子どもと環境と民主主義を考える・・・ヘイワードさん

ブロンウィン・ヘイワードさん(Bronwyn Hayward)

ニュージーランドのカンタベリー大学准教授。政治・国際関係学部長。気候変動などの環境問題と子どもの教育、民主主義などを複合的に研究。2016年気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「1.5度への見通し会議」専門家の一人。英国の「持続可能な繁栄の理解センター」や、ノルウェーのオスロ大学での「若者の声とビジョン」など世界をつないだ研究でも知られる。

 最新の著作は、「Children, Citizenship and Environment; Nurturing a Democratic Imagination in a Changing World」。出版元のルートリッジ社の説明には、以下のような説明があります。

https://www.routledge.com/Children-Citizenship-and-Environment-Nurturing-a-Democratic-Imagination/Hayward-Jackson-Dobson-Hart/p/book/9781849714372

今の時代に育つ子どもたちは、4つの新しい課題に直面しています。危険をはらんだ自然環境の変化、弱まる民主主義、広がるばかりの社会的な格差、そして、かつてない若者の高い失業率といつまでも続くはずがない資源の浪費に象徴されるグローバル経済です。しかし、同時に変革への若いエネルギーも世界のあちこちに見ることができます。

 この本では、市民教育や環境教育への新たな課題を探索します。若者たちが、自分たち自身に対して影響を与える課題に関して、どう対応するかを学ぶプロセスと、どう、教育者や研究者、親、地域社会が支えるか、その責任と可能性を探ります。

政治学者として議論を巻き起こし、同時に希望を示している著者は、新自由主義的な民主主義における若者のシチズンシップに関する概念を再検討しています。彼女は、ニュージーランドのさまざまな事例を比較しならが議論を展開しています。ニュージーランドの若者たちは、この地球全体に対する自分たちの義務というものを意識していると繰り返しています。一方で社会的にはひどい状況にも直面しています。著者は、エコロジカルなシチズンシップに関するSEEDというモデルを開発しました。協働意識(Social agency)、環境教育(Environmental Education)、社会正義( Embedded justice)、分散された熟慮の民主主義(Decentred deliberative democracy)、そして自己の超越(Self transcendence)です。このモデルがどのように若者の民主的な想像力をかきたて、社会正義への参加意識を育むのかが議論されています。

環境を心配する人々、市民科学者、そして世慣れた懐疑主義の人々には、この本は多様なシチズンシップのありようを示し、同時に、多くの試みが、若者たちが変化を生むことをより困難にしているのかを論じています。とりわけ8歳から12歳の子どもを対象とする教師たち、環境市民教育に関わる実践者たち、さらに環境変化や民主主義、世代を超えた正義などに関心を持つ学生や研究者たちに資するものです。成長なき反映の著者であるティム・ジャクソン氏が賛辞を寄せ、欧米を代表する研究者、アンドリュー・ドブソン氏とロジャー・ハート氏もまえがきを寄稿しています。本書の著作料の半分は、クライストチャーチの大地震に関する貧困支援に提供されます。
彼女のブログは、以下から参照下さい。http://growing-greens.blogspot.co.nz/
Youtubeでも見ていただけます。http://www.youtube.com/watch?v=kptEw1aZXtM&feature=youtu.be