みなと区民環境リーダー養成講座応用編の第4回「エネルギー消費と温暖化」が10月16日(火)に行われました。
今回の講師は、市民の立場から太陽光発電などを推進しているNPO法人太陽光発電所ネットワーク事務局長の都筑建(つづくけん)さんです。都筑さんは、出身地長崎市での被爆体験を原点に、1970年代から市民運動、労働運動、脱原発運動、そして、80年代から自然エネルギーの普及活動に取り組んで来ました。
都筑さんは、まず、問題の基本として、人間のエネルギー消費が産業革命以前と以後とで歴史を二分するほど激変した事や、エネルギーを一度使うと保存できないという「エントロピーの法則」を紹介して、問題の大きさ、深刻さを解説しました。また、「文明の観点から」として、エネルギー問題への取り組みが「現代文明からのサバイバル」を意味すると語り、“エネルギーを変えれば暮らしが変わる”と提起しました。
そして、望ましい未来をイメージすることが必要として、近代的発展による未来像ではなく、日本の江戸時代のような完成度の高い循環型社会を投影した「懐かしい未来」を提唱。都筑さんたちが中国雲南省で取り組んでいるバイオガス・プロジェクトを例に引いて、先進文明工業国の轍を踏まずに、そうした懐かしい未来=自然エネルギー社会に移行することが(=文明のバイパス)可能だと語りました。
自然エネルギーの中でも、都筑さんは、太陽光発電が、●低コスト ●扱いやすい ●自給できる(系統連携によって市民発電のネットワークが可能になる)などの点から最も有望として、「2030年ロードマップ」をもとに今後段階的に太陽光発電の電気代が下がり、普及が進んでいく展望を示しました。また、「2100年には、太陽光発電がエネルギーの6〜7割を占める」というドイツ政府の諮問機関による見通しも紹介して、その将来性を裏付けました。
一方で、社会が浪費型のままなら自然エネルギーは主役になれないとして、省エネルギーを同時に進めることの重要性を説き、エネルギーの利用方法として、1.直接利用、2.ベストミックス、3.共同利用などの原則を立てることの必要性を指摘しました。
最後に、自然エネルギーの本質として、「多くを与えすぎない」「平和的」などのメリットを挙げ、普及・推進には「市民参加が欠かせない」として、これからの社会の働き方、人間の関係性にまで影響を及ぼすという見通しを語りました。
講師自らの実践に基づいた内容豊かな講義に、参加者からは、太陽光発電の設置のコストや政策によってどれだけ普及させられるかなど、具体的で熱心な質問がいくつも寄せられました。