「エコなプレス」91号

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  地域と地球の未来を考える「エコなプレス」 2019・2・11
    ECO-na-PRESS Number 91
   ひと・自然・異文化  特定非営利活動法人ECOPLUS
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 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)高野孝子の地球日記・・豪雪の山里で「サービスラーニング」
2)エコプラスからのお知らせ
・雪ざんまいキャンプ(3月28−31日)
・無農薬のイロハ米おすそ分け中
3)エコなニュース
・国際環境映像祭(2月22-24日、東京・日比谷)
・「アドベンチャー教育」フォーラム(3月23-24日)
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1)高野孝子の地球日記・・豪雪の山里で「サービスラーニング」
 「携帯とかテレビとかなくても、別に不便じゃなかった」「不便だと思っていたが、コンビニがないからこそあるもの、に気づいた」。立教大学の学生19人が2月上旬、授業の一環として新潟県南魚沼市の山間部の集落にやってきた。
https://wp.me/s7Irqm-rsl2019
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2)エコプラスからのお知らせ
<雪を思いっきり楽しもう!雪ざんまいキャンプ>
 春先も残る雪の上で、キャンプをします。地元のベテランの指導のもと、豪快に斜面を下る「尻滑り」は最高!相談しあって、自分たちで暮らしを組み立て、遊び、学びます。
【日程】2019年3月28−31日
【場所】南魚沼市栃清水集落(JR東京駅から送迎予定)
【対象】新小6生、中学生、高校生
【内容】雪山ハイク、標高差100mの豪快尻滑り。残雪の上でのテント泊、雪の上で調理、ソリ遊びなど。
【参加費】35,000円(3泊4日の宿泊費、プログラム費、保険料)、寝袋などのレンタル費別途。
http://tabinaw.jp/ecoplus/2018/12/09/snowcamp-2/
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<無農薬のイロハ米おすそ分け中>
 休日農業講座「田んぼのイロハ」で栽培した、無農薬天日乾燥のおコメ。残りは60キロほどになりました。あとわずか。化学物質を一切使っていない無農薬栽培。雑草を手で取り、はざにかけて天日乾燥。市場には流通しない「まぼろしの魚沼コシヒカリ」です。
 無農薬米、1キロ1,300円(白米)、1,200円(玄米)送料別。
http://tabinaw.jp/ecoplus/2018/11/02/organic_rice
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3)エコなニュース
<グリーンイメージ国際環境映像祭>
 世界48の国と地域から応募された163作品の中から2度の審査を通して選ばれた10作品を上映、最終日には、グリーンイメージ大賞が決まり、上映されます。
【日程】2月22-24日
【場所】日比谷図書文化館コンベンションホール(東京都千代田区日比谷公園1-4地下1階)
【参加】協力費1日1,500円 学生協力費1日1,000円 3日間通し券3,000円 中学生以下無料・事前予約不要
https://green-image.jp/filmfestivals/6th/
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<「アドベンチャー教育」:未来へ向けてのネクストステージ>
 アドベンチャー教育の可能性を探るフォーラム。エコプラスの高野孝子代表理事も登壇します。
【日程】3月23-24日
【場所】玉川大学 大学教育棟2014ほか
【参加】学生1,000円、一般2日間5,000円、1日3,000円
http://tap.tamagawa.ac.jp/news/news-180731.html
━━ 編集後記(エコプラス事務局長大前純一) ━━━
 今年は雪が多いのか少ないのか。首都圏で雪が降り、極端に寒い日もあるものの、私たちが住む南魚沼市の積雪はやや少なめ。気温が高く、厳冬期なのに以前では考えられなかった雨が、何度か降っている。雪が少ないのは暮らしには楽だが、春先の田植えの水不足や夏の干ばつなど、気掛かりだ。そういった自然と暮らしの関係を直接体験する機会が、最近は激減している。特に若い世代には、自然の息吹を肌で感じて欲しい。「ヒト」が「人」となるには、命がどう支えられているのかをじかに感じることから始まるのだろう。
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━ エコなプレス ECO-na-PRESS 091 2019・2・11 ━━

豪雪の山里で「サービスラーニング」

一人ひとりが「代替不可能」な社会を目指そう

初めての除雪作業。積雪は2mを超えている。屋根からの雪が積み上がって壁のようになっている。掘り上げるような作業になるので「雪かき」ではなく「雪掘り」と地元の人たちはいう。

「ここで携帯とかテレビとかなくても、別に不便じゃなかった」

「暮らすとなったら違う考え方するでしょ」

「コンビニがないと不便って思いがちだけど、コンビニがないからこそあるものもあるって気づいた」

 立教大学の学生19人が2月上旬、授業の一環として新潟県南魚沼市の山間部の集落にやってきた。

「サービスラーニング」という学びの手法で、現場で体験的に実際の課題に関わりながら学んでいく。19人中14人が、「初の農村体験プログラム」と答えていた。

冷え込んだ朝方、雪は岩のように硬く重い。前日に車庫の屋根から下ろした雪を、さらに道路の外に投げ出す。体から湯気が上る。

 豪雪地帯にある高齢化が進む栃窪地区を舞台に、「雪掘り」をしたり村の人たちと対話をしたりしながら、農山村について知り、高齢化が意味することを考え、自分たちの日々や行動と照らし合わせていく。

 生まれて初めての雪掘りは、きつかった人たちが多かったようで、「こんな少しの雪掘りでもこんなに大変。これまでテレビでわからず聞いていた雪の事故について、ようやく理解できた」などという感想が初日に聞かれた。

超小規模校と呼ばれる栃窪小学校で、児童と大学生が一緒になってゲームなどをした。

 全校児童12人の小学校では、子どもたちが準備した「新米試食会」に招待してもらい、小学1年生から6年生までの一人一人が、21人の大学生と交わった。何軒かの家に上げてもらって話しを聞いたり、50代と70代の住民からは彼らが経験した社会と暮らしの変化の様子を聞いたりした。連日、とても美味しいお米と食事をいただきながら、今は雪の下になっている田んぼと農についても話題になった。よく晴れた日には、一面の雪原となった場所を山の方にカンジキをつけて歩き、動物の足跡を見たり、それぞれ寝転がって美味しい空気と景色を楽しみながら、静かな時間も過ごした。

 わずか3泊4日の滞在だったが、密度の濃い体験的学びと、寝る間も惜しんでのディスカッションを通して、学生たちは自らの視野を広げ、多角的な視点を得て考えを深めていた。そこで起きていることと都市が無縁でないことに気づいていく。

連日の議論。みんなが真剣に、地域と都会、そして自分たちの暮らしについて考えを深めました。

「都市は水も食料もエネルギーも、都市以外の場所に支えられている」、「栃窪の危機は、自分たちの危機」。

 集落の一人は、過疎高齢化が進むと大変なことになると10年以上前から危機意識を持って動いていたにも関わらず、現実になってみると「ここまで追い込まれてきた」と話した。

 これを受けて学生たちも、「今、わかっていて将来大きな問題になるようなものについて、自分たちはもっと真剣に向き合わなくてはいけないのでは」と緊張感ある発言もあった。

 「ここの小学校は生徒が少ないから、一人欠けたら大変だし、誰も代われない。でも私が休んでも、授業には関係ないし、バイトは代わりがいるし、私ってこれまでずっと代替可能な存在だったって気づいた」。

 こうした声を元に、一人ひとりが「代替不可能」な存在となることが、持続可能な社会作りに関係するのではないか、など様々な意見が出されていった。

 最後のふりかえりアンケートでは、経験することの大切さや、地域のつながりの価値、思い込みや先入観に気づけたこと、食への意識、自分で生産する意欲など、びっしり書かれていた。そして「夏にも栃窪に行きたい!大好きになりました」。

 久しぶりにみずみずしく、かつ深い感性に出会った気がした。

 通常、観光客として訪問することはあっても、土地の普段着の暮らしに触れたり、考察したりすることはなかなかない。受け入れる方も大変ではあるが、こうした機会を持つ大切さをつくづく思う。