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田植え後の苗の様子

イロハ田んぼの田植えから2週間ほど経ちました。

田んぼ全体の様子。
田んぼ全体の様子。

田んぼに苗を植えてから約2週間。苗を植えた16日から4、5日間はくもりでした。ずっと気温が低く、日中でも15度を下回ることがありました。そのために苗の生育が遅れ、植えられた時とほとんど同じ大きさのままです。葉っぱの色も薄くなってしまいました。

オタマジャクシが田んぼ全体のあちこちにいました。水が深いところのイネは、写真のようにモで押し倒されているものもありました。
オタマジャクシが田んぼ全体のあちこちにいました。水が深いところのイネは、写真のようにモで押し倒されているものもありました。

水面にはモが少しずつ繁殖してきて、土の表面にはコナギという雑草の芽がたくさん生えています。そしてその間を、小さなオタマジャクシやアメンボ、カエルなどが行き来していました。

5月31日からは20度を越える陽気が続き、6月3日は日中30度近くまで気温が上がりました。辺りからはカエルの鳴き声に混じってカッコウの鳴き声も聞こえました。この天気で苗が育つことを祈ります。

2010年田植えに21人が参加

さまざまな国の親子連れなど21人が、2010年5月15-16日に南魚沼市栃窪地区で、地元の皆さんと手植えによる田植えをしました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA 2010年度の休日農業講座「田んぼのイロハ」第1回『田植えと講座「稲作概論」』が、5月15-16日に開催されました。

参加したのは、首都圏からの親子連れや社会人、学生、など。

初日は、地元の笛木健作さんを講師に、まず苗代見学。田植え準備が進む田んぼの間をゆっくり歩きながら、雪をいただく越後三山など2,000メートル級の山々を背景にした絶景を楽しみました。苗代では、苗を実際に見ながら田植えまでにどのような準備が必要かなどを学びました。

座学では苗代作り、田植えそして稲刈りという稲作の一連の流れ、さらに栃窪における米作りの歴史や今後の課題について講義を受けました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 2日目、快晴の下で田植えに挑戦。裸足で田んぼに入って感触を楽しみながら、苗を手で植えていきました。

かなりの重労働でしたがみんなでがんばって、昼ごろには1.2反の田植えが完了しました。曲がらずに真っ直ぐに植えられたと地元の方もほめてくれました。その後田んぼで食べたお昼ご飯が格別に美味しかったです。

この広さの田植えは、機械を使えばほんの2-30分で終わってしまうそうです。それをあえて手植えすることで、守れるものは何だろう、感じられるものはなんだろう…。講義と実践を通してそれぞれがそういう思いを持って帰路につきました。少しの身体の疲れといっしょに…。

農作業が風物詩

150センチほどの積雪におおわれているイロハ田んぼ。当分は農作業なんて無理?

手前の雪の上を横切っているのは、動物の足あとです。
手前の雪の上を横切っているのは、動物の足あとです。

先日村のお年寄りとお話した際に、「肥え引き」の話を聞きました。どの家でも牛や馬を飼っていた30−40年くらい前のことだそうです。

(以下は、そのお話です)
今の時季は、積もった雪が、昼間とけて夜固まることをくり返すので、ふんわり積もった雪もぎゅっとしまり、かたくなる。重いものもそりにのせて運ぶことができたので、遠くの田んぼまで「肥え引き」をしたものだった。
木や金属でできたかじ(舵)付きのそりに家畜の堆肥を積んで田んぼに運び、一か所に固めて置いて来る。今考えてみれば無茶苦茶な話だ、棚田の傾斜をすべり降りるそりの前を人間が走ってかじを取ったんだから。そして戻るときは重いそりを引いて滑り降りた斜面をのぼる。これを何往復もした。一日にご飯を4食も5食も食べたよ。大変だった。
(ここまで)

田んぼに置いた堆肥は、雪がとけた後に田んぼ一面に均一にまいたそうです。「大変だった」と語ったおじいさんの目は、とても懐かしそうでした。

おじいさんの話から、「雪ぎえの始まりは肥え引き」というように、昔は「何月何日」ではなく、周りの自然の現象そのものが農作業の暦になっていることが、とてもよくわかりました。

(09年第6回報告)田起こしと豆腐づくりを体験

2009年11月7-8日に、南魚沼市栃窪地区で、クワを使った田起こしや豆腐づくりを体験しました。
休日農業講座「田んぼのイロハ」の今年度最後の回が、11月7-8日に開かれました。首都圏の親子連れや会社員、学生など15人が参加しました。

石うすを見て、地元の子どももやって来ました。交代しながら、にぎやかに石うすを回しました。
石うすを見て、地元の子どももやって来ました。交代しながら、にぎやかに石うすを回しました。

1日目は、地元の笛木晶さんに豆腐づくりを教わりました。
使った大豆は約3キロ。7月の草刈りの回にイロハ田んぼのあぜに苗を植え、10月の稲刈りの回に無事収穫した、「あぜ豆」です。
笛木さんの家でずっと使われてきた石うすで、一晩水に浸した大豆を、1時間半近くかけてひきました。できた大豆の汁を煮立たせ、熱いうちに木綿でしぼった液ににがりを入れ、固まってきたものを、木の箱に流し入れて重しをかけました。翌日、味の濃い、しっかりした豆腐ができていました。

2日目は、地元の桑原一男さんを講師に、昔ながらの「田起こし」を体験しました。稲を刈り取った後の株を土にかえし肥料にする、来年の米づくりに備える作業です。
「3本グワ」という刃が3本に分かれた田起こし専用のクワを、地元のみなさんに借りて使いました。クワの刃先は鋼(はがね)でできていて、どれも30−40年間使い込んでいるものだそうです。このクワで田起こしを行っていた頃は、集落に鍛冶屋がいて、修理や手入れをしてもらえたとのこと。中には5本グワもありましたが、それはあぜを作るためのクワだそうです。

ヨコ一列に並び、一人2,3列ずつを耕しました。
ヨコ一列に並び、一人2,3列ずつを耕しました。

参加者は黙々とクワを動かし、クワの刃を土に入れるザク、ザク、という音が辺りに響いていました。田んぼにはぬかるむ場所も多く、ところどころに水もたまっていました。参加者は足を取られそうになりながらも、クワにつかまってバランスをとっていました。
午前9時に始め、約2時間で一反近くの田んぼ全体を耕しました。

田起こしの後は、パノラマ農産が主催する、地元のみなさんの収穫祭に参加しました。
きねつきもち、ヌカ釜炊きのご飯、何種類もの漬け物など、地元食材のごちそうが並びました。参加者が前日から作ったあぜ豆の豆腐も、具だくさんのけんちん汁に仲間入りしました。
参加者は、田起こしの疲れも忘れ、談笑しながら味わっていました。

また、今回は1日目の始めに、栃窪集落の地域活性化のイベント「とちくぼ秋のパノラマウォーク」の一環として行われた生態系観察会にも参加し、集落内を散策しながら生き物を観察しました。1度雪が降ったからか、生き物の数は多くありませんでしたが、コオイムシやカエル、ヤゴ、オタマジャクシなどを観察しました。

とちくぼ秋のパノラマウォークについてはこちら
http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=9&aid=801

ふりかえりでは、参加者から「景色がすばらしいので、また来たい」「手づくり豆腐やきねつきもち、どこにでもあるけれど、今日ここでしか食べられないもの」「食べ物から活力を受け取った」などの感想が聞かれました。

(09年第5回報告)イネの刈り取りとはざかけを体験

2009年10月17日-18日に南魚沼市栃窪地区で、地元のベテランに教わりながらイネの刈り取りと天日乾燥の作業を体験しました。

 

天気に恵まれ、はりきって稲刈り開始。
天気に恵まれ、はりきって稲刈り開始。

休日農業講座「田んぼのイロハ」の第5回講座が、10月17日-18日に開かれました。
参加したのは首都圏の学生や社会人、親子連れなど29人。約半数が学生でした。

1日目は、地元の笛木晶さん、笛木健作さんを講師に座学を受けました。実物を観察しながら、その年によってイネの出来が異なることなどを教わりました。栃窪集落の概要や営農の現状、現代の農山村の課題などにも話題が及び、質疑応答も活発に交されました。
座学の前には、ほぼ毎月行われている生態系調査「栃窪いきものプロジェクト」にも参加。集落内を散策し、生き物を観察しました。ところどころで地元の人の暮らしも垣間見ながら、栃窪集落の生態系の豊かさを学びました。

地元の大ベテラン、笛木実さん。イネを刈るのも束ねるのも、あっという間です。
地元の大ベテラン、笛木実さん。イネを刈るのも束ねるのも、あっという間です。

前からの予報で誰もが雨を予想していた2日目は、朝から晴れ、青空の下でイネを刈り取ることができました。
いつも指導してくださるパノラマ農産のみなさんに加え、笛木実さん、日熊健吉さんが応援に駆けつけてくれました。70代後半の大ベテランの加勢に参加者は元気づけられ、1反以上のイネの刈り取りとはざかけ作業を、約2時間半で終えました。
当日まで雨が多く、至る所にぬかるみがあり、歩くことも大変な田んぼでしたが、刈り取ったイネの間から様々な植物、虫たちが姿を現し、特に子どもたちは喜んで、カエルやカナヘビを追いかけていました。もし機械を使っていたら、ぬかるんだ中での刈り取りも、子どもが生き物を追いかけることもできません。

参加者のふり返りアンケートでは、田んぼと田んぼを取り囲む集落の自然の豊かさを感じたり、地元の人とのふれあいに温かさを感じたりしたという感想が多く寄せられていました。また、くり返し参加している人は、季節ごとに異なる景色の美しさや、地元の人との交流の深まりを感じているようでした。

実りの秋の足音

穂が実り始めています。

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8月6日頃、穂は少し出たか出ていないかくらいでした。
写真は8月27日撮影のイロハ田んぼです。長さ15から20センチほどの薄い緑色の稲穂が、少しずつ実り始めています。
空にはウロコ雲、辺りにはセミとコオロギの鳴き声が入り混じって響いていました。「実りの秋」はもうすぐそこです。

10月17日・18日は「田んぼのイロハ」の稲刈りです。写真の、手作業で育てられた無農薬コシヒカリを収穫し、天日干しにします。詳細は後日ウェブサイトにて。

生育順調

イネが長さ約50㎝に成長しました。イロハ田んぼを挟む2本のあぜには、あぜ豆も育っています。
イロハ田んぼの稲が、長いもので50㎝を越えました。2週間前に測ったときから10㎝以上伸びています。クキの数も30本と、10本増えていました。

オモダカの花。葉の形が顔を高く上げたようすに似るので「面高」。花はかわいらしいけれど、イネを育てる田んぼにとっては雑草。
オモダカの花。葉の形が顔を高く上げたようすに似るので「面高」。花はかわいらしいけれど、イネを育てる田んぼにとっては雑草。

6月14日に「田んぼのイロハ」で草取りをし、片付いたかのように思われた雑草でしたが、その後どんどん生えてきました。
6月終わり頃にも、パノラマ農産で草取りをしたそうですが、それでも生き残ったコナギやオモダカなどの雑草が、元気を取り戻しています。

あぜにズラリと植えられた大豆の苗。根元の黒いものは「くんたん(燻炭)」で、モミガラを炭にしたもの。保水力や通気性にすぐれ、栄養分もあるということです。
あぜにズラリと植えられた大豆の苗。根元の黒いものは「くんたん(燻炭)」で、モミガラを炭にしたもの。保水力や通気性にすぐれ、栄養分もあるということです。

あぜには、4日−5日に行われた「田んぼのイロハ」で植えた「あぜ豆」が育っています。植えたのが暑い日でうまく根付かなかったものもありましたが、一緒に植えた桑原一男さん・信子さん、笛木久稔さんが、元気な苗と植え替えてくれました。
ちなみに「あぜ豆」とは、あぜで育てて収穫する豆のこと。各家庭でみそを手づくりしていたという30年以上前には、ほとんどのあぜに大豆の苗が植えられていたそうです。

豆の収穫にたどり着くまでには、天気に恵まれることと、芽を食べるウサギやサヤごと豆をかじるタヌキという強敵から豆を守ることが必要です。
無事成長し、タイミングが合えば、11月7日−8日の「田んぼのイロハ」にて大豆を収穫する予定です。

(09年第4回報告)草刈りとあぜ豆植え

東京から家族連れと社会人の5人が、南魚沼市栃窪地区で、あぜの草刈りを学びました。
2009年7月4−5日、休日農業講座「田んぼのイロハ」の第4回が開かれました。東京から家族連れと社会人の5人が参加しました。

4日は、地元の笛木健作さんを講師に、あぜの草刈りに関する座学を行いました。
穂が実り始める頃にやって来る害虫から米を守るために、害虫の居場所となるあぜの草を刈らなくてはならない、それもタイミングを見計らって刈ることを教わりました。
また、大型機械や化学肥料が普及する前は、刈り取ったあぜの草が、堆肥になったり家畜の飼料になったりして、循環していたことも学びました。

地元の人に研ぎ方を教わり、カマの刃を研いでから始めました。
地元の人に研ぎ方を教わり、カマの刃を研いでから始めました。

夕食後はホタルを見に行きました。山からの清水が流れている場所に飛んでいて、多いところでは10匹以上いました。

5日は、実際の草刈り作業を体験しました。地元の桑原一男さんからカマの研ぎ方や扱い方を教わり、手刈りでイロハ田んぼの大きなあぜの草を刈りました。
草を刈った後に、あぜ豆植えも行いました。

梅雨の晴れ間の少し暑い日、気温は日中29度にもなりましたが、参加者は「気持ちのいい汗をかき、心身ともにリフレッシュできました」と笑顔で話していました。

地元の人はとても手際が良く、おもしろいように草が刈られていきます。
地元の人はとても手際が良く、おもしろいように草が刈られていきます。

(09年第3回報告)1反以上の草取りを完了

親子連れなど7人が、2009年6月13-14日に、南魚沼市栃窪地区で地元のみなさんと田んぼの草取りを学びました。(09年の第2回は田んぼの状態により中止しました)

 

地元のみなさんも加わった10数人が一斉に田んぼの中で草取りを展開しました。
地元のみなさんも加わった10数人が一斉に田んぼの中で草取りを展開しました。

2009年度の休日農業講座「田んぼのイロハ」の第3回講座が、6月13-14日に開かれました。
参加したのは、首都圏の学生や社会人、親子連れなど7人。

初日は、地元の笛木健作さんを講師に、地域散策と座学を実施。住宅脇の斜面から出てくるわき水が、小さな水路を通って集ってため池に流れ込み、そこからパイプラインを通じて棚田に順番に配られていく、田んぼの水の仕組みを実際に歩きながら学びました。

座学では、イネが雑草や害虫とどのように競合しながら育っていくかを聞きました。

草取りに使われる「除草機」を押す、田んぼのイロハの参加者のみなさん。
草取りに使われる「除草機」を押す、田んぼのイロハの参加者のみなさん。

2日目の14日は、霧雨の中での草取りに挑戦。午前9時ごろに田んぼに入って、手押し車で雑草を田んぼの泥にすき込む方法を学んだり、両方の手のひらを広げてくまでのようにして草をかき集めたりする方法を実際に体験しました。

1回目のイロハ講座で苗を手植えした田んぼは、苗がまっすぐに植わっておらず、手押し車がうまく進まないところがあります。植わったイネを押し倒したりしながら、悪戦苦闘と続けました。両手を使った除草も腰が痛くなる重労働です。

除草剤を投げ込めば、細かな雑草の発芽を抑えられるのですが、完全無農薬栽培を目指すイロハ田んぼでは、雑草は次々と芽を出しています。参加者は「これは本当に大変な作業」といいつつ、霧に包まれた棚田の幻想的な光景の中で作業を続けました。

葉の数が増えました

 参加者が手でひとつひとつ植えた苗。
参加者が手でひとつひとつ植えた苗。

植えた直後は少し傾いているものもありましたが、しっかりと根が張ったようです。

5月17日に田植えをしたイロハ田んぼ。植えた直後は少し傾いているものもありましたが、今ではしっかりと根が張り、まっすぐに生えています。葉の数もだいぶ増えました。
写真を撮っていると顔見知りの集落のおかあさんが通りがかり、「手で植えるのが一番いいんだ」と話していました。

 びっしり生えているコナギ。土の栄養分をたくさんとってしまう雑草。
びっしり生えているコナギ。土の栄養分をたくさんとってしまう雑草。

苗のまわりには、いつ生まれたのかオタマジャクシがいました。茶色っぽいものと、黒くて小さいものと2種類いました。そして「コナギ」という雑草の小さな芽や、浮き草もありました。
今週末、6月13−14日は休日農業講座「田んぼのイロハ」の草取りです。草取り応援大歓迎ですので、都合のつく方は事務局へご連絡ください。

「田んぼのイロハ」詳細はこちら
http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=2&aid=737