「知恵」タグアーカイブ

青々とした苗代

OLYMPUS DIGITAL CAMERA苗代は大きく育った苗でうっそうとしています。

イネの年齢は、種籾から直接出た茎に生える葉の数で表します。これを葉齢といいます。

今日数えたところ、葉は4枚ありました。
一般的には植えてしまっている葉齢ですが、病気に強くするため、充分に生長させてから植えるのだそうです。

これは昔の苗作りのやり方で、この「苗のプール」も、「水苗代」という苗専用の田んぼをお手本にして作っているそうです。

稲の性質をよく知り、農薬を使わなくても元気に育てる工夫をしてきた昔の人の知恵は、本当にすごいなあと思います。

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「雪掘り道場」を開催しました

2009年2月20−23日、豪雪の山里、新潟県南魚沼市清水集落で「やまざとワークショップ第3回〈雪掘り道場〉」を行いました。

 

キャンプ場の炊事場の屋根の除雪
キャンプ場の炊事場の屋根の除雪

2月20-23日、新潟県南魚沼市清水集落を舞台に「雪掘り道場」を行いました。5月、8月に開催した「やまざとワークショップ」の3回目です。今回のテーマは「雪」。首都圏の大学生を中心に28人が参加し、雪掘りを通して雪国の自然と暮らしの厳しさと豊かさを体験したり、清水集落の活性化に向けた意見交換をしたりしました。

今年一番の吹雪となった20日夜に参加者は清水集落に集合しました。

翌21日は朝から地域おこし事業である「しおざわ雪譜まつり」の「山伏水行之儀」(滝打たれ)の準備と片づけを手伝いました。水行をする滝は、道路から雪山の中へ100メートルほど行ったところあり、その周辺に観客のための広場を作ります。昨晩降り積もった新雪は約60センチ。雪が降り続く中、カンジキを履いて、広場と道を踏み固めて作り、けんちん汁や甘酒を振舞うための準備や片づけも手伝わせてもらいました。水行には5人の参加者も挑戦しました。

神社の鳥居を掘り出しているところ
神社の鳥居を掘り出しているところ

午後には雪も上がり、神社の鳥居や消防小屋、高齢者宅などの除雪作業とソバ打ちをしました。除雪作業では、集落の人の軽々としたシャベルさばきを真似ながら、雪を掘り出しました。「ただ雪を掘りだすだけと思っていたが、堀る場所や落とす場所など、長年暮らしてきた人でないとわからないことがたくさんあった」と参加者。雪と暮らす知恵や技を体験しました。ソバ打ちは、第2回に植えたソバの粉と小麦粉、ふのりをつなぎとして使いました。ふのりを使うのは新潟ならではの文化で、コシの強いソバになります。打ったソバは、夕食でいただきました。その後の交流会では、猟の話から「地域活性化とは?」という話まで、参加者と集落の人がさまざまな話で盛り上がりました。

22日は、澄んだ青空が広がる絶好の雪掘り日和となりました。集落から約50分歩いたところにあるキャンプ場の炊事場とトイレの屋根の除雪、取水口のゴミを取り除く作業をしました。あたりを見回すと雪化粧をした雄大な山々の姿、足下を見ると、太陽の光を反射してキラキラ光る雪の上にリス、ウサギ、キツネ、テンの動物の足跡。空の青と雪の白のコントラストも爽やかでした。除雪作業後、雪の上でおにぎりを食べ、雪だるまを作ったり、斜面を肥料袋をお尻の下に敷いて滑りおりたり思い思いに楽しみました。

最後の意見交換会では、地域活性化への関心が高い参加者も多く、全員で活発な議論をしました。

参加者からは、「カンジキを履いての歩き方さえわからなかった。ここに住んでいる人には当たり前のことが新鮮だった」「雪掘りは技術や生活の知恵が必要。経験からの知恵をもらえた」「いつも笑い声が聞こえて良かった。面白がる力があると思った。それが村を愛する気持ちにつながっている」などの感想がありました。

山の上のかあちゃんの台所に暮らしの知恵満載!

畑で収穫→料理→昼食→料理→試食、と作って食べての1日でした。料理をしながら、レシピや食材の保存方法なども教わりました。
今年度から始まった休日農業講座「山の上のかあちゃんの畑と料理」最後の講座が、11月1日ー2日に、南魚沼市栃窪集落で行われました。
プログラムには、首都圏からの会社員、3回目となる親子連れ、北海道の大学生の他に、ノルウェーから来日中のベェルゲ・ダーレさんとウンネさんご夫妻が参加し、11名で行いました。

10時に栃窪集落センターに集合し、顔合わせをした後、すぐに大根を収穫しに畑に向かいました。朝まで雨が降ったりやんだりしていたので、全員雨ガッパを来て行きました。

 4歳の男の子。教えてもらったとおりに大根を引っこ抜くために、葉っぱをまとめてつかもうとがんばっています。
4歳の男の子。教えてもらったとおりに大根を引っこ抜くために、葉っぱをまとめてつかもうとがんばっています。

前回大根の種をまいた参加者は、畑に着き立派に成長した大根の姿を見て歓声を上げました。まず講師の桑原祐子さんから大根のぬき方を教わり、それに続いて参加者も次々にぬいていきました。7月12日の講座で畑を見せてもらった際にうっかり大根をぬいてしまった4歳の男の子は、今度こそ堂々と大根を引っこぬけるということで気合い充分。葉先からぶら下げると身長ほどもある大根を、一生懸命収穫していました。
大根の他にも、昼食用に中国野菜のタア菜と人参を収穫させてもらいました。あまりにもおいしそうなのでその場でタア菜をかじってみた参加者がビックリ!「この葉っぱ甘〜い!!」どれどれ…と、みんなで青虫のようになって葉っぱをかじりました。

集落センターに戻ってすぐに、祐子さんの指示のもと、収穫したばかりの野菜を使い、お惣菜を3品作りました。大根の葉を捨てずに保存しおいしく食べる方法なども教わり、参加者は都会にはない暮らしの知恵に感心していました。
あらかじめ祐子さんが用意してくれた漬け物やけんちん汁、新米と合わせて、今回も旬の野菜がふんだんに使われた栃窪ランチが出来上がりました。

昼食の後は、笹団子とみそ豆を作りました。笹は7月12日の講座で集めたものを祐子さんが保存してくれていました。みそ豆は5月25日の講座で植えた大豆を使う予定でしたが、雨が続いて乾かず、祐子さんの大豆を使わせてもらいました。

 団子を笹で包んで、すげを巻きつけて結ぶ作業です。すっかり無口になってしまう参加者が続出しました。
団子を笹で包んで、すげを巻きつけて結ぶ作業です。すっかり無口になってしまう参加者が続出しました。

笹団子は、うるち米の粉ともち米とヨモギをこねて作った団子にあんこを入れて、笹の葉で包み、「すげ」というい草のひもで巻きます。この巻きつけ方は独特で、覚えるまでが難しく、何度も聞き直してやっていました。包み終わった団子は蒸し器で15分蒸し、その間にみそ豆を作りました。「鉄火みそ」とも言われる、カリカリに揚げた大豆に甘く味付けしたみそをからめる料理です。今回は時間の都合であらかじめ祐子さんが30分ほどかけて大豆を油で揚げておいてくれたのですぐに出来上がりました。
そうしているうちに蒸し器から笹の葉の清々しい香りが広がり、笹団子のでき上がりを知らせてくれました。さっそくみそ豆といっしょに試食しました。

今回もしょうゆや油などの調味料とすげ以外は、みそからすべての野菜、米やその粉まで、祐子さんの手作りでした。また、ヨモギや笹の葉は栃窪の自然のものでした。
参加者のみなさんは、「暮らしの知恵が活かされている料理が勉強になった」「昔からの知恵は理にかなっていてすごいと思った」などの感想がでました。ベェルゲさんウンネさんは「ノルウェーではカブの葉は捨てている。栃窪では大根の葉を捨てずに料理しているし、笹団子でも植物をいっぱい使っている」と、文化の違いについて話していました。

降りそうだった雨も降らず、無事に全4回の講座を終えることができました。

今回もかあちゃんお手製「栃窪ランチ」が大好評!

笹団子やちまき…魚沼の食と関係の深い笹の葉採りと、カヤのジャングルを抜けてのワラビ採り。今回も山の上の集落の暮らしの知恵を学びました。

 

みんなで草をかき分けてワラビを探しました。
みんなで草をかき分けてワラビを探しました。

2008年7月12日(土)、新潟県南魚沼市栃窪集落で、今年度から始まった「山の上のかあちゃんの畑と料理」2限目が行われました。今回は笹の葉採りとワラビ採り・ワラビごっつぉ(=ごちそう)づくりを教わりました。
首都圏から大人5人、4歳7歳の姉弟がやって来ました。10時に集合し、講師の桑原祐子さんの田んぼへ。
天気は雲りときどき小雨。涼しい空気の中,ワラビ採り、笹の葉採りを教わり、畑見学もさせてもらいました。
昼食は、畑の脇でいただきました。今回も栃窪で収穫された野菜の数々…鶏の南蛮漬けなど手の込んだおかずから、キュウリや大根の漬け物のようなシンプルなだけにむずかしい一品、冷や汁などなど。参加者からは「おいしい〜!!」と言う声が何度も聞かれました。
午後からは、笹の葉をきれいに拭いたり、採ってきたワラビの下処理を教わったり、アク抜きした後の料理のデモンストレーションが行われました。その後は試食をしながら料理のポイントや山菜のお話などを伺いました。

畑では参加者が祐子さんの説明に興味津々。
畑では参加者が祐子さんの説明に興味津々。

参加者のアンケートには、「食にこだわることは豊かなことだと知った」「自然と共存して生きる事の心地良さを思い出した」「1つ1つの作物の味がとても濃くおいしかった」などのコメントが綴られていました。

次回/3限は8月23日(土)、夏野菜の収穫や料理、大根の種まきをする予定です。この大根は、4限(11月1日-2日)に収穫できればと思っています。お楽しみに!

栃窪の暮らしの知恵がつまった食卓

6月29日、集落の某お宅へお邪魔して来ました。OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

7月24日(木)ー25日(金)にここ栃窪で「元気なへき地ネット」第1回大会(http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=8&aid=577)が開催されます。

お邪魔したのは、この大会を盛り上げようと地元のごっつぉ(=ごちそうのこと)で応援してくれる、頼もしい「おかあさん」のお宅です。

「味見」の名目のもとにズラリと並べられた、なんともぜいたくな「ごっつぉ」の数々。
ワラビの漬け物のフルコース、ウドの味噌漬け、青梅の砂糖漬け(エキスは上品な飲み口の梅ジュースに)、山椒の入った味噌豆、かぐら南蛮の味噌漬けおにぎり。

そしてこれらの「ごっつぉ」をもり立てる素晴らしい器。古き良き「食」と「器」のコラボレーション。お茶の器は湯のみではなく盃で、茶托もまた盃というコーディネイトも素敵でした。

「元気なへき地ネット」の隠れた見所のひとつをご紹介しました。

2008年度「田んぼのイロハ」第1回報告

TAPPOの休日農業講座「田んぼのイロハ」の2年目第1回が、2008年5月24-25日の週末に、新潟県南魚沼市栃窪集落行われました。
2008年5月24日(土)-25日(日)、休日農業講座「田んぼのイロハ」第1回が、総勢約40名が参加して行われました。

今回は「田植え」がテーマ。首都圏や新潟市内など地区外から会社員や家族連れ、シニア世代が参加し、一本づつ手作業で植えていきました。

「自分で植えた苗は、自分の子どものようにかわいらしく、いとおしく思える。また、成長を見に来なくっちゃ」と参加者。たった2日間の講座ですが、参加者それぞれ、様々な発見や視点を得たようです。

1日目は、地元の農業法人「とちくぼパノラマ農産」の笛木晶さんを講師に、苗を育て方についての座学。イロハ田んぼで使う「ポット苗」と、一般に田植機を使って植える時に使う「マット苗」を実際にみせてもらい、根の張り方の違いに驚きました。また、普通のお米がどんなに農薬漬けなのかを知り、「農業の実際」を垣間見ました。

予めつけられた印に合わせて、1人で数列ずつ、ひとつひとつ苗を手で植えて、前進していきました。
予めつけられた印に合わせて、1人で数列ずつ、ひとつひとつ苗を手で植えて、前進していきました。

2日目は、いよいよ田植え。栃窪集落から9人のベテランと10人の子どもたちが指導と応援に駆けつけてくれました。

裸足で土の中に入ります。ねっちょっりとして、冷たそうで、たくさんの虫がいる土。勇気を出して踏み込んでみると、土の中はあったかくて、気持ちよいのです。

普段のコンクリートの上を靴で歩く生活で鈍った、足の裏の感覚が甦ってきます。始めは、ぐちゃぐちゃの土の中に入るのを嫌がっていた東京から来た小学生の女の子も、最後にはなかなか土から上がろうとしませんでした。

「見るのとやるのでは全く違う」同じ姿勢での単調な作業は見ているよりずっと大変です。「食べる」ということの有り難さが身にしみる体験となりました。

苗は片手で握れる程度の束にしてわらでしばっておきます。端を引っ張れば簡単に取れる結び方を、地元の方に教わりました。
苗は片手で握れる程度の束にしてわらでしばっておきます。端を引っ張れば簡単に取れる結び方を、地元の方に教わりました。

そして何より、地元の方が暮らしの中で積み上げていた技や知恵を教わながら、地元の方と一緒になって行う作業や交流が、参加者の心に残ったようです。

人との関わり合いがあるからこそ、「奥深さ」を知ることができ大きな学びの場となるようです。「イロハ」は、単なる農業体験の場ではないのだと感じました。これからも楽しみです!