雪の中でカモシカやウサギ、リスに出会う。

数百年のブナの大木が並ぶ斜面を、かんじきで進みます。
数百年のブナの大木が並ぶ斜面を、かんじきで進みます。

2015年2月28-3月1日、新潟県南魚沼市の清水集落で、「清水生きもの復活大作戦早春の巻」を行い、高さ3m前後の雪に覆われたブナ林などを伝統のかんじきで歩きながら生きものの息吹を感じました。

山里の生物多様性を高め、地域づくりにもつなげようと展開している「生きもの復活大作戦」では、初めての雪の季節の開催となりました。

集落のすぐ前の斜面にいたカモシカ。
集落のすぐ前の斜面にいたカモシカ。

参加したのは首都圏からの親子連れ、会社員、学生など計12人。北野日出男・元日本環境教育フォーラム会長、横山隆一・日本自然保護協会参事、深沢和基・六日町高校教諭の3人の専門家も勢ぞろい、集落住民も加わりました。

初日は、穏やかな天候で陽が差す春のような陽気。除雪された道路から、高さ2m以上もある雪の壁を上ってかんじきをはきました。地元で今も使われる伝統的な丸いかんじき。村人はヒモを使って簡単に装着していますが、慣れない参加者は、何度もはずれて四苦八苦です。

広い雪原を歩いていくと、遠くの雪の斜面にカモシカを発見。双眼鏡や単眼鏡で見ると、急な場所で雪の中から頭だけ出ている木の枝に盛んに食いついているのが観察できました。

杉林に入った直後、先頭を歩いていた専門家が、スギの根元を確認すると、隠れていたウサギが飛び出しました。数人だけでしたが参加者も真っ白なウサギを見ることができました。

杉林の中は、前日の雪で枝にたくさんの雪が積もって、クリスマスを思わせる光景でした。

2日目は、集落の背後にあるブナ林を探索。杉林とは違う開放的な空の広さを感じました。すぐそばから、コココココッと約20秒間隔で続くキツツキの音。「これはアカゲラ」と専門家のみなさんが説明してくれます。

歩いていくと、突然頭の上で慌ただしい鳥の鳴き声が聞こえました。同時にばたばた2羽が追いかけあうように飛び回っています。縄張りを巡ってのオス同士の争いとのこと。つがいになる相手の候補であろうメスもそばの木々を移っていて、春の子育ての時期が近づいていることを感じました。

宿舎となった民宿では、主人が撃ったシカやイノシシの肉、塩漬けなどで保存してきたさまざまな山菜が食事に登場しました。地域の皆さんとの交流会も含め、自然に近い場所での暮らしを感じる2日間でした。