環境教室「温暖化防止」行われました

講師の石井徹さん(朝日新聞編集委員)
講師の石井徹さん(朝日新聞編集委員)

世界各国の地球温暖化対策を報告する環境教室「国際社会に広がる温暖化防止の取り組み」が7月17日(火)に行われ、盛況のうちに終了しました。

講師は、環境問題を中心に取材している朝日新聞編集委員の石井徹さん。石井さんは、最近、同紙の連載でヨーロッパやアメリカの温暖化対策の最新事情を報告しています。

石井さんはまず世界的な気候の変化にふれ、台風の大型化、サンゴの白化、干ばつ、森林消失など、「観測史上なかったことが起きている」現状を説明。そして、それが「人為的影響」によると、専門家からなる国際機関が報告していて、共通理解になっていることを説明しました。

資料を見ながら耳を傾ける参加者。会場は満員になりました。
資料を見ながら耳を傾ける参加者。会場は満員になりました。

こうした現状に対して、対策をリードしているEUの取り組みにふれ、イギリスのカーボンオフセット(排出した分の二酸化炭素を植林などで削減する)や、ドイツの自然エネルギー推進策(太陽光発電など)を紹介。とりわけ、ドイツが、投資の仕組みを取り入れて年金基金も参加しているなど、政策誘導が効を奏している状況を解説しました。

一方で、EUがリーダーシップをとる背景として、温暖化対策を「ビジネスチャンス」としてとらえている向きがあることにもふれ、排出権取引などには批判もあるという実態を指摘しました。

翻って、日本では、京都議定書で90年比6%削減とうたっていながら、削減策が効果を発揮しておらず、EU諸国に比べて政策誘導が欠けていると指摘。「2050年にCO2を半減すると言っているが、考えられない。ライフスタイルが全て変わるぐらいでないと」と、状況の厳しさを語りました。

最後に、石井さんは、「一番訴えたいことは?」という参加者からの質問に、自身子どもを持つ親として危機感があり、「『明日世界が終わろうとも、今日木を植える』の気持ちでやっている」と語り、「大変だけどみんなで考えていかないといけない」と締めくくりました。

温暖化問題への関心が高まっているだけに、この日は高校生、主婦、ビジネスマンなど多数の参加者が来場。たくさんの質問が出され、活発なやりとりが行われました。

環境リーダー養成講座終了

武井雅昭港区長から修了証の授与
武井雅昭港区長から修了証の授与

「みなと区民環境リーダー養成講座」の最終回が
12日に行われ、18人の受講生が修了証を受け取りました。

5月から全8回に渡って行われた第2期環境リーダー養成講座。最終回は、「環境行動のプランニング」と題し、これまで学んだことを振り返った上で、これからのそれぞれの環境行動を考えました。
(講師は、エコプラス代表理事、高野孝子)

記念撮影する区長と修了した受講生のみなさん
記念撮影する区長と修了した受講生のみなさん

小グループに分かれて討議し、それぞれの案を付箋紙に貼っていったところ、「もっと知識を吸収して幅を広げる」「身の回りの人に伝える」「勉強会を作って、何かをやっていく」「欲を減らす」など、様々な意見が出されました。

また、第4回の里山実習後に自分で何度も里山に行って活動しているなど、既に行動に移している受講生がいることが話し合いの中でわかりました。

高野講師は、「知識を持っている、持ってないよりも動くのがリーダー。知識はみんなに既にあり、誰もがリーダーになっていけます」と語り、とにかく行動する事の大切さを説きました。

そして、全8回のうち6回以上受講した方に、港区の武井雅昭区長から修了証と記念品が授与されました。全受講生20人のうち18人が修了と、出席率は高く、受講生の意識の高さがうかがえました。

受講生は、今後は、有志で第1期環境リーダーの勉強会に参加したり、第2期メンバー独自のネットワークを作るなどして、活動していくことを考えています。

9月末からは、第1期と第2期の修了生を対象にした「応用編」もスタート。港区に、環境活動を率先して行う人の輪がどんどんつながり、広がっていきそうです。

第7回環境リーダー養成講座開催

豊富なデータをもとにエネルギー問題を解説する大前理事
豊富なデータをもとにエネルギー問題を解説する大前理事

環境リーダー養成講座第7回「温暖化・エネルギーと暮らし」が行われました。エコプラスの大前純一理事が、地球温暖化とエネルギーの関係やエネルギーと私たちの暮らしのつながりを講義しました。

 

残すところ2回となった第7回目の講座。南極観測に同行した経験があり、温暖化問題に詳しい大前純一エコプラス理事が、様々なデータをもとにエネルギー問題を詳しく、分かりやすく解説しました。

大前理事は、まず温暖化の深刻さに触れ、2035年には2℃、2100年には5℃気温が上昇すると予測されていることを説明。大気中のCO2量が産業革命以降に急激に増えて、今、地球の植物が吸収できる5倍もの量を人間が排出している現状を指摘し、CO2のほとんどは石油などの化石燃料の消費から発生していることを解説しました。

質問する受講生。温室効果ガスの成分など突っ込んだやりとりが行われた。
質問する受講生。温室効果ガスの成分など突っ込んだやりとりが行われた。

日本が排出しているCO2、12億トンをいかに減らすかという問題に、「低炭素社会」「1%を温暖化防止に」という世界的な提言を紹介した上で、家庭でできることとして「待機電力の削減」や「冷暖房の温度を上げる」「エコ製品に買い替える」などの取り組みに効果があることを説明。一方で、その規模では目標の1%にも満たず、炭素税の導入といった構造的な対策や大きな枠組みで考えることが必要と説明しました。

最後に、こうした現状を私たちのライフスタイルや価値観を変える「日本のチャンス」ととらえて、「消費継続社会からの離脱」「自分の命を自分で支える」自給の試みを提言しました。

「エネルギー問題は、温暖化に直結している」(大前)だけに、受講生の関心は高く、講義後も、様々な具体的な質問や意見が出されました。