150センチほどの積雪におおわれているイロハ田んぼ。当分は農作業なんて無理?
先日村のお年寄りとお話した際に、「肥え引き」の話を聞きました。どの家でも牛や馬を飼っていた30−40年くらい前のことだそうです。
(以下は、そのお話です)
今の時季は、積もった雪が、昼間とけて夜固まることをくり返すので、ふんわり積もった雪もぎゅっとしまり、かたくなる。重いものもそりにのせて運ぶことができたので、遠くの田んぼまで「肥え引き」をしたものだった。
木や金属でできたかじ(舵)付きのそりに家畜の堆肥を積んで田んぼに運び、一か所に固めて置いて来る。今考えてみれば無茶苦茶な話だ、棚田の傾斜をすべり降りるそりの前を人間が走ってかじを取ったんだから。そして戻るときは重いそりを引いて滑り降りた斜面をのぼる。これを何往復もした。一日にご飯を4食も5食も食べたよ。大変だった。
(ここまで)
田んぼに置いた堆肥は、雪がとけた後に田んぼ一面に均一にまいたそうです。「大変だった」と語ったおじいさんの目は、とても懐かしそうでした。
おじいさんの話から、「雪ぎえの始まりは肥え引き」というように、昔は「何月何日」ではなく、周りの自然の現象そのものが農作業の暦になっていることが、とてもよくわかりました。