてよかった」などの感想がありました。
寒くなり、見つけられる生き物の数が減っていました。
2009年第6回目の「栃窪いきものプロジェクト」が、11月7日(土)に行われました。参加者は、地元や新潟県内からの人、首都圏からの「田んぼのイロハ」参加者など34人。集落を散策しながら、生き物の様子を観察した他、村はずれまでイノシシが田んぼを掘ったあとを見に行きました。
今回は、栃窪集落のイベント「とちくぼ秋のパノラマウォーク」の一環の「生態系観察会」としても行われました。
はじめに講師の深沢さんから栃窪の生態系について説明を受け、生き物調べへ出発しました。
小学校裏のスイレンの田んぼ、「清水端」のため池、定点観測をしている「桐木平」の田んぼ跡、の順番に移動しながら、生き物を観察しました。観察したのは、コオイムシ、ドジョウ、タニシ、オヤンマのヤゴ、アカハライモリ、トビケラの幼虫(筒状の葉)、ギンヤンマのヤゴ、ザトウグモ、オタマジャクシなど。
桐木平から集落センターへ戻りかけたところに地元の人がいて、「イノシシの掘った穴を見せに行こう」と誘ってくれました。村はずれの大狭間というところへ行ってみると、山すそからすぐ近くの田んぼの一画に、足あとや、鼻先で掘ったのではないかという、直径1メートルくらいの穴がありました。
深沢さんによると、「いい生態系」とは、たくさんの種類の生き物がいることと、大きいものがいること。栃窪は針葉樹・広葉樹の混交林で、多様な生き物が生きられる場所だとのことです。また、「イノシシは、今まで栃窪にはいなかった動物。生態系が変化してきているかもしれない」「寒くなり見つけられる生き物が減ってきていた」とも話していました。
ハス田んぼで生き物調べを行ったあと、アカハライモリやドジョウ、タヌキモなどを観察用の容器にいれ、スケッチを行いました。
2009年度「栃窪いきものプロジェクト」の第3回が、8月1日(土)に行われました。
参加者は、合計20人。 栃窪小学校の児童と父兄、教員のほか、集落の人、東京から栃窪に遊び来ていた親子などでした。
開始して早々に雨が降り始め、傘をさしながらの生き物調べとなりました。
まずは小学校裏のハス田んぼで、集落の人が作った生き物の逃げ場になる穴を調べました。子どもたちが網で穴の中のモや泥をすくうと、コオイムシ、アカハライモリ、ドジョウ、オタマジャクシ、マルガタゲンゴロウ、タヌキモ、ミズオオバコ、などがいました。
穴を作るまではハスが一面をおおいつくしていましたが、昨日は穴の水面からタヌキモとミズオオバコの花が顔を出して咲いていました。「少し手を入れただけでこれだけの環境の変化があるとは」と、講師の深沢さんもおどろいていました。
タヌキモは茎のあたりに持っている袋で微小動物をとらえる食虫植物で、穴を作って観察を始めてから確認されました。希少種であるという深沢さんの説明を聞き、大人たちも興味深げに観察していました。
雨足が激しくなったため、観察した生き物を専用の容器に入れ、集落センターでスケッチをしました。父兄や教員も子どもたちと一緒に、実物を見ながら生き物を描きました。
描き終わったものをみんなで見比べ、同じ生きものを描いていても、とらえている視点が異なっていることがわかりました。深沢さんは「例えばイモリを描くとき、どうやったらイモリに見えるかを考える。それは頭の中で何をもってイモリを『イモリ』と見ているかということ。何回も描いて練習していると『ここをこう描けばイモリになる』ということに気づく」と説明しました。
参加者からは、「栃窪に食虫植物があったとは知らなかった」「スケッチで、他の人と描き方の違いがありおもしろかった」「生きものをつかまえている時の、子どもたちの活き活きした姿が印象的だった」などの感想が聞かれました。
10月3日、午前中から夕方まで、栃窪集落の5カ所の溜め池で、南魚沼の行政や自然保護団体のみなさんによる「ブラックバス駆除大会」が行われました。
お昼近くにそのうちの1カ所に行ってみると、水を抜いたため池から捕獲された生き物たちが、ブラックバスとそれ以外とに仕分けされている最中でした。
その池では、ブラックバスが23匹捕まった他に、フナやトウヨシノボリ、ドジョウなどの魚たち、貝の仲間たち、カニ、イモリ、カエル、ミズカマキリにゲンゴロウなどなど、いろんな生き物が暮らしていました。
6月15日(日)、夏の訪れを告げるホトトギスもピョピョピョ ピョピョピョ と鳴く、初夏の気持ちいい快晴の日の午後、2008年度栃窪いきものプロジェクト第2回が新潟県南魚沼市栃窪集落で行われました。
参加したのは、22人(子ども11人、大人11人)。集落の方17人に同じ南魚沼市内からや東京からの参加者も加わりました。今回は、清水が流れ込む空き地「清水端」と第1回でも行った山「天王さま」にいきました。
清水端は、上杉謙信も通ったという栃窪峠に続く古道沿いにある空き地です。冷たい清水が流れ込んでおり、いくつが深い水たまりができています。ここでは、4種類のカエル、イモリ、サンショウウオの両生類や、レッドリストに載っているシナイモツゴという魚、他にもコオイムシやイトトンボのヤゴなど虫も多く確認されました。
地元の小学生の「身近なところにたくさんの生き物がいるんだな」との感想に「弱い生き物である両生類がたくさんいるということは、とても良い環境があるということ。それが人の家のすぐ近くにあることは素晴らしい。」と講師の深沢先生。
去年から継続して参加している地元の小学生は「秋に見た時より生き物が減った。季節の違いを感じた。 」とコメントしました。継続的に観察するとより多角的な視点をもつことができるだと気づかされました。
「天王さまの森が涼しくて幸せだった」
天王さまは、針葉樹と広葉樹が交じりあった森で、森に一歩足を踏み入れると、冷んやり気持ちいい。「森の中は温度が一定で乾燥もしない。そして、ここは特に針葉樹と広葉樹が交じりあった森なので、生息する生き物の種類も多い。」と深沢先生は教えてくれました。早速のセミの鳴き声を聞いたり、クスサンというガの繭やホウの実、リスがかじった後のクルミ、キツツキが開けた穴のある木、大きなブナの木と足下に広がるブナの子どもたち。たくさんの生き物がこの森にいることを感じました。
また、前回見つけたタヌキの穴は今回も健在でしたが、新しい糞の形跡がなかったり、タヌキの皮膚のついた毛が落ちていたりしたので、何者かに襲われた可能性が考えられるということでした。
「とにかく気持ち良かった。癒された。」「昔はこんな風に遊んでいたが、今は仕事場と家との行き帰りなので、久しぶりに童心にかえった。カワニナやドジョウが昔に比べて少なくなっていた。」と参加者の感想がありました。
定点観測では、前回よりも多く、オタマジャクシ2種、マルタムシ、イトトンボのヤゴと幼虫、コオイムシ、アメンボ、ゲンゴロウの幼虫が観察されました。
2008年度第1回目のいきものプロジェクトが行われました。
6月1日早朝、2008年度第1回目となる「栃窪いきものプロジェクト」が行われました。今回はバードウォッチングに挑戦。
単眼鏡を担いで、栃窪の自然の中へいざ出発!
昨晩から降り続いていた雨が止むと、鳥の鳴く声がさかんに聞こえてきました。地元高校の理科の先生であり、いきものプロジェクトの講師をしてくれている深沢さんと、今回バードウォッチングのスペシャリストとして深沢さんのサポートに来てくれた高校生が、瞬時に単眼鏡のレンズに鳥の姿をとらえます。
「よくそんなにはやく鳥を見つけられますね。私には声は聞こえても、どこにいるかちっとも分からないのに・・・」と参加者。
「今の声はホオジロの鳴声なんです。ホオジロは木のてっぺんや電柱の先のように高い場所にとまって鳴くんです。むやみやたらに探しているのではなくて、そういう知識があるからだいたいの見当がつくんですよ」と深沢さん。
生き物を知り尽くしている人が一緒だと楽しみが倍増する。
ピントを合わせてもらったレンズをのぞくと、思わず笑ってしまった。本当にすぐ目の前に可愛らしい鳥が見えるのだ。ホオジロは胸を反らせて天を見上げて鳴いていた。「俺がホオジロだ!」と辺り一面にいばっているよう。
ホオジロの他にも、オオルリ、キビタキ、サンショウクイ、キセキレイ、サシバ、コゲラ、カワラヒワ、イカル・・・などなど、約1時間の散策で23種類もの鳥が確認できた。どの鳥も人里離れた森の中で観察されたのではなく、栃窪集落の中、またはそのすぐ近くで確認された。栃窪集落が豊かな生態系に組み込まれて位置することがよく分かる。
バードウォッチングをよくすると話す参加者も、「他の場所に負けないくらいたくさんの鳥がいることに驚いた」と話した。
今年の「いきものプロジェクト」は、毎回違ったフィールドで生き物を観察する他に、決まった場所を季節を変えて継続的に観察する定点観測も行う。
定点観測のフィールドは元は田んぼだった集落内の桐木平という沼地。この沼地の5カ所を網ですくい、そこに生息している生き物を記録する。
今回見つかったのはオタマジャクシ、タニシ、アメンボ。沼の周辺ではイモリ、イトトンボのヤゴ、モリアオガエル、ツチガエルも観察することができた。
モリアオガエルの卵も発見。3つは畦の際に、1つは木の上にあった。TAPPO事務局では畦の際にあった卵の一つを持ち帰り観察中。
次回のいきものプロジェクトでは一体なにが観察されるでしょうか?そしてモリアオガエルの卵はどうなる?
こうご期待です!
For the sustainable and peaceful future