「草刈り」タグアーカイブ

やまざとワークショップを行いました

2009年9月26−27日、新潟県南魚沼市清水集落で「やまざとワークショップ」が開かれました。
9月26−27日、新潟県南魚沼市清水集落で「やまざとワークショップ」が開かれました。参加したのは、首都圏在住の学生や社会人4人。さわやかな秋晴れの空の下、集落の人たちに教わりながら、ナメコの特産化に向けた作業や水路の維持作業、アケビやヤマブドウの収穫などをし、初秋の山里の暮らしを体験しました。

たくさん並んだナメコの原木のまわりの草を丁寧に刈り取りました
たくさん並んだナメコの原木のまわりの草を丁寧に刈り取りました

1日目は、昨年5月にコマ打ちしたナメコの原木周りの草刈り作業を手伝いました。この場所は昨年8月にも草刈りをしましたが、1年経って再び笹のやぶになっていました。集落の人たちが草刈り機で大まかに草を刈った後に、カマを使って原木を傷つけないよう丁寧に草を刈り取りました。作業には、清水集落唯一の中学生2人も参加し、1時間程で刈り終えることができました。
ナメコの原木地帯までの山道には、ヤマブドウやアケビ、地元で「アマンダレ」「クズレ」とよばれるキノコなど、秋の実りがたくさん。参加者たちは清水の豊かな自然の恵みに目を輝かせ、収穫していました。
作業後、収穫したばかりアマンダレでけんちん汁を作り、夜の交流会でおいしくいただきました。

水路に落ちた草を取り除くのは、慣れない人には難しい作業。水路の中に入って手づかみで草を拾い上げる人もいました。
水路に落ちた草を取り除くのは、慣れない人には難しい作業。水路の中に入って手づかみで草を拾い上げる人もいました。

2日目の午前中は、集落の共同作業である水路の維持作業を手伝わせてもらいました。集落に水がきちんと流れ込むよう、水路の中に落ちている草や木の枝を取り除く作業をしました。水の流れに逆らって草を水路から引き上げるのは、慣れない人には少し難しい作業でしたが、参加者たちは、草を取り除いた後に一気に水が流れるようになることの達成感や、山からの冷たい水の心地よさを楽しんでいるようでした。
午後は、集落の人と参加者とが一緒になって、ナメコの特産化に向けての意見交換を行いました。特産化に向けた具体的なアイデアや清水の将来への率直な意見が活発に出されました。「ナメコをきっかけに清水を知ってもらい、来てもらうきっかけを作っていきたい」「子どもたちが暮らしたいと思える清水を作っていきたい」という集落の人たちの声に対して、参加者は「地域への愛情に感動した。応援していきたい」と話していました。

この事業は、清水地区の活性化事業として、清水地区活性化委員会が主催し、エコプラスが事務局を務め実施されました。

【参加者の声】
・自分には田舎がないので、田舎ができたようで嬉しい。
・集落の人たちからいろんな話を聞けて嬉しかった。
・大学で「地域活性化」などを勉強しているが、現実との違いに驚いた。
・草刈り作業は単純作業だったが、それが楽しかった。
・お金を出していつも同じ商品が買えることとは対極にある体験ができた。他では絶対出来ない体験だった。
・水路管理にこんなにも人手がかかっていることに驚いた。会社のCSR事業として「ボランティア」が集まるのではないかと思った。

(09年第4回報告)草刈りとあぜ豆植え

東京から家族連れと社会人の5人が、南魚沼市栃窪地区で、あぜの草刈りを学びました。
2009年7月4−5日、休日農業講座「田んぼのイロハ」の第4回が開かれました。東京から家族連れと社会人の5人が参加しました。

4日は、地元の笛木健作さんを講師に、あぜの草刈りに関する座学を行いました。
穂が実り始める頃にやって来る害虫から米を守るために、害虫の居場所となるあぜの草を刈らなくてはならない、それもタイミングを見計らって刈ることを教わりました。
また、大型機械や化学肥料が普及する前は、刈り取ったあぜの草が、堆肥になったり家畜の飼料になったりして、循環していたことも学びました。

地元の人に研ぎ方を教わり、カマの刃を研いでから始めました。
地元の人に研ぎ方を教わり、カマの刃を研いでから始めました。

夕食後はホタルを見に行きました。山からの清水が流れている場所に飛んでいて、多いところでは10匹以上いました。

5日は、実際の草刈り作業を体験しました。地元の桑原一男さんからカマの研ぎ方や扱い方を教わり、手刈りでイロハ田んぼの大きなあぜの草を刈りました。
草を刈った後に、あぜ豆植えも行いました。

梅雨の晴れ間の少し暑い日、気温は日中29度にもなりましたが、参加者は「気持ちのいい汗をかき、心身ともにリフレッシュできました」と笑顔で話していました。

地元の人はとても手際が良く、おもしろいように草が刈られていきます。
地元の人はとても手際が良く、おもしろいように草が刈られていきます。

あぜの草刈りは稲を虫の害から守るための作業

2009年7月4日の田んぼのイロハでは、地元の笛木健作さんが講師となった座学が行われました。以下が座学の主な内容です
▼あぜの草刈りは、稲を虫の害から守るための作業
稲の害虫には、バッタの仲間のイナゴ、ガの仲間のニカメイガ、カメムシの仲間のウンカやヨコバイ、カメムシなどがいる。
ガから稲を守るために、昔は「誘蛾灯」という明かりをつけ、ガをおびき寄せていた。
カメムシは、若い籾や茎の汁を吸う。柔らかい稲を好む。穂肥えに使うチッ素が稲をやわらかくするので、チッ素過剰になった田んぼに多く出る。

除草剤をまくと、とても柔らかい土になり、あぜが壊れてしまう。結局自分の首をしめることになるので、除草剤は使わずに刈り取っている。

パノラマ農産では、肥料にはコメヌカを使っている。有機肥料を使って栽培すると、イトミミズなどが出てきて田んぼがビオトープ化される。カエルやクモが棲めば、虫を食べてくれる。「天敵」を利用して虫を駆除できる。化学肥料だとアスパラギン酸が発生し、これもカメムシの好物となる。
また、本で見たことだが、完熟していない有機肥料を使うとチッ素過剰になるそうだ。チッ素過剰になれば、カメムシが好む柔らかい稲になってしまうので、完熟した肥料を使うことも大事なようだ。
パノラマ農産は設立して2年。どんな肥料をいつまくのかを探りながらやっているところだ。

▼時期に合わせた畦畔(けいはん)除草が大事
草刈りは年中していればいいというものではない。稲の胚乳(はいにゅう)が濃い乳状をしている「乳熟期」にカメムシにつかれると、お米に黒い点がつく「斑点米」になってしまう。
乳熟期になってから、あぜの草を刈ってはいけない。あぜにいたカメムシが、田んぼの稲のほうに逃げてしまう。乳熟期を迎えるお盆の頃は草刈りをしてはいけない。その前に刈っておくのが大事。収穫後も、越冬成虫を駆除するため、草は刈っておく方がいい。

▼「カマは1日3回、人に向かう」
親戚の鍛冶屋のばあちゃんがよく「カマは1日3回、人に向かう」と言っていた。ばあちゃんは、昔カマを持って歩いていたところ、転んで手首の動脈を切ったことがあったそうだ。
刃物に慣れると油断が生じる。カマといえども刃物。取り扱いには十分に注意する必要がある。

▼栃窪の昔と今
昔はどこの家も牛や馬が家族として同居していた。牛や馬が踏んだワラや糞、残飯などを1年積んでおき堆肥を作っていた。堆肥は崩すととてもあたたかく、カブトムシの幼虫がザルいっぱいに見つかった。

春、まだ雪のある3月25日頃に、田んぼの雪を掘って堆肥を入れる。一人前になった人がやる仕事で、堆肥をソリに載せて運ぶ。「すっぺ」という、ワラで編んだ靴をはき、中にスギの葉っぱと唐辛子を入れた。初めは痛いがそのうちに慣れてポカポカした。
春の陽射しは紫外線が強く、角膜や結膜が炎症を起こす「雪眼(ゆきめ)」になることがあった。

牛や馬のエサは、あぜの草だった。冬用の草は、雪のないうちに刈り取って干しておいた。ススキやヨシ、オギなどのカヤ類を干し草にした。牛や馬はクズが好物だった。
草を2束刈り、馬や牛のクラにつけて運ぶ「朝草刈り」という、茶前仕事があった。茶前仕事は朝ご飯を食べる前の仕事で、このときに食べるのが「あんぼ」だった。あんぼは「茶の子」とも呼ばれる郷土食で、未熟米を挽いて粉にしたものを使って作る。米を減らさないようにするための工夫だ。
1日仕事には「メンパ」という弁当箱にぎっしりご飯を詰めて出かけた。昔はひとりあたり年間2俵くらいの米を食べていたものだが、今は1俵くらいだろう。

栃窪には、共同の作業所に発動機で動く精米機があり、それで精米していた。家の入ったところすぐが作業場になっていて、稲上げは家の中でやっていた。
不自由の多い暮らしであったが、常に助け合っていた。当時の暮らしを続けていれば、温暖化ということはなかっただろう。

様々な仕事をしたもので、田畑の仕事のほかに、家畜の世話、養蚕業をやっていた。
どこの家でも赤い卵を産むニワトリが10羽くらいいた。春にひよこを買って来て、冬になると潰して食べた。今は飼ってもすぐイタチにとられると思う。
養蚕業は現金収入の手段だった。多くて年に4回飼う家があった。養蚕では桑の葉が必要なので、桑畑がたくさんあった。里山といえば、桑畑だった。

今、カモシカやイノシシの獸害が増えている。昔は獣との棲み分けがもっとはっきりしていた。
先日も近くの沢で、ヤギの子くらいの大きさのカモシカが死んでいた。昨年は畑でカモシカが歩いた跡を見た。カモシカは走り回るくらいで、被害もそれほどには至らない。イノシシは問題で、ヤマイモを盗られたりした。昔はイノシシはいなかったが、最近増えてきている。イノシシは雪の中でも過ごせるようだ。

林の下刈りをしなくなったので、日光が入らない暗い林ばかりになった。大雪の時に倒れた大木はそのままで、「自然」に戻っていっている。畑も、林と同じような状態だ。

(09年第3回報告)1反以上の草取りを完了

親子連れなど7人が、2009年6月13-14日に、南魚沼市栃窪地区で地元のみなさんと田んぼの草取りを学びました。(09年の第2回は田んぼの状態により中止しました)

 

地元のみなさんも加わった10数人が一斉に田んぼの中で草取りを展開しました。
地元のみなさんも加わった10数人が一斉に田んぼの中で草取りを展開しました。

2009年度の休日農業講座「田んぼのイロハ」の第3回講座が、6月13-14日に開かれました。
参加したのは、首都圏の学生や社会人、親子連れなど7人。

初日は、地元の笛木健作さんを講師に、地域散策と座学を実施。住宅脇の斜面から出てくるわき水が、小さな水路を通って集ってため池に流れ込み、そこからパイプラインを通じて棚田に順番に配られていく、田んぼの水の仕組みを実際に歩きながら学びました。

座学では、イネが雑草や害虫とどのように競合しながら育っていくかを聞きました。

草取りに使われる「除草機」を押す、田んぼのイロハの参加者のみなさん。
草取りに使われる「除草機」を押す、田んぼのイロハの参加者のみなさん。

2日目の14日は、霧雨の中での草取りに挑戦。午前9時ごろに田んぼに入って、手押し車で雑草を田んぼの泥にすき込む方法を学んだり、両方の手のひらを広げてくまでのようにして草をかき集めたりする方法を実際に体験しました。

1回目のイロハ講座で苗を手植えした田んぼは、苗がまっすぐに植わっておらず、手押し車がうまく進まないところがあります。植わったイネを押し倒したりしながら、悪戦苦闘と続けました。両手を使った除草も腰が痛くなる重労働です。

除草剤を投げ込めば、細かな雑草の発芽を抑えられるのですが、完全無農薬栽培を目指すイロハ田んぼでは、雑草は次々と芽を出しています。参加者は「これは本当に大変な作業」といいつつ、霧に包まれた棚田の幻想的な光景の中で作業を続けました。

優勝作品は、妻への「プレゼント」

地元各種団体の長らによる特別審査員と、一般観覧者による投票の二つを組み合わせて、各種の賞が贈られました。

 

第2位となった『木になる「な」』。上下2つの斜面を使って、大きな木を描き出した。
第2位となった『木になる「な」』。上下2つの斜面を使って、大きな木を描き出した。

午前8時の開会式の後、午後2時まで制作が行われ、続いて特別審査員12人による審査が行われました。
同時に、一般参観者には、全作品を見た上で上位3作品を投票する一般審査も行われました。

両者の合計点で、優勝、準優勝、第3位の選出が行われ、特別賞はそれぞれの賞の授与者によって選出されました。
【優勝】
チーム街道(笛木幸治・笛木柚花)
作品名「プレゼント」

【準優勝】
チーム前田方(笛木俊児、笛木三郎)
作品名「木になる『な』」

【第3位】
日熊良一
作品名「峠の熊」

【千絋賞】
増子正弘
作品名「牛さん」

【すし道楽賞】
笛木真一
作品名「ヤッホー」

【ホテルグリーンプラザ上越賞】
笛木久稔
作品名「祝百寿」

【上越国際スキー場賞】
米山豊
作品名「ぱのらまトンボ」

【朝日新聞社賞】
桑原正文
作品名「おらっちのたっぽはウナギの寝床てだがはは」

約2キロ四方の斜面に散らばる作品を走り回って審査した特別審査員のみなさん。
約2キロ四方の斜面に散らばる作品を走り回って審査した特別審査員のみなさん。

田んぼのイロハ第2回が行われました!

2008年の田んぼのイロハ第2回が行われました。今回のテーマは「草取り」。
2週間前に田植えをしたばかりの田んぼに、さっそく小さな雑草が生えはじめていた。両手で土の表面をなでるようにしながら雑草をとり、まとめて地中に押し込んでいく。同時に田の土をかきまわし、イネの生長を妨げる地中のガスも抜いてやる。
栃窪に住むベテラン農家の男性は、あちこちで鳴くカエルの声を聞きながら、「ほら、みんなが世話してやっから田んぼが嬉しいって鳴いてんだ」と微笑んだ。そうかもしれない。参加者のひとりは「一見地味な作業ですが、育っている途中の稲に関われるのは、子育てしているような気分になりました」とコメントを残した。
2008年6月7日から8日にかけて、休日農業講座「田んぼのイロハ」第2回が、新潟県南魚沼郡にある栃窪集落で行われました。今回のテーマは「草取り」。東京や埼玉からかけつけた大学生や、4歳のお子さんを含む家族連れなど集落外からの参加者に加え、栃窪集落内からも大勢の方が集い、合わせて20名以上の参加がありました。

1日目、栃窪地区の区長である笛木健作さんにガイドをしていただき、まずは集落散策へ出かけます。天気は曇りでしたが、棚田のバックに雲が漂う空景色もまた美しいものでした。参加者は1時間ほどかけて栃窪の風景や暮らしの様子を見て歩きました。

集落散策の途中では参加者全員がワラビの収穫を体験。地元の民泊でいただいたこの日の夕食には、山菜や自家製こんにゃくなど地元の食材がズラリと並び、自分で食べるものを自分で収穫できる暮らしに触れた東京の学生は「ここに来ると、人も生活も環境も、みんな違うんですよね」と語ります。

夕食後には、栃窪小学校を事例として新潟の小学校における統廃合問題を研究した西村さんが、大学院での研究成果を発表。会場となった集落センターには栃窪小学校の校長先生や、研究をサポートした地元の方々が集まり、発表を元に多様な意見が交わされました。
その後は山菜をおつまみに交流会。集落散策の様子やお互いの暮らしを語り合い、深夜になっても笑い声がたえませんでした。

5月に初めて田植え体験をした地元の小学生たち。まっすぐ植えられています。
5月に初めて田植え体験をした地元の小学生たち。まっすぐ植えられています。

2日目、いよいよ田んぼへ出かけます。今回のメインテーマである草取り作業の前に、まだ田植えをしていない田んぼで田植えを行いました。
昨年も田植えを経験しているリピーターの参加者はさすがに作業が早く、「まるで栃窪の人みたいだ」と集落の方に言わしめるほど。5月のイロハプログラムではじめての田植え体験をした地元の小学1年生も、前回に比べてずっと上手に田植えをこなしていました。

5月のイロハプログラムで田植えをした田んぼに移動すると、小さな雑草が育ち始めています。
1日目の午後に笛木健作さんを講師に迎え、参加者は座学で草取りについて学びました。雑草は、まだ根をしっかりと張らないこの時期に取っておくと今後の作業が楽なのだということ。地中の微生物の分解活動によって発生したガスを田の土をかき回して抜いてやると、イネがよく育つということ。草取りをしながら同時に手でイネの根を切ってやると、より丈夫な根が新しく生えてくること。

「くるま」と呼ばれる草を取る道具に挑戦
「くるま」と呼ばれる草を取る道具に挑戦

「田んぼのガス抜きが、プチプチとしていて本当に実感できました。座学で学んだことを実体験できると『おー、ほんとだー!』という感動があって楽しかったです」と、作業を終えた参加者のひとりは笑顔を見せます。
「お米と話ができたか?それができりゃ一人前だ」と地元の農家の方が励ましてくれました。

参加者は、農作業の合間にあぜに腰をかけてお昼ご飯を食べました。メニューは、野外で火をおこして作ったトン汁、地元で収穫されたお米で握ったおにぎり、1日目に参加者自身が収穫したワラビなど。晴天の初夏の日差しのもとイネがそよめく棚田の眺めは、食事をよりおいしく感じさせてくれたようでした。

プログラムの最後に参加者に記入してもらったアンケートには、以下のようなコメントが見られました。

「ふだん生活していた環境とかなり違う環境でのくらしをのぞけるというか、体験できるのが、私は気に入っています。違いを知ることで、自分の暮らしへの理解も深まっている気がします」
「やはり田の草取りは、米づくりの醍醐味だなと感じました」
「めちゃくちゃ気持ちいいです。サイコーです」
「前回植えた苗が2週間という期間で結構成長していて『育ててるんだな』という嬉しさがありました」

次回の田んぼのイロハは9月に実施予定。「草刈りとあぜ管理」をテーマに、またおもしろい企画が準備されています。どうぞふるってご参加ください。

http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=2&aid=564