大雪の栃窪で子どもたちが「雪国暮らし体験」を楽しみました

1月16-17日、断続的に雪が降る雪国らしい天気の中、首都圏の小学生5人が、栃窪の子どもたちやお兄さんたちと一緒に雪国の遊びと暮らしを体験しました。
1月16-17日、新潟県南魚沼市栃窪集落で小学生を対象とした「雪国暮らし体験」が行なわれました。東京、埼玉、神奈川から集まった5人が、栃窪の子どもたちと一緒に、雪遊びや村の小正月のお祭りである「さいの神」、あんぼ作りなどを体験しました。

栃窪では今年に入ってから大雪が続き、道路の両側には2メートル以上の雪の壁ができていました。プログラムを行なった2日間も断続的に雪が降る雪国らしい天気となりました。

参加者が宿泊する集落センターに到着後、まず、栃窪の子どもたちやお兄さんたちと顔を合わせ、2日間の目標やルールの確認しました。その後着替えてさっそく雪遊びに出ました。
前日の晩には50センチ以上の雪が降っていたため、冬は誰も通らない小学校の校庭はふかふかの雪のプールのようになっていました。子どもたちは「これ校庭?」とびっくり。栃窪のこと、雪のことをよく知っている地元のお兄さんたちに、雪の危ないところや雪での遊び方を教わりながら、全身雪まみれになりながら体いっぱい遊びました。

正月飾りを集めて回っている様子。子どもたちが持っているビニル袋の中には、しめ縄やお札などがたくさん。
正月飾りを集めて回っている様子。子どもたちが持っているビニル袋の中には、しめ縄やお札などがたくさん。

午後は「さいの神」の準備です。「さいの神」は、「どんどやき」とも呼ばれる、正月飾りなどを燃やして「無病息災」「五穀豊穣」を祈る昔から続くお祭りです。今回は「さいの神」で燃やす正月飾り集めを、地元の子どもたちに交ぜてもらい参加しました。みんなで分担して栃窪全世帯の約60軒のお宅を回りました。玄関先で子どもたちが「飾りを集めに来ました」と声をかけると、家の人は「ありがとう」と言って、大きなしめ縄やだるま、お札などを出してきてくれました。はじめは恐る恐る声をかけていた子どもたちも、最後は大きな声を出していました。
飾りを集めた後は、栃窪の子どもたちと一緒に3,4人のチームに別れてかまくらを作りました。トンネルのようなものや、中にイスがついているものなど思い思いのかまくらができました。
飾り集めやかまくら作りなどを一緒に行い、参加者と栃窪の子どもたちはしだいに仲良くなっていきました。
夕食後、「さいの神」のお祭りに参加させてもらいました。ワラを積み上げて出来た塔には、昼間みんなが集めて来た飾りがつけられていました。ワラにつけた火でお餅やスルメを焼いて食べ、1年の健康を祈りました。

2日目の午前中は、地元のお母さん3人に教えてもらい「あんぼ作り」を体験しました。あんぼは、戦時中や戦後など良いお米が家では食べられなかった頃に、未熟米を粉にした「いるご」を使って作っていた昔ながらの食べものです。こねるのはなかなか力のいる作業でしたが、低学年も一生懸命にやっていました。自分たちで作ったあんぼは昼食に豚汁と一緒に食べました。中には大根菜がたっぷり入っています。野菜が嫌いという子も「おいしい」とパクパク食べていました。

2日目午後は消防小屋のまわりや消火栓の雪かきをしました。スノーダンプを持つ姿もなかなかさまになっていました。
2日目午後は消防小屋のまわりや消火栓の雪かきをしました。スノーダンプを持つ姿もなかなかさまになっていました。

午後は、雪かき作業と雪遊びの後、まとめのふりかえりと片づけをしてプログラムが終わりました。
ずっと雪が降り続いた2日間。長靴や服が濡れて寒い思いもたくさんしましたが、子どもたちからは笑顔がはちきれていました。

今回のプログラムは、地元の高校生から20代の若者たちが中心となり企画・運営し、エコプラスが協力して実施しました。
【参加者の感想】
・みんなで仲良く楽しく雪あそびをしたことが良かった
・かまくらを作ってこわしたことが楽しかった
・東京と違って雪がいっぱいあるからびっくりした
・栃窪の人たちは、近所の人同士、とても仲が良いと思った

Once you live in a bitter winter, it grows on you. Village eating & living FINAL workshop “Winter Preservative Food

Participants experienced village life and wealth of its heart with smile of local mothers who told us life in the bitter winter.
On January 16th, 2010, Winter preservative food workshop was held in Tochikubo, Minamiuonuma-city, Nigata. 11 people from Tokyo, Nagano, and Minami-uonuma including a German family participated in the workshop. They learned and experienced winter preservative food taught by local mothers, FUEKI Imiko, FUEKI Kiyoko, and KUWABARA Ayako.

Local mothers are Introducing ingredients of preservative food.
Local mothers are Introducing ingredients of preservative food.

After self-introduction, local mothers explained Tochikubo winter life in the past when they married. There were no roads for cars, and winter was their bitter memory. As it was not easy to go shopping food, they preserved wild vegetables and crops from the field by drying and soaking in salt until Spring.

Today, although they drive and go shopping in winter, local mothers use preservative wild vegetables and crops. Participants were surprised at the variety of preservative foods and their colors.

Participants are trying a dry-preservative technique by weaving straw and hanging vegetables.
Participants are trying a dry-preservative technique by weaving straw and hanging vegetables.

In the afternoon, participants visited FUEKI Kiyoko’s house, see vegetables and pickles preserved and stored in her garage, and learned the drying technique with straw of preservative vegetables. Participants asked questions such as cooking methods and tips for wild vegetables. Local mothers pointed that nice air and comfortable community relationship are the good parts of Tochikubo living. “Though they though they came to a sever place for few years after their marriage, once you live in a place, it grows on you. They think Tochikubo is a nice place now.” they mentioned.

Participants enjoyed lunch using preservative food. Even people from near by town and village said there are not many chances to have this variety of wild vegetables and they wish to have a shop providing such preservative foods.

Participants commented in their feedback as follows.
*I often throw out foods. But, I would like to use preservative foods based on what I learned today.
*Smile of local mothers was very impressive.
*I felt that Tochikubo has rich community relationship although they do not have many things.

Due to heavy snow, the local train was not running and the workshop began 40 minute late. But, mothers laughed and said that participants have experienced real Tochikubo life!

厳しい冬も『住めば都』やまざとの食と暮らし講座最終回「冬の保存食講座」

厳しい冬の思い出を笑って話してくれたお母さん方の明るい笑顔。山里の暮らしの心の豊かさに触れました。
2010年1月16日、「冬の保存食講座」を新潟県南魚沼市栃窪集落で行いました。ドイツ人の一家を含む東京、長野、南魚沼市周辺からの11名が参加し、地元の笛木イミ子さん、笛木清子さん、桑原アヤ子さんを講師に栃窪の冬の食について学び、体験しました。

保存食材を紹介している様子。
保存食材を紹介している様子。

自己紹介の後、まず笛木さんたちが嫁いで来た頃の栃窪の冬の暮らしについて聞きました。簡単に車で行き来できる道はなく、当時の厳しい冬の思い出が語られました。食料品の買い出しにも簡単には行くことができなかったため、春から秋にかけて採集した山菜や畑で収穫したものを、干したり塩漬けにしたりして保存し、春まで過ごしたそうです。
今は自動車に乗り冬でも買い物に出かけることができますが、笛木さんたちは今でも山菜や野菜を保存し食材として利用しています。保存しているものを実際に見せてもらった参加者は、その種類の豊富さや色の鮮やかさに驚いている様子でした。

野菜をワラで編み込み、つるして干す保存方法を体験。
野菜をワラで編み込み、つるして干す保存方法を体験。

午後には、笛木清子さんのお宅を訪ね、車庫に保存してある野菜や漬けものを見せてもらったり、野菜をワラでつるして干す保存方法を教わったりしました。その後の質疑応答では、山菜の調理に関する具体的な方法やコツなどの質問がありました。「栃窪に住んでいて良かったことは」という質問があり、笛木さんたちは「空気がいい」「人付き合いが気楽」などと答えました。また、「嫁いでから数年は大変なところに来てしまったと思っていたが『住めば都』。今はいいところだと思う」と笑って話してくれました。

見せてもらった保存食材を使用した昼食は大好評で、近隣の町村からの参加者も「一度にこれだけの山菜料理を食べられる機会はない」「お店を出してほしい」と絶賛していました。

参加者のふり返りコメントでは、「これまでは食材を捨ててしまうことが多かったが、今日教わったことを活かして保存食を利用したい」「笛木さんたちの笑顔が印象的だった」「栃窪はものが少ない分人のつながりがあり豊かであると感じた」などの感想が聞かれました。

このところ続いている雪で在来線の運行は見合わせ、プログラムの開始は40分ほど遅れてしまいましたが、笛木さんたちは「雪がたくさんあって栃窪らしいところを見てもらえた」と笑い飛ばしていました。

「やまざとの食と暮らし講座」は今回で予定していた4回の講座を終えました。「山菜は暮らしそのもの」「住めば都」という集落の人の言葉から、栃窪という山里の「食と暮らし」には、自然に親しみ暮らしを楽しむ知恵がたくさんつまっているということをあらためて学びました。

南魚沼での取り組みに農林水産省から表彰

20100115</報告日時>
<要約>
エコプラスが新潟県南魚沼市で運営する「TAPPO 南魚沼やまとくらしの学校」の活動が、農林水産省の田園自然再生活動コンクールで、「パートナーシップ賞」に選ばれました。
NPO法人エコプラスが、南魚沼で地域の集落のみなさんと展開する「TAPPO南魚沼やまとくらしの学校」が、農林水産省の田園自然再生活動コンクールで「パートナーシップ賞」に選ばれ、1月15日に名古屋市で表彰式が行われた。

表彰式に出席した赤松農林水産大臣と一緒に、記念撮影する南魚沼市栃窪・清水集落の代表者とエコプラスの田中さん。
表彰式に出席した赤松農林水産大臣と一緒に、記念撮影する南魚沼市栃窪・清水集落の代表者とエコプラスの田中さん。

表彰式には、TAPPOの主な活動場所となっている栃窪と清水の両集落の代表のみなさんも参加。赤松農林水産大臣も出席する中、約300人の関係者が見守る会場で、運営委員でもある栃窪集落の日熊良一さんが代表して賞状を受け取った。

日本の中山間地に残る、環境と調和した暮らしを支える知恵と技を持続可能な社会づくりに活かそうと、エコプラスが取り組んできた活動が評価され、特に、今回は、「NPO法人と集落内組織(自治会、農業生産法人、PTA等)の連携した取組が優れている」とされた。

表彰式と同時に行われた田園自然再生セミナーのシンポジウムで会場に紹介される栃窪・清水集落のみなさん。
表彰式と同時に行われた田園自然再生セミナーのシンポジウムで会場に紹介される栃窪・清水集落のみなさん。

エコプラスの高野孝子代表理事は、「TAPPO設立以前の90年代から取り組んできた栃窪や清水のみなさんとの協働作業が国レベルで評価されたことに意味がある。日本の地域社会には、未来への重要なヒントがたくさんある。その価値を地域の皆さんと探し、磨き上げる作業を今後も続けたい」と話している。

雪国らしさ

雪のかべ、つらら・・・雪国らしくなりました。

雪のかべで仕切られているかのような、曲がり角から見た景色。
雪のかべで仕切られているかのような、曲がり角から見た景色。

集落センター周辺の雪のかべは、高さが180センチを超えました。曲がり角に立つと、道路が雪で仕切られた迷路のようにも見えてきます。
今日事務所に顔を出してくださった集落の方に言わせると「まだ特別に多くはない」とのこと。まだまだ冬はこれからです。

アケビのつる。秋のうす紫色の実に代わり、今はつららが下がっています。
アケビのつる。秋のうす紫色の実に代わり、今はつららが下がっています。

とある家では、屋根や外壁づたいにのびているアケビのつるから、いくつもつららが下がっていました。
いつ頃からかはよくわかりませんが、積もった雪が自然に落ちる、雪下ろしをしなくてもいい屋根が増えています。そういう屋根は、つららが下がっても、すぐに積もった雪と一緒に地面に落ちてしまい、大きくなりません。そのせいか、大きなつららが下がっていると少しわくわくします。

2010年の始まり

新しい年が始まりました。

2010年がスタートしました。

集落センターの入り口の、小さなしめ縄。
集落センターの入り口の、小さなしめ縄。

栃窪集落では、毎年12月30日に集落センターでしめ縄づくりを行い、神社に納め、新しい年を迎えます。今年も村の人たち手づくりの新しいしめ縄が神社に納められました。集落センターの入り口にも、小さなしめ縄が飾られています。

現在積雪は150センチから160センチほどあり、今日もどんどん積もっています。
3日に、集落でお借りしている家の屋根の雪を下ろしましたが、積もったばかりの雪はふわふわしてスコップにのせることが難しく、下の雪はシャリシャリした氷の粒で硬かったです。

背景の雪の壁と色が一緒でわかりにくいと思いますが、屋根の上です。
背景の雪の壁と色が一緒でわかりにくいと思いますが、屋根の上です。

このたくさんの雪が、春にはとけて地下にしみ込み、田んぼに流れてお米を育ててくれます。除雪は大変でも雪に感謝して、お米がたくさん穫れることを祈りたいと思います。

しめ縄づくり

栃窪集落では12月30日の夜にしめ縄作りが行なわれました。
栃窪集落では12月30日の夜にしめ縄作りが行なわれました。集落センターには30代から70代までの20人ほどが集まり、2時間ほどで全長4メートル、太さ30センチほどあるしめ縄が完成しました。作られたしめ縄は、リュウの胴体とゾウの頭がかたどられているそうです。

太さ10センチ、長さ4メートルの縄を作っているところ。ワラの束を、叩いてキレイしたワラで締め上げていきます。
太さ10センチ、長さ4メートルの縄を作っているところ。ワラの束を、叩いてキレイしたワラで締め上げていきます。

しめ縄は、まず太さが10センチほどの縄を4メートル2本、5メートル1本作った後、この3本の縄をない最後に結んで完成します。最後の結びがゾウの頭となります。

縄の結び方は複雑で、「最近は年に1度しか作らなくなったので分からなくなってしまう」と、何人かのお年寄りが話し合いながら作られていきました。
昔,戦時中はお正月だけでなく、出兵する人たちの無事の帰還を祈って毎晩のように作っていたそうです。

3本の大きな縄をなっているところ。何人もの人が必要です。
3本の大きな縄をなっているところ。何人もの人が必要です。