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高野代表理事が、Dragonfly Awardを受賞・・・米国でのPBEカンファレンスで

TAKANO Takako Received Dragonfly Award at PBE Conference in Flint, MI

 エコプラスの高野孝子代表理事は、2019年11月8日に米国ミシガン州で開かれたPlace Based Education Conferenceで、長年にわたっての場の教育への取り組みに対して「ドラゴンフライアワード」を受賞しました。1990年代から、アラスカやミクロネシア、日本の農山村などを舞台に、その地で積み重ねられた自然と共生する知恵と技を基礎とした学びを構築してきたことが評価されました。

TAKANO Takako, executive director of ECOPLUS, received “Dragonfly Award” at Place Based Education Conference in Flint, Michigan in the US on November 8, 2019 for her two decades long efforts for the PBE. The organizer of the conference, Mary Whitman of Great Lakes Stewardship Initiative, said that TAKANO was chosen because of her efforts on PBE through adventurous expeditions and other activities in many places in the world for long years.

 このカンファレンスは、五大湖の環境保全を図るための教育活動を展開するGreat Lakes Stewardship Initiative(五大湖保全機構)が主催し、今年が7回目。ミシガン州を中心に、ハワイを含む全米各地、さらに日本、カナダ、ドイツなどから小中高の教師、教職課程をもつ大学関係者、行政関係者ら335人が集まりました。さらに発表には、地元の小中高生たちも加わり、11月8、9日の両日にわたって、分科会と全体会を繰り広げる大きな集まりとなりました。

The conference was organized by Great Lakes Stewardship Initiative, GLSI, and was the seventh meeting with teachers, researchers, academics, administrators and students from 22 states including Hawaii and representatives from Japan, Canada, and Germany. The 335 registered attendees exchanged active conversations throughout the two days of 8 and 9 November.

公教育に積極的に取り入れられるPBE

Variety of PBE in the US

 カンファレンスでは、2日間で90近い分科会発表が行われ、全米各地で小中高から大学にいたる公教育の中でPBEが積極的に取り組まれていることが示されました。中でもミシガン州では教員養成課程の中にPBEが深く組み込まれるようになっている状況が語られました。

Nearly 90 sessions throughout the conference reported a variety of examples of PBE in formal and informal education. In Michigan, PBE is now embedded in teacher education and more than 20% students are taking PBE courses, one of the professors said.

 高野代表理事は、日本の農山村での農を軸とした学びや、ミクロネシア連邦ヤップ島での体験活動を通じて、人々がどのように変容するかなどを発表。近代化した都市の若者たちが農山村や離れ島という環境の中で活動することで、自らの生き方に対しても深い学びを得ることができることを強調しました。

In the session, titled “What is a priority?”, TAKANO reported her research on programs in Japanese rural villages and on a Micronesian island. Many program participants from cities acquired foundational learning linked to values through direct contact with the nature, culture and people of the place.

「自然の中で人はもっと元気になる」ーーミッテン教授がやさしく語りました

森の中で話をするミッテンさん

エコプラスは、2017年6月22日から24日まで、新潟県南魚沼市や早稲田大学、東京都八王子市を舞台に、米国プレスコット大学大学院教授のデニース・ミッテンさんによる、「自然の治癒力」をテーマとしたセミナーやワークショップを連続展開しました。

ミッテンさんは、森林生態学を出発点に、野外セラピーや女性のための野外活動、野外教育や心理カウンセリングと幅広く活動を展開。理論と実務の双方に詳しい専門家です。今回は、日本野外教育学会での記念講演などで来日され、それを機会に、エコプラスの高野孝子代表理事が、連続してのイベントを企画しました。

南魚沼市でのセミナー

22日の南魚沼市では、新潟市や長岡市などからも野外活動家や教育関係者など20人近くが集まり、23日の早稲田大学でも、学生のみならず障害者教育などにあたる実践者ら30人が集まって、それぞれセミナー形式で、ミッテンさんの発表を聞きました。

セミナーの中でミッテンさんは、人間がこの数万年の進化のほとんどの時期を、自然の中で暮らしてきたことに触れ、「私たちの中に埋もれている先住民族としての意識(Intra Indiginous consiousness)」があると指摘。一方で、現代社会が急速に自然と人との関係を切り離して、その中で、もう一度自然との関係を築くことで、個人も家庭も社会もより健全になることが出来ると強調しました。

早稲田大学で話すミッテンさん

ミッテンさんは、この自然がもつ治癒力がこれまで軽視されてきたことを1994年に学術的に指摘。他のさまざまな研究例を引きながら、野外で過ごす時間を少しでも持つことで、人がいかに健全になるかを分かりやすく説明してくれました。

セミナーでは、全員が目を閉じて、お気に入りの自然の様子を思い浮かべるNature Visualizationという活動などもして、参加者自身が、心拍数が下がり、気持ちが落ち着くことを体感しました。

24日は、JR中央線の高尾駅前にある森林総合研究所の多摩森林科学園を舞台に、午前午後を通したワークショップをしてもらいました。ミッテンさんは、野外やカウンセリングなどの専門家ら13人を、同科学園のみどり豊かな森の中にゆっくりと導き入れて、自然をよく見る活動(Nature Scan)、自然の中から友達を探す(Find Friends)、拾ってきた枯れ葉や木の実でアートを作る(Nature Art)などの活動を、一つひとつ丁寧に実施して、その意味を体験的に考える時間を作り上げてくれました。

森の中でゆったりと話し合う参加者のみなさん

江戸時代からの古い歴史を持つ深い森の中で、鳥のさえずりや吹き渡る風、自らの体の鼓動などを感じながら、じっくりと自然を感じることで、ストレスで圧迫されていた心と体がよみがえることを、強く感じさせてもらいました。

一連のセミナーやワークショップに参加したみなさんからは、「教育、医学、心理学など多様な分野をつなぐ貴重な話を聞かせてもらった」「野外活動が単なる運動ではなくて、幸福感を育むものだと分った」「これまで実践してきたことが正しいと理論的に確信できた」などという前向きなコメントが数多く寄せられました。

今回の連続イベントでは、南魚沼市教育委員会、森林総合研究所に大変お世話になりました。明治大学講師の針ケ谷雅子さんにも東京での開催でお力をいただきました。ありがとうございました。