「場の教育」カテゴリーアーカイブ

エコプラス30周年イベントに100人近くが参加

直接対面とオンラインのハイブリッド方式で

 エコプラスの活動開始30年を記念する特別イベント「知恵と体験の大バザール」を、2022年11月19日午後に開催しました。東京都渋谷区の東京ウィメンズプラザのホールには、約70人、オンラインでは30人近くが参加しました。

 写真やビデオで30年間の活動をふり返ったあと、それぞれ数人づつに分かれての交流会。現場のホールで、数人づつになって対話を重ねました。オンラインでも同じように分科会に分かれて近況報告などを行いました。

 スイスや米西海岸、オーストラリア、さらにアフリカからもオンラインで参加して、それぞれがエコプラスとの出会いやその後の関係などを語り合いました。

 第2部は、リアル2つ、オンライン1つの3ブースに分かれての、それぞれの活動報告。4回に分けて、全部で12人が、いま取り組んでいること、考えていることなどを発表しました。

エコプラス30周年記念「 知恵と体験の大バザール」詳報

11月19日に東京ウィメンズプラザで開催

 エコプラスが活動を開始したのは1992年。任意団体のエコクラブとして出発し、2003年に特定非営利活動法人ECOPLUSとなった30年間の活動に関わった人たちが一堂に会して交流します。

 環境教育の専門家、持続可能な農業に挑む人、国内外で活躍するビジネスパーソン、地域で新しい暮らしを築こうとする人など、多種多様な仲間が、エコプラスには集まっています。

 そうした仲間が、 エコプラスのテーマ「人・自然・異文化」を軸に、それぞれの知見・体験をもちより、自らのチャレンジを紹介し、交流し合える「バザール」です。

 現時点で下記のみなさんから、発表いただくことを表明いただいています(一部はオンラインでの発表)。これからもさらに増える予定です。どのテーマも魅力的で大変興味深いです。ぜひみなさまも大バザールにご参加ください!!

<当日の発表者とテーマ(予定)>※50音順
  • 浦邉藻琴さん(エコプラスの南魚沼での活動に参加・取材) 「なぜ“リモートじゃダメ”なのか?」

 2児と過ごしつつTV番組を作っています。「何で?」が口癖です。ドキュメンタリー取材の際、私はリモート技術が普及してからも必ず相手に会いに行きます。それは “リモートじゃダメ”だと感じるからです。では何が“ダメ”なのか?言葉にしにくいこの違和感。しかし私は、合理化が進む現代を生きる上でとても大切な感覚だと信じています。簡単な実験や議論から、一緒に違和感の正体を考えてみませんか?

  • 江﨑淳一さん(南魚沼での活動や国際シンポジウムに参加)「エコプラスとの関わりとSDGs教育」

 小学校教員15年目?総合的な学習の時間が好きです。子ども達に里山の良さを伝えようと栃窪集落でいただいたお米を育てたり,清水集落でいただいた原木なめこの原木を教室に持ち帰り,コマうち体験をしたりしました。今回は,そんなエコプラスとの関わりをお話します。また,子ども達が学んだことの作文を読み,歌っている映像があるので見て頂ければと思います。

  • 川上真理子さん(ヤップ島や南魚沼での活動に参加):「池田町の暮らし実践(副題:地方と都市or古民家or食)」

 早稲田大学卒業(2022.3)。高野ゼミでご縁のあった福井県今立郡池田町に移住。人口約2,300、町の9割が森の農山村。そんな町で暮らすとは、一体どういうことか。首都圏にいた頃とはまるで異文化でした。池田町に残ってる景色、暮らしの姿について、地方と都市の関係性のこと、古民家改修のこと、食べ物のこと…トピックでみていきます。

  • 酒井富美さん(エコプラスにスタッフとして関わる)「地域(旧伊南村)での今の暮らし」

 福島県南会津郡南会津町(旧伊南村)で稼業(民宿業)を営みながら、現在地元の小学校で講師として働いています。今の伊南地域での課題「急速に進む少子高齢化、過疎化」20年前は100人余りだった地元の小学校全校生は今30人余りになったことや、ちょうど息子が高校進学になるタイミングで「地元の高校統廃合」で村を(15歳で)離れる子どもたちが増えていくこと。

 大変なことをあげたらきりがないけれど、同居している92歳のじいちゃんや87歳のばあちゃんの生きる知恵を学びつつ・・・この村での暮らしの大変さも楽しさもちょっぴり身に染みてわかるようになったことなど。

  • 陶山佳久さん(ヤップ島プログラムにスタッフとして参加、エコプラス副代表理事)「DNA分析技術を自然保護のために活かす:森林分子生態学者としての研究」

 東北大学大学院農学研究科教授。いつか自然を守るために貢献したいと思い続けていました。その夢が叶い、今は研究者の立場から、専門としているDNA分析技術を活用して、世界・日本・地域に残された生物の生態と多様性を理解し、その豊かさと共生する次世代を目指した研究を行っている話をします。

  • 高野義寛さん(1994年ヤップ島プログラム参加)「脱炭素牛肉を巡る珍騒動」

 メルボルンで単身赴任中。温暖化ガス排出要因の上位を占める、牛のげっぷに含まれるメタンガス。“牛”大国のNZや豪州は頭が痛い。そんな中豪州近郊で生息する、ある海苔を牛に食べさせると90%ほど排出ガス削減できるとの論文が発表されたことで巻き起こっている、ビジネス・政府・NGOの間の急速な展開について。

  • 高橋佐和子さん(エコプラスを支援する企業の広報担当、国際シンポジウムなどに参加)「地域から世界へ:バリ島の独自性と多様性」

 東京を離れバリ島で10年余、「住めば都」を実感する日々です。観光地として常に世界ランキング上位に入るバリ島には多くの人を惹きつける自然、文化、信仰があります。また、開発による自然破壊、貧困、観光業への依存など、問題が山積していますが、「閉塞感」という言葉を耳にすることはありません。ここで育った若者が小さな活動を世界に広げていく事例などを紹介し、バリの魅力を伝えます。

  • 當銘朋恵さん(ヤップ島プログラム参加)「南の島の星と民話と暮らしの話」

 沖縄石垣島のパイン農家です。学童クラブ支援員や星ガイド、ネイチャーゲームインストラクターもしています。日本の南端、沖縄県八重山諸島の島々にはたくさんの星にまつわる民話や歌があり、昔から星と共に生きてきた先人たちの豊かな知恵と暮らしと自然の様子が描かれています。南の島の暮らしと共に、星と人と自然の物語をスマムニ(島言葉)を交えてお話したいと思います。

  • 村上由美さん(国際シンポジウム参加など)「世田谷区で子ども食堂の活動をして感じていること」

 子ども食堂を2か所で開催している。2015年当時、子育てと両親の介護をしていた私は知り合いから声を掛けられて東京都世田谷区で子ども食堂を始めました。現在は代表として2か所の子ども食堂を運営しています。この活動を通して私が得た経験、広がり、感じていることを「人」との繋がりをテーマにお話をさせて頂きます。

  • 矢原陽子さん(ヤップ島プログラム参加、ヤップの若者の日本研修ではホスト役も)「合氣道 護身術体験と調和的な人とのつながり方」

 20代の頃ヤップ島プログラムに参加。合氣道は学生時代から20年以上続けています。最近、突然無差別に斬り付けられるという物騒な事件がよく起きています。そんな理不尽な暴力からいざという時ご自身を守る方法をお伝えします。子供や女性でも簡単にできます。また、合氣道の根底に流れる相手を敬い、尊重する心は護身だけでなく、対人関係の場面でも人生を豊かにしてくれます。技と心が一体化する感覚を一緒に体験してみませんか?

野外体験で、子どもたちは大きく解放される

 野外での活動をすることで、子どもたちの、いらいらが収まり、ものごとに取り組む意欲が高まるーーそんな傾向が、野外活動に参加した子どもたちのアンケートから浮き上がってきました。当然だろうと思われる結果ですが、数字で具体的に示されたことで、改めて野外体験の大切さが確認できました。

変化が大きかった5つの設問全体での傾向。事前事後で4割以上の参加者に改善が見られました

 エコプラスでは、2020年8月から21年3月にかけて、新潟県南魚沼市で計7回にわたって日帰りのデイキャンプを開催しました。その参加者の小学生たちに事前事後のアンケート調査を実施しました。

 この結果、「むしゃくしゃしてすぐかっとなる」「やろうと思ってもなかなか手につかない」などの項目では、半数以上の子どもたちが、デイキャンプの後では改善したと回答していました。
 7回のデイキャンプすべてで、この改善傾向が見られました。

 新型コロナウィルスの影響もあって閉じこもりがちになっている子どもたちの心が、野外での体験活動を通じて開放されていることが示されたようです。エコプラスの高野孝子代表理事は、「わずか半日の活動でここまではっきりとした傾向が出た。自然体験の価値が示されたと思う。これからの継続的な活動が必要になるのではないか」と話しています。

 アンケートでは、参加したのべ72人のうち71人から回答を得ました。14の設問の中で、大きな変化が見られた5つの設問について事前事後の回答(4段階評価)を比較しました。

  • 「いろいろなことにやる気がある」という質問では、半数近い34人が事後の方が高い評価でした。この設問では女子の改善割合が55%と高くなっていました。
  • 「わけもなく悲しくて何もしたくない」という質問では、27人に改善が見られました。
  • 「むしゃくしゃしてすぐかっとなる」という質問では、39人が改善傾向。とりわけ男子では61%に改善が見られました。
  • 「心配でイライラして落ち着かない」では、20人が改善傾向。
  • 「やろうと思っても、なかなか手につかない」では、37人に改善が見られました。
  • 5つの設問全体で集計すると、42%が改善、53%が変化なし、5%が悪化していました。
  • 男女別では、女子は、「いろいろなことにやる気がある」といった前向きな気持ちが高まり、男子は、「むしゃくしゃしてすぐかっとする」「やろうと思っても、なかなか手につかない」と言ったネガティブな気持ちの改善が大きく見られたことが注目されます。

 このデイキャンプは、2020年度の文部科学省「子供たちの心身の健全な発達のための子供の自然体験活動推進事業」の一環として、実施しました。

高野代表理事が、Dragonfly Awardを受賞・・・米国でのPBEカンファレンスで

TAKANO Takako Received Dragonfly Award at PBE Conference in Flint, MI

 エコプラスの高野孝子代表理事は、2019年11月8日に米国ミシガン州で開かれたPlace Based Education Conferenceで、長年にわたっての場の教育への取り組みに対して「ドラゴンフライアワード」を受賞しました。1990年代から、アラスカやミクロネシア、日本の農山村などを舞台に、その地で積み重ねられた自然と共生する知恵と技を基礎とした学びを構築してきたことが評価されました。

TAKANO Takako, executive director of ECOPLUS, received “Dragonfly Award” at Place Based Education Conference in Flint, Michigan in the US on November 8, 2019 for her two decades long efforts for the PBE. The organizer of the conference, Mary Whitman of Great Lakes Stewardship Initiative, said that TAKANO was chosen because of her efforts on PBE through adventurous expeditions and other activities in many places in the world for long years.

 このカンファレンスは、五大湖の環境保全を図るための教育活動を展開するGreat Lakes Stewardship Initiative(五大湖保全機構)が主催し、今年が7回目。ミシガン州を中心に、ハワイを含む全米各地、さらに日本、カナダ、ドイツなどから小中高の教師、教職課程をもつ大学関係者、行政関係者ら335人が集まりました。さらに発表には、地元の小中高生たちも加わり、11月8、9日の両日にわたって、分科会と全体会を繰り広げる大きな集まりとなりました。

The conference was organized by Great Lakes Stewardship Initiative, GLSI, and was the seventh meeting with teachers, researchers, academics, administrators and students from 22 states including Hawaii and representatives from Japan, Canada, and Germany. The 335 registered attendees exchanged active conversations throughout the two days of 8 and 9 November.

公教育に積極的に取り入れられるPBE

Variety of PBE in the US

 カンファレンスでは、2日間で90近い分科会発表が行われ、全米各地で小中高から大学にいたる公教育の中でPBEが積極的に取り組まれていることが示されました。中でもミシガン州では教員養成課程の中にPBEが深く組み込まれるようになっている状況が語られました。

Nearly 90 sessions throughout the conference reported a variety of examples of PBE in formal and informal education. In Michigan, PBE is now embedded in teacher education and more than 20% students are taking PBE courses, one of the professors said.

 高野代表理事は、日本の農山村での農を軸とした学びや、ミクロネシア連邦ヤップ島での体験活動を通じて、人々がどのように変容するかなどを発表。近代化した都市の若者たちが農山村や離れ島という環境の中で活動することで、自らの生き方に対しても深い学びを得ることができることを強調しました。

In the session, titled “What is a priority?”, TAKANO reported her research on programs in Japanese rural villages and on a Micronesian island. Many program participants from cities acquired foundational learning linked to values through direct contact with the nature, culture and people of the place.

びっしりの雑草を見事に整理

田んぼのイロハ草取り編に早稲田大学の学生が実習で参加

Weeding Workshop at Organic Rice Paddy

35 Students of Waseda Joined the program.

 エコプラスが主催する休日農業講座「田んぼのイロハ」草取り編が2019年6月8-9日に、新潟県南魚沼市栃窪地区で行われました。今回は、早稲田大学の実習チーム35人による貸し切り実施となりました。

ECOPLUS held organic rice farming workshop called “Tanbo no I-ro-ha” or “ABC in a rice paddy,” on 8-9 June, 2019 at Tochikubo village in Niigata, Japan, having 35 students from Waseda University in Tokyo.

Time Lapse Video shows great progress. 時間短縮ビデオで見る学生たちの草取りパワー

 今年は5月に雨がほとんど降らなかったために、田んぼが乾いて雑草が大量に発生してしまいました。除草剤をまったく使っていない無農薬田んぼなので、イヌビエなどがびっしりと育って、稲の苗が分からなくなるような場所も。学生たちは、裸足で田んぼに入り、両手を泥の中に突っ込んでかき回すようにして草取りをしました。

Since we had very limited rain falls in May, some areas of rice paddies dried up and it helped weeds to grow seriously specially at our non-chemical, totally organic paddies. Students waled into the paddy with bare feet and used fully opened hands like as rakes to clear weeds.

 ちょうど前々日の金曜午後からの雨で、田んぼは水で覆われていましたが、その下の土は乾燥のためにしっかりと固まっていて、指も突き刺さらない状態。稲そっくりに伸びたイヌビエをむしり取るような場所もありました。9日午前9時から始めて、午後1時半までの4時間余で、広さ1反(10アール)余の2枚のたんぼをきれいにすることが出来ました。

Paddies were filled by water thanks to the rain since Friday evening but in most of the paddies the soil was so solid because of long dry condition that it was difficult to push fingers in the soil and we needed to pull out each weeds. Started the work at 9 am on Sunday, it took 4 hours and more to finish two rice paddies which size is over 1,000 square meters.

 農作業以外にも、農家のみなさんから話を聞いたり、専門家による生きもの調べをさせてもらったりと、農山村の自然と暮らしに触れた2日間。学生たちは「本来の生きるということを実感した」「農作業の大変さを感じた」「もっと食料を大事にしたい」などと感想を残してくれました。

Beside weeding in rice paddies, villagers gave them lectures, and a specialist conducted nature tour. Through those students had a chance to feel the relationship between nature, life and community. They left comments like, “I strongly leant the true meaning of to live”, “I understood the hardship of farming”, “I should have more appreciation on food”.

米国の大学生が、日本の農山村で学ぶ

Michigan Students Learnt Japan in Minami-Uonuma

 米国のミシガン大学の学生14人が、2018年5月19日から21日まで新潟県南魚沼市に滞在、田植えや織物体験などを通じて、自然と深くつながった伝統的な暮らしや文化を学んでいきました。

ECOPLUS hosted a group of students from University of Michigan from 19 to 20 May in Minami-Uonuma for their learning on the relation with environment, life and culture through experiencing rice planting, weaving and other activities.

 滞在は、ミシガン大学の日本研究センターが主催する約3週間の日本での研修旅行の一環。早稲田大学教授を務める高野孝子エコプラス代表理事と、ミシガン大学のレスリー・ピンカスさんとの連携で行われました。

The trip was conducted by the relation with Ms. Leslie Pincus of University of Michigan and TAKANO Takako, executive director of ECOPLUS, as a part of their 3 weeks long tour to Japan.

Drying cooked mountain vegetable, “Zenmei.”

 19日は、南魚沼市の標高500m前後に広がる栃窪集落周辺を散策。遠くに雪が残る山々が残る絶景にびっくり。「素晴らしい光景。何億円というものすごい価値があるのではないか」というような声まで出ました。地元のおばあさんが山でとってきたゼンマイを乾燥させている場面にも出会い、両手を添えて丁寧にもみながら乾燥させる作業に見入っていました。

On 19th, they strolled around the village of Tochikubo which is located on the slope of around 500 meters elevation. They were deeply impressed by the scenery of mountains covered by white snow and young green, saying “this land might be so expensive.” They also encountered an old lady who was drying mountain vegetable called “Zenmai.”

 20日は裸足で田んぼに入っての田植え。土の中に足を入れた瞬間に大きな声を上げつつ、手際よく数本づつの苗を植えていきました。

On 20th, they experienced traditional rice planting by hands. They screamed a bit while they put their bare feet in the muddy soil of the paddy but later they acquired how to plant young seedlings in line and they finished the work in three hours.

Traditional sitting loom, called “IZARI-Bata,” or いざりばた

 最終日の21日には、市街地の塩沢地区に下りて、地元で1,000年以上も伝えられてきた麻織物「越後上布」について学びました。植物の茎から繊維を取り、糸にして、染め、織っていく過程を、越後上布保存会のみなさんに見せていただき、一部は実際に体験もさせてもらい、その深い歴史に魅せられていました。

On the last day, 21st, they came back to the city area, “Shiozawa,” to learn about the local ramie cloth called “Echigo-Zyofu,” which has over a thousand year history. Specialists from Echigo-Jofu technique preservation association demonstrated how to get fibers fro the skin of the plant, how to dye the yarn for patterns, and how to weave. Some of the students experienced actual works by their hands.

 3日間の滞在を通じて、森から燃料を得、山からの水を飲み、それを田んぼに巡らせるという自然に密接につながった暮らしや文化を理解してもらう機会になったようです。

Through the three-day stay, they seem to deepen the understanding on the relation with life and nature, like getting fuels from the forest, drinking water from the spring, making the water system running around all the terraced rice paddies.

稲刈りは10月12-13日ー田んぼのイロハ2019

南魚沼で見つける「幸せ」の根っこ

 エコプラスが展開する休日農業講座「田んぼのイロハ」を2019年も開催します。田植えから草取り、草刈り、そして収穫へと続く一連の流れを体験します。いずれも大人気。お早めにお申し込みください。

  • さわやかな空気の中での稲刈り
  • 稲の束ね方を教わる
  • 遠くの山々もくっきり見える中での稲刈り
  • 草取り
  • 田んぼの中でみんなで草取り
  • こんなに小さかった苗

 田植え機などいくつもの機械を使い、農薬など化学物質に依存する「現代農業」は、わずか数十年の歴史しかありません。どうやって人々は何百年も、何千年も命と暮らしを積み重ねてきたのか。現代が直面する「持続可能な社会」への足取りは、どこにあるのか。コメと向き合う中で、現地のみなさんとともに考えます。

  • 田植え編 5月25-26日(土日)
  • 草取り編 6月8-9日(土日、すで満員となりました)
  • 稲刈り編 10月12-13日(土日=1週間遅く変更しました)
  • 収穫祭  11月3-4日(日祝)

 いずれも1日目の昼過ぎに現地集合、2日目の夕方3時頃現地解散です。実地作業、座学、集落の自然や生活を知る散策、集落のみなさんとの懇親会などを予定しています。

【参加費】10,000円(プログラム費、2日目昼食、保険料)学生半額、エコプラス会員2割引。小学生以下の子どもは保険料、昼食の実費のみ。栃窪の集落営農組織「パノラマ農産」の棚田オーナーは、参加費実費のみ。
【場所】新潟県南魚沼市栃窪集落
 集合・解散時間に合わせて最寄りのJR上越線塩沢駅まで送迎いたします。
【宿泊】地元の温泉民宿 7,500 円(1泊2食、温泉付き、男女別相部屋)
【特典】秋に収穫したコメをおひとり2kg贈呈。

<<田んぼのイロハへの申し込み書>>

性別(宿泊する民宿では、男女別の相部屋となります)(必須)

豪雪の山里で「サービスラーニング」

一人ひとりが「代替不可能」な社会を目指そう

初めての除雪作業。積雪は2mを超えている。屋根からの雪が積み上がって壁のようになっている。掘り上げるような作業になるので「雪かき」ではなく「雪掘り」と地元の人たちはいう。

「ここで携帯とかテレビとかなくても、別に不便じゃなかった」

「暮らすとなったら違う考え方するでしょ」

「コンビニがないと不便って思いがちだけど、コンビニがないからこそあるものもあるって気づいた」

 立教大学の学生19人が2月上旬、授業の一環として新潟県南魚沼市の山間部の集落にやってきた。

「サービスラーニング」という学びの手法で、現場で体験的に実際の課題に関わりながら学んでいく。19人中14人が、「初の農村体験プログラム」と答えていた。

冷え込んだ朝方、雪は岩のように硬く重い。前日に車庫の屋根から下ろした雪を、さらに道路の外に投げ出す。体から湯気が上る。

 豪雪地帯にある高齢化が進む栃窪地区を舞台に、「雪掘り」をしたり村の人たちと対話をしたりしながら、農山村について知り、高齢化が意味することを考え、自分たちの日々や行動と照らし合わせていく。

 生まれて初めての雪掘りは、きつかった人たちが多かったようで、「こんな少しの雪掘りでもこんなに大変。これまでテレビでわからず聞いていた雪の事故について、ようやく理解できた」などという感想が初日に聞かれた。

超小規模校と呼ばれる栃窪小学校で、児童と大学生が一緒になってゲームなどをした。

 全校児童12人の小学校では、子どもたちが準備した「新米試食会」に招待してもらい、小学1年生から6年生までの一人一人が、21人の大学生と交わった。何軒かの家に上げてもらって話しを聞いたり、50代と70代の住民からは彼らが経験した社会と暮らしの変化の様子を聞いたりした。連日、とても美味しいお米と食事をいただきながら、今は雪の下になっている田んぼと農についても話題になった。よく晴れた日には、一面の雪原となった場所を山の方にカンジキをつけて歩き、動物の足跡を見たり、それぞれ寝転がって美味しい空気と景色を楽しみながら、静かな時間も過ごした。

 わずか3泊4日の滞在だったが、密度の濃い体験的学びと、寝る間も惜しんでのディスカッションを通して、学生たちは自らの視野を広げ、多角的な視点を得て考えを深めていた。そこで起きていることと都市が無縁でないことに気づいていく。

連日の議論。みんなが真剣に、地域と都会、そして自分たちの暮らしについて考えを深めました。

「都市は水も食料もエネルギーも、都市以外の場所に支えられている」、「栃窪の危機は、自分たちの危機」。

 集落の一人は、過疎高齢化が進むと大変なことになると10年以上前から危機意識を持って動いていたにも関わらず、現実になってみると「ここまで追い込まれてきた」と話した。

 これを受けて学生たちも、「今、わかっていて将来大きな問題になるようなものについて、自分たちはもっと真剣に向き合わなくてはいけないのでは」と緊張感ある発言もあった。

 「ここの小学校は生徒が少ないから、一人欠けたら大変だし、誰も代われない。でも私が休んでも、授業には関係ないし、バイトは代わりがいるし、私ってこれまでずっと代替可能な存在だったって気づいた」。

 こうした声を元に、一人ひとりが「代替不可能」な存在となることが、持続可能な社会作りに関係するのではないか、など様々な意見が出されていった。

 最後のふりかえりアンケートでは、経験することの大切さや、地域のつながりの価値、思い込みや先入観に気づけたこと、食への意識、自分で生産する意欲など、びっしり書かれていた。そして「夏にも栃窪に行きたい!大好きになりました」。

 久しぶりにみずみずしく、かつ深い感性に出会った気がした。

 通常、観光客として訪問することはあっても、土地の普段着の暮らしに触れたり、考察したりすることはなかなかない。受け入れる方も大変ではあるが、こうした機会を持つ大切さをつくづく思う。

「サステナビリティ」が当たり前の社会に

高野孝子の地球日記

 2018年の「今年の漢字」で最も応募数が多かったのが「災」だそうだ。

 猛暑や地震、豪雨などの自然災害や、パワハラや文書改ざん、不正入試などの事件などがイメージされたという。

 気候変動への対応を協議する国際会議COP24が、ポーランドで12月に開かれていた。交渉は難航し、進行は遅く、予定を2日間延長してようやく決着した。温暖化(global warming)ではなく、「熱化」(heating)に言葉が修正され、科学者たちが次々とこれ以上の気温上昇は人類滅亡の危機を生むと指摘。産業革命前と比べて1.5度以内におさめる必要を語ったという。

 一方で石油産出国であるアメリカ、ロシア、サウジアラビア、石炭輸出国のオーストラリアが過小評価する発言を繰り返し、合意された文言は柔らかいものになった。

 しかし最終的には渋っていた中国も透明性を約束し、途上国への支援も確認され、2年ごとに進捗を報告しあうことになった。

 平成が幕を閉じるということで、この12月は特に30年を振り返る傾向がある。この30年で世界は何が良くなり、何が脅威だろうか。私たちの生命や暮らしの基盤である自然環境の劣化や汚染、伴う災害、各地での紛争、政治的にも様々な非合理的な状況が生み出されている。

 だからこそかもしれないが、この1年を通して、「サステナビリティ」の視点や「地域や場に目を向けること」が、さらに広がった気がしている。

 11月には国際野外教育研究大会でオーストラリア東海岸に向かった。場所を提供した大学には、水筒に水を補充できる場所があちこちにある。大会中のコーヒータイムでは、使い捨て容器は使用されていない。マイカップ持参が推奨されていた。

施設のあちこちにある給水所。オーストラリア・クイーンズランドのサンシャインコースト大学で。

 10年以上、「場」や風土に適した教育について研究したり、提唱したりしているが、最近注目度が上がっているSDGs(国連が定めて奨励する持続可能な社会のための目標)と、ユネスコスクールの実践が重なる事例を見ると、まさに「場の教育」の視点で活動がされていることが多い。見学に行った横浜市の小学校では、「水の流れ」を校庭で実験していたが、後日、近くの川に出かけ、この実験とつなげていくという。そこからさらに洪水の際の予測などもできる。

 日本の野外教育や環境教育研究ではあまり盛んでないが、世界では「場」「地域」に注目した研究は10数年前から見られるようになった。環境的、倫理的側面も含めて、今回の大会ではすでに当たり前の文脈であり、「場への注目がきちんとなされているかどうか」が指摘の一つになるほどだった。

あちこちにSustainabilityという言葉が出てくる。英国湖水地方の教育施設の中にあるレストランで。

 今年はそれぞれ別の学生たちと一緒に国内外のフィールド実習を何度か実施し、2月には英国湖水地方を訪れた。ある市が管理を断念した公園を、市民有志らがコミュニティプロジェクトとして借り上げ、のちに買い取り、改良、維持、運営している公園を視察した。住民たちが、町の貴重な緑の空間だと考え、始めたという。

 「私たちの活動はサステナビリティに貢献していると思うわ」。

 公園でボランティア担当をしている女性が胸を張った。敷地には元々の馬屋を改修したカフェと食物を育てるガーデンがあり、作物はカフェで使い、苗は市民に提供される。5人スタッフのうち、専従は一人。10万ポンドの支出を、メンバーシップとカフェ、スポンサーや助成金で賄うという。100人を超える市民ボランティアが運営を支える。同市には他に、劇場と市場の2つの市民プロジェクトが元気に動いている。

 滞在最終日には、現地大学の学部生らと交流した。途中で小グループでのディスカッションをしたが、テーマは「サステナビリティについて」。彼らの専攻はアウトドアスタディ、日本で言えば野外教育だ。でも「サステナビリティ」について、早大生と語り合った。

英国のカンブリア大学での議論

 滞在中どこを訪問しても、学生も、農民も、「サステナビリティ」という言葉をあたりまえのように使った。受け入れ先だった大学内のカフェには、倫理的環境的な課題について考える学生グループによる呼びかけチラシが置かれ、飲料水機には「学生でない訪問者も水筒補充にどうぞ」と張り紙がある。

 ここに参加した学生たちの環境・社会意識は大きく高まった。「ここで学んだことを、帰国後、たくさんの人たちに伝えていく場を作る」と全員で共有し、帰国後は「サステナビリティ」をテーマにした報告会とワークショップを実施した。

 地球外で暮らすための研究や実験も今年は話題になったが、まずは今暮らしているこの惑星で、持続可能な社会を築くために努力し、投資し、協力しあっていくことだろう。それができなければ、どこに行こうが結末は同じことだ。(12月23日)

ヤップ島プログラムの報告会が開かれました Reporting Session of Yap 2018 was held in Tokyo

ヤップにいた時の姿になって報告する参加者。Students wore clothes which they used in Yap.
 2018年12月1日土曜日の午後2時から、東京都千代田区の神田橋区民会館で、ヤップ島プログラム2018の報告会が開かれました。
 プログラムに参加した9人のうち、海外遠征や学業などで都合がつかなかった2人を除く7人が、家族や友人ら約30人を前に、体験を語りました。

On December 1, at a community center in Chiyoda, Tokyo, the reporting session of Yap-Japan cultural exchange program was held. Among nine participants of the program, excluding two who are in an expedition in Costa-Rica and in busy study before exams, seven university and high school students were gathered in front of family members and friend, in total of close to 30.

During the session, the word, “Love”, was repeatedly mentioned. “I was strongly held by armes when I was slipped over the floor”, “The family made me local medicine when I got sick at home-stay period”, and other stories were told. In Japan, those students are surrounded by smart phones and convenience stores. For such spoiled life, direct communications seeing each other in Yap was so impressive.

スライドを使って現地の様子を報告、Showing slides, each participants told their deep experiences in Yap.
 一人ひとりがそれぞれの感想を語る場面では、「愛」という言葉が繰り返されました。
 滑って転んだ時に、大丈夫かと心配されてぎゅっと抱きしめられた、雨の中で作業中に大きな声で歌が始まった、ホームステイ先で体調を崩した時に地元の薬草を煎じてくれた、など現地のみなさんの力強い思いやりに、強く心を打たれたようでした。
 日ごろは、スマホとコンビニにくっついて、画面越しのコミュニケーションに追われている若者たちが、目を見つめあっての意思疎通に、強く感動したようでした。

 参加した大学生高校生たちが、生き生きとヤップ島での思い出を語る姿に、家族たちからは「本当に、楽しかったみたいです」「いい仲間が出来たみたいで」と話していました。

おしゃべりは事務所に戻っても続きました。Chatting was continued until mid night at the office of ECOPLUS
 遠く高知県や大阪府から駆けつけた参加者もいて、報告会の後は、二次会、三次会、終電である一人のアパートに戻って、さらに話が続き、翌日は一緒にディズニーランドと、離れがたい時間だったようです。

 ヤップ島プログラムは、終わってからが味が出てくる、ということに気付き始めたみなさんでした。
Family members told that “I believe surely that they had very significant experiences in Yap”, or “He had so exciting days, I am feeling” after hearing their presentations.

Some participants came from far away, like Kochi or Osaka. They kept talking just before the final train and the day after, many of those spent fun time at Tokyo Disney Land together. They did not want to be separated again. They look like understanding that the real program would begin after the whole activities in Yap.

We really appreciate strong support of people in Dechmur village and Yap island.