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レスターブラウン氏の記者懇談会の発言要旨

レスター・ブラウン氏は、27日夕の記者懇談会で「これはもう戦争だ」と強い危機感を表していました。

まもなく日本で発売される著書「プランB4.0」の要点は以下の4つだ。
1、温暖化ガスを2020年までに80%削減すること、
2、世界の人口を80億人に抑えること
3、貧困をなくすこと
4、森、草原、土地、地下水、海など自然資源の復活に努めること。

これは、もう戦時であるといっていい。動員が必要なのだ。政治家たちは2050年に80%という目標を掲げている。政治家には支持が必要なのでそういうが、科学的にいうとそれでは遅い。

一方で期待できることも起きている。

中国ではきわめて大規模は風力発電の試みが始まっている。北アフリカでの太陽光発電、風力発電を欧州に送る民間の計画もある。とりわけ中国は、これまでの路線を転換して、7つの巨大風力発電所の建設をしている。

アメリカでは、ついに自動車の利用が減り、石油使用量がマイナスになってきている。

日本政府が持っている2020年に10%削減という目標は、低すぎる。日本には1万の温泉があり、浅い場所から地熱を取り出せる利点がある。世界的に地熱分野では先導者はいないので、この分野で日本は世界の主導者となれるはずだ。

私が今回のプランB4.0の副題に、「Mobilizing to Save Civilization」(文明を救うために、動員せよ)という言葉を使ったか。

もはや、宣戦布告が必要な状況なのだ。私たちは、安全保障(Security)という言葉を定義し直さなくてはならない。前世紀の危機は、国家国土への軍隊の侵略だった。しかし未来の脅威は、ピークオイル(石油の枯渇)であり、ピークウォーター(水の枯渇)だ。今後50年このままのことをしていて人類が続くことはあり得ない。
シュメール文明は地下水の過剰な汲み上げによる塩害で滅んだ。森林破壊、極地の氷床融解、海氷の消滅、地下水の過剰くみ上げ、温暖化ガスの増加、魚の乱獲。この中の一つとして、われわれはまだ解決できていない。

問題はすでに始まっている。たとえば食料の高騰。大豆がこの数年で3倍に高くなった。いったんは落ち着いているが高値で止まっている。さらにまた高騰することだろう。これまで通り(business as usual)ではいけないのだ。

だから私は、「mobilize(動員)」という戦争用語を使ったのだ。