田植えから10週間目となりました。
7月26日の午後、イロハ田んぼでは水のまわりやはけを良くするために溝きりが行われました。乗車型の溝きり機を使って、縦10列置きに溝が掘られました。
イネは90㎝ほどの丈になり、茎の中を開くと、透き通ったモミが176個できていました。モミの中には小さな雄しべが6つできているのを確認できました。穂が出るのも間近のようです。
首都圏からの社会人や学生に加え、地元南魚沼や新潟市内からの参加者計10名が、専門家や地元の人たちと一緒に生物多様性の保全活動を行いました。
今年2回目となるいきもの復活大作戦が、7月23-24日に新潟県南魚沼市清水で行われました。今回は草刈りや木道作りなどの作業だけでなく、専門家と一緒に調査をしたり、地元の人から柴木造りを教わったりしました。
今回は、プロジェクトアドバイザーの(財)日本自然保護協会常勤理事の横山隆一さんと新潟県立小出高等学校教諭の深沢和基さんが2日間一緒に活動してくれました。専門家の鋭い視点や生きものに関する深い知識に触れ、参加者や地元の人たちがたくさんの学びや気付きを得る機会となりました。
初日の午後は、「西谷後」という保全地域の調査と草刈りを行いました。調査の中で、初めてシャチホコガの幼虫が見つかりました。体を反り返し、成虫さながらに発達した細長い足を広げる珍しい姿に、皆が驚いていました。草刈りでは、人間の身長を優に超すほどに背の高いアシや1mほどまで伸びたススキなどを刈りました。来た時にはうっそうと茂っていた草も、見違えるほどにきれいに刈られ、歩きやすい保全地域となりました。
夕食後の交流会では、地元の人の地域活性化に対する情熱に触れる機会がありました。参加者からは「どんな思いでプロジェクトに関わってくれているのかが分かり、心に響いた」「町を変えていきたい!という思いが聞けて良かった」という声があがりました。
2日目は、朝6時から集落散策に出かけました。電線の上に止まって鳴き続けるホオジロや羽化したばかりのエゾゼミ、スギの木のてっぺんにとまったアオサギ、民宿付近のガマ畑などさまざまな生きものを見つけ、観察しました。
2日目の調査と作業は、「大明神」というエリアで行われました。サンショウウオの幼生や、水を飲みに集まるミヤマカラスアゲハ、ハッチョウトンボなどが確認できました。照りつける太陽の下、周りでオニヤンマ、ルリボシヤンマ、シオカラトンボ、アキアカネなどたくさんのトンボが飛び交う中、草刈りや木道作りの作業を進めました。
今回の活動を通して、参加者からは、「すべてにちゃんと名前があり、ただの『カエル』はいないことが分かった」や「今までは食料にならない物には興味がなかったが、色々な生きものを見て2日間楽しめた」など、興味の幅が広がったという声や、「また来たい」「活性化を手伝いたい」などの清水を今後も応援していきたいという声が聞かれました。
次回の活動は、9月23−24日の秋の巻です!
*このプロジェクトは2011年度経団連自然保護基金支援事業です。
新潟県南魚沼市栃窪集落で、7月17日に第4回棚田草刈りアート日本選手権大会が開かれ、地元栃窪集落の若者たちで作る「チーム自販機」が優勝しました。
2011年7月17日に、恒例となった棚田草刈りアート日本選手権大会の第4回大会が開かれました。
アーティストとして参加したのは、26組60人余。集落内はむろん、北海道教育大学の学生片桐祥子さんや、東京のデザイナー宮部浩司さん、長岡造形大学の学生19人、地元南魚沼市役所の職員チームなど、多様な顔ぶれでした。
朝8時からの開会式に続いて、各地で一斉に草刈り機が始動。地元代表者らからなる審査員と、一般観覧者のうちすべての作品を見たギャラリー審査員の得点合計で、優勝には地元若者による「チーム自販機」が選ばれました。
19歳から24歳までの男子メンバー4人からなる自販機は、東日本大震災を念頭に、世界地図を中央に置いて「命の絆、心を1つに」と描き上げました。
昨年度は、参加最長老が優勝したのと対照的に、再若手が優勝するという画期的な結果でした。
2位になったチーム同級生の作品「手からあふれる自然」は、背景となった栃窪の山々を、まるで仏様が慈しむかのような優しい手の形を描き、「借景」を活かしたとも言える立体感のあるアートとなりました。
作品はお盆のころまで鑑賞していただけます。
今年度からはフォトコンテストも実施しています。
草刈りアート」をテーマとし、 栃窪集落一帯で写された作品なら何でもかまいません。ご応募下さい。
【応募規程】
・応募作品はモノクロ、カラーいずれも、六つ切プ リントとします。1 人 5 点まで。
・応募いただいた写真などは返却いたしません。
・提出先 「TAPPO 南魚沼やまとくら しの学校」(025-782-5103)
2011年7月9−10日、首都圏在住の5人が参加し、新潟県南魚沼市栃窪集落で休日農業講座「田んぼのイロハ」草刈り編が開催されました。
7月9−10日、「田んぼのイロハ」草刈り編が行われ、無農薬・有機栽培の田んぼやあぜなどの整備をしました。参加者は首都圏からの社会人や家族連れなど5人。うち4人が今年度2度目の参加でした。2日間の活動は、自分でカマを研ぎ、あぜで草刈り、さらに田んぼの草取りや、ホタル鑑賞、村の夏祭り参加など盛りだくさんでした。
初日は雨が予想されたため、最初に草刈り作業を行いました。作業には地元の桑原一男さんらが講師として加わり、カマの研ぎ方や草の刈り方などを教えてくれました。参加者は最初にカマを研いでから、上下3メートル以上、奥行き約60メートルのあぜに挑戦しました。雑草は、背の高いものでは大人の腰ほどもありました。地元の桑原信子さんが無駄なくスムーズにカマを使う姿に、一同は目を丸くしていました。刈り始めて2,30分もすると「そろそろ研いだ方がいい」とアドバイスがあり、カマを研ぎ直すと、その切れ味の違いに、みんな驚いていました。
作業には地元の小学生たちも参加し、刈り取った草を抱えて田んぼの脇の一角に運んでくれました。縦90センチ、横180センチの木枠に積み上げてたい肥にします。
座学では、「とちくぼパノラマ農産」社長の笛木晶さんが、昔の村の暮らしの話を交えつつ、草刈りや草取りなどの田んぼのメンテナンスの大切さについて教えてくれました。
夕食後のホタル鑑賞では、田んぼの間を流れる小川沿いに何十匹ものホタルが舞い飛ぶ幻想的な光景を見ることができました。
2日目朝は、村の夏祭りの見学。神主が祝詞をよみ、高い階段の奥にある本殿の扉を開ける様子などを見ました。参加者からは「お祭りに村の歴史と暮らしが今も折り重なっている」という声が上がりました。
その後、再び田んぼで草取りを行いました。50センチ前後に育った稲の根元には、緑色のコナギなどがびっしり。高さ30センチを超え、立派に白い花を咲かせていたオモダカもあり、一つ一つを抜き取っていきました。
照りつける太陽の下、8名で約3時間の作業をした結果、1反3畝のうち4割ほどの草取りを終えられました。
最後のふりかえりでは、「ホタルが去年よりも増えていた」「作業の中で、だんだんと上手に覚えていくものだと感じた。収穫が楽しみです」「カマを使った草刈りや手作業での草取りは、自分の田舎でもできない。何十年ぶりかの貴重な体験ができました」などのコメントがありました。
自然の中で体を動かし、お祭りや手作業での田んぼの仕事など、日本古くから伝わる文化を体験した1泊2日となりました。
次回の「田んぼのイロハ」は稲刈り編です。10月1−2日に行われる予定です。