エジンバラ大学教授のピート・ヒギンズ氏を囲んで、野外・環境教育の意義と課題を考えるトークセッションが、2011年2月4日夕に東京・表参道で開かれました。
4日午後6時半から、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)セミナースペースで開かれたセッションには、野外・環境教育関係者など36人が集まりました。
ヒギンズ氏は、野外・体験教育が人間の情緒的な成長をもたらし、健康にいい影響を及ぼすことを指摘した上で、これからの野外教育はグローバルな社会や経済の構造を考慮しながら取り組んでいく必要があることを強調。
また、いろいろな概念が関連しあい、世界は複雑であるということを教え、変化への対応や未来への希望、そして私たちの行動はすべて結果を伴うことを学ばなければならないと指摘しました。
さらに、英国の教育政策の変化や野外教育の実践状況を報告し、学校主体という考え方から、地域の素材と野外の学びに焦点を置いたものへと変化しているスコットランドの事例も紹介しました。
日本側からは、文部科学省で体験活動の推進に当たっている小野さんが、青少年の体験活動の現状について報告。自然体験活動への小学生の参加は年々減少しており、この10年ほどの間に海や川で泳いだことがある子どもの割合が30%から10%へと大きく減少しているなどという貴重なデータが示されました。
最後に、参加者との意見交換が行われ、教職課程におけるトレーニングの必要性、野外教育を行う財源の問題、親が自然体験をすることの重要性、野外教育リーダーの育成方法など、さまざまな問題提起があり、活発な議論が展開されました。
ヒギンズ氏からは、子どもの遊びの教育効果や、親の自然体験の大切さを統計的に示す調査研究が重要であり、こうした論拠を積み上げていくことが、今後の野外教育のあり方を考えていく上で大事であると強調されました。
この模様は、以下からビデオで見ていただけます。
http://bit.ly/gvmrb4
http://www.ustream.tv/channel/世界の環境と教育
シンポジウムでの配布資料は以下からダウンロードできます。いずれも個人的な利用に限り、無断転載無断複製を禁じます。
(ヒギンズ教授の発表資料)
クリックしてHiggins_Tokyo110204s.pdfにアクセス
(小野保さんの発表資料)