お茶づくりの真剣勝負を実感

神奈川県秦野市の高梨茶園にお邪魔して、2015年9月20日に、手もみ茶づくり講習会を開きました。茶摘みから最後の乾燥まで、8時間以上にわたる真剣勝負に、お茶の奥深さを体感しました。
参加したのは、秦野市内や首都圏各地からの会社員ら9人。お茶づくりはほとんどが初めてでした。

青空のもと、広々とした茶畑で、若い葉を摘む。小さな芽(芯)とその下の2枚の若葉を摘む「一芯二葉」が原則。
青空のもと、広々とした茶畑で、若い葉を摘む。小さな芽(芯)とその下の2枚の若葉を摘む「一芯二葉」が原則。

午前9時過ぎに高梨茶園で、ご主人の高梨孝さん、若主人の晃さんの指導で作業を開始しました。落ち葉のたい肥など有機肥料にこだわって育ててきたお茶畑は、足元がふかふかしています。樹齢60年というお茶の木には、あちこちに若芽が出てきていて、その先端の柔らかな部分だけを、一つひとつていねいに摘んでいきました。

午前11時すぎまでかかって集めた茶葉は約2.8キロ。正午前から蒸す工程に入りました。直径30センチほどのせいろに入れて蒸します。時間は最初30秒、上下を入れ替えて20秒、最後に分厚い木のフタを2度開け閉めして蒸気を全体に回して、冷却、という過程。

途中から、葉っぱの状態から全体で10秒短縮するという微妙な調整も入りました。蒸気からは甘いお茶の香りが立ち上がります。蒸してすかさず冷却すると葉っぱは生の時と同じきれいな緑色のままです。

蒸した後の、お茶もみ。軽く葉っぱをふるい、軽く転がし、やがて体重をかけてもむ、さまざまな工程が続く。
蒸した後の、お茶もみ。軽く葉っぱをふるい、軽く転がし、やがて体重をかけてもむ、さまざまな工程が続く。

小一時間かけてじっくり蒸し上げた後は、「ほいろ」と呼ばれる人肌に保つ和紙張りの四角い台の中での「もみ」作業。蒸した葉っぱを何度かふるって水分を飛ばし、転がしながら、軽く、時には体重をかけて、もんでいきます。

2台のほいろに分かれた参加者は、それぞれ交代で昼食を食べながら、ひたすらもみ続けます。孝さん、晃さんがずっと付きっきりで動作を指導。「親指を人さし指に付けて」「指先をあわせて茶葉を包み込むように」「人さし指と小指をそれぞれ外側に押し出すように」と指の動きも細かく教えてもらいました。

何と、晃さんは手もみ茶の全国大会での優勝経験もある名人。時々参加者がもんだお茶を調整しながら、午後4時過ぎには手もみ茶が完成しました。

1枚の葉がねじりが入った長さ4センチ前後の針のような状態になっています。「先端がとがって障子に刺さるぐらいになり、表面がつややかに光ってくると最高」と晃さん。

最後の乾燥はほいろの中で約2時間。この間に、孝さんが茶畑で作るいろんな種類のお茶を見せてくれたり、製茶工場の中で説明してくれたりしました。

最後のふり返りでは、「お茶に情熱を持つお父さんの背を見て息子さんががんばっているということがよく分った」「手を抜かずにお茶づくりをしておられることが分かりファンになりました」など、お茶の奥深さに感動する声が続きました。

高梨孝さんは「知ることと体験することは違う。体験を通じて日本のよさを知り、磨きをかけると日本がもっと元気になると思う。一歩一歩伝統を重んじていいものを若い人たちの暮らしが楽しくなるような社会になればいいと思います。大げさですけれど、道を知っていることと道を歩くことは違うと思います」と話していました。

(終了しました)田んぼのイロハ「稲刈り」を10月10−11日に行います

緑一色だった田んぼが、一気に明るい色に変わってきました。
緑一色だった田んぼが、一気に明るい色に変わってきました。

休日農業講座「田んぼのイロハ」の稲刈りを、10月10−11日に行います。8月中旬までの猛暑と、その後の一転した低温、さらに9月に入っての秋雨と日照不足。稲にとっても試練の気候でした。それでも稲穂は日に日に黄色く、重たくなっています。

頭を垂れ始めた稲の穂。これからどんどんと実がしっかりしてくるはずです。
頭を垂れ始めた稲の穂。これからどんどんと実がしっかりしてくるはずです。

【趣旨】
完全有機無農薬天日乾燥という、もっとも手間がかかった極上のコシヒカリ。いよいよ刈り取りです。手で刈り、束ね、はざにかける。モミの重さをずっしり感じる作業と、秋の絶景を楽しみます。

【場所】
新潟県南魚沼市栃窪集落
集落開発センター

【日程】
10月10日(土)12時半 現地集落開発センター集合 午後1時開始
11日(日)午後3時解散
車の場合は、関越自動車道塩沢・石打インターから国道17号線経由で約20分。
列車の方には塩沢駅到着にあわせて迎えの車を調整します。末尾に参考列車情報あり。

【内容】1日目、オリエンテーションと今年の稲作についての説明(座学)、集落と周辺の秋の様子の散策。集落のみなさんも交えた懇親会。2日目は、朝から稲刈りとはざかけ。田んぼでの昼食。終了後温泉で汗を流して、ふりかえりをして解散。天候による変更があります。

【定員】15人程度
【費用】参加費:10,000円(プログラム費、2日目昼食、保険料)
※参加された方には収穫したコメを後日おひとり2kg贈呈します
※学生半額、エコプラス会員2割引。
※小学生以下、棚田オーナーのみなさんは保険料、昼食の実費のみいただきます。
※宿泊費(1泊2食、温泉付き)は各自お支払いください。地元の温泉民宿泊は大人7,000円、公民館での寝袋持参泊は3,500円です。

【お申し込み・お問い合せ】
特定非営利活動法人ECOPLUS
TAPPO南魚沼やまとくらしの学校
新潟県南魚沼市栃窪1120
電話:025-782-5103
tappo@ecoplus.jp

(参考列車:往路)
*東京駅8時52分発 MAxたにがわ309号
越後湯沢駅10時23分着 同27分発 上越線普通列車
塩沢駅10時45分着

*東京駅9時28分発 Maxとき313号
越後湯沢駅10時57分着 同11時21分発 上越線普通列車
塩沢駅11時39分着

*上野駅午前6時26分発 JR高崎線普通列車
高崎、水上で乗り換え 10時45分塩沢駅着

(参考列車:帰路)
*塩沢駅15時33分発 上越線普通列車
越後湯沢駅15時50分着 同56分発 Maxとき330号
東京駅17時20分着

*塩沢駅17時31分発 上越線普通列車
水上、高崎で乗り換え 21時35分上野駅着

イロハ2015申込フォーマット

参加ご希望の方は以下の事項に記入し、メールまたはファクスにてお申し込みください。 【宛先】mail : tappo@ecoplus.jp  FAX : 03-5294-1441

休日農業講座「田んぼのイロハ」参加申込書

*以下について丸で囲んで下さい。ご家族の場合は1人ずつ情報をお願いします。

参加区別:(一般/学生/エコプラス会員/棚田オーナー)
氏名:
ふりがな:
性別:
所属(職業、学校、団体など):

郵便番号:
住所:

電話:
FAX:
携帯電話:
メールアドレス:
プログラム実施中の緊急時連絡先:

生年月日:
*保険をかける際に必要となります。

交通:塩沢駅からの送迎希望/自家用車など自力
宿泊:民宿泊/公民館寝袋持参泊

1)このイベントをどこで知りましたか?

2)参加の動機・期待することは何ですか?

3)関心のあること、現在活動していることなど簡単な自己紹介

4)アレルギー等健康面についてスタッフが知っておくべきことがあれば教えてください。

5)就寝時のいびき、喫煙など、事務局が配慮したほうがよいことはありますか?

6)その他、心配事や疑問などあればご記入ください

※2),3)については、参加者同士の交流のために当日配布する名簿に掲載させていただきます。

たすけ合い、わかち合い、十人十色のヤップ島プログラム2015

 2015年度のヤップ島プログラムが8月19日から30日までトミル地区のメルール村で行われました。参加者たちはヤップの自然と共に「暮らす」ことの意味を見つけました。

村でのコーディネートをしてくれたダットマグとディー
 2015年度のヤップ島プログラムが8月19日から30日までヤップ島のトミル地区にあるメルール村で行われました。メルール村はプログラムでも初めてお世話になったところで、コーディネーターのダットマグさんやディーさんをはじめ、村の人たちもやさしく迎えてくれました。

 今年は大学生9名、高校生1名の計10名の参加者がこのメルール村にお世話になりました。参加者のなかにはものつくりに興味がある者や医師を目指す者、ドイツやアメリカで滞在経験がある者、文化人類学を専攻する者など、まさに十人十色のメンバーが集まりました。
また、毎年プログラムをオーガナイズする大前純一さんをはじめ、ボランティアスタッフとして板垣と昨年ブゴル村に滞在した松岡沙生さんの3名が参加者に同行しました。

 プログラム序盤は、メルール村の伝統的な集会所を寝床として、村の人たちとトイレやシャワーハウスをつくったり、寝るときに使うヤシの葉のマットを織ったりと、生活の場つくりが展開されました。また、ビレッジウォークでは森の中に続くヤップの伝統的なストーンパスを歩きながら、レモンやカンクンなどの食べ物が採れるところを教えてもらったり、ビンロウの木登りにも挑戦しました。ストーンパスを歩いているとまるで今にも腰ミノやフンドシを巻いた村人が前からやってくるような雰囲気でした。

 プログラム中盤はメインイベントの一つであるホームステイが行われました。ホームステイでは薄型テレビやテレビゲーム、エアコンまで備えられている家庭から未だに電気もガスもつかわない家庭まであったようで、参加者たちは伝統的な暮らしから近代的な暮らしへとの変化する様子を目の当たりにしながらもヤップの人びとの「生き方」を垣間見ることができた様子でした。

 終盤になるとTRCTのお手伝いとして、台風で倒れた禁漁区のマーカーを立て直したり、ありがとう活動として崩れた石垣を修繕しました。また、村の女性たちに手伝ってもらいながらタピオカ料理にも挑戦しました。プログラムの集大成となるフェアウェルパーティーでは、よさこい踊りを披露したり、ヤップでの生活を通じて感じたことや見つけたことを「笑」や「人」のように漢字一文字に表してパーティーに参加してくれた村人たちに披露していました。また、村の人たちも踊りをマスと呼ばれるダンスを披露してくれました。

 今年の参加者たちはとにかく仲良しで雰囲気が良く、チーム全体も日に日に成長していく様子を見ることができました。はじめは村の人たちから与えられることや手伝ってもらうことが多かった彼らの生活も少しずつ自分たちで考えて行動できるようになっていきました。自然の中で「暮らす」ことは本当に大変なことで、例えばご飯を炊くにも火をおこすことからはじまります。火をおこすには薪を集め、薪が雨で濡れたら乾かす、鍋を使えば洗うというように、一つ一つの動作がとても重要になります。

 こういった日々の活動の中で、ただのキャンプではなく、本当の意味で「暮らす」ということを深めていけたのではと思います。

 その一方で、日本で当たり前なことが出てしまって失敗したり、目のまえの事にとらわれすぎて、今この場所でしかできないことを十分にやり切れなかったという反省もありました。また、大人数で生活しているとすこしずつ意見の食い違いも出てきます。それでも、彼らは毎日夜遅くまで話し合いをして、それぞれの意見や考えを共有しながらひとつひとつの問題を解決することができました。

 日本に帰国して行った最後の振り返りでは、

「今まで自分が当たり前だと思っていたことが実は当たり前じゃなかったことに気づかされた」

「集団生活を2週間したことで自分の立ち位置や役割が見えてきた」

「みんなで生きることが大事なのだと分かった。等身大の自分でいれた」

 など多くの感想が寄せられました。10人の参加者がそれぞれにヤップでの「暮らし」を通じてたくさんの学びや気づきがありました。

 今年もプログラムの報告会を実施します。詳細は決まり次第、ウェブサイトで報告します。