「どういう場所で、どう生きるべきか」・・国際シンポジウム無事に終わりました

最後にみんなで壇上に

21日、22日と続いた国際シンポジウムを無事に終えました。21日は100人近く、22日も約60人に来ていただきました。

特別ゲストのブロンウィン・ヘイワードさんの、子どもと民主主義と教育の基調講演は、政治の角度から、私たちの生き方を問う、穏やかでかつ刺激的な内容でした。

ブロンウィン・ヘイワードさんの基調講演

「Practice Democracy Everyday(毎日が民主主義)」「Make Decision Everyday(毎日の暮らし一つひとつを自分で選ぶ)」という言葉は、日々、自分が、仲間たちと一緒に社会を作って行こうという強いメッセージでした。

カール・ベンクスさんは、「よみがえる古民家」という講演で、浮世絵などに強い関心を持っていた父親の影響で柔道や空手を始め、来日した後は、映画若大将シリーズで、 加山雄三の相手役として柔道で投げられる役をしたエピソードで会場を驚かせました。

カール・ベンクスさんの基調講演

日本の古民家で使われている木を組み合わせる技巧など、日本の木造建築の持つ素晴らしさを強調し、古民家を次々に壊して、工場で出来た安価な住宅に置き換えているのは、「宝石を砂利に置き換えているようなものだ」と、日本という場が育んだ文化が、グローバリゼーションの経済合理性の中で一気に消えようとしていることを嘆きました。

写真家の桃井和馬さんは、インド北東部のラダックを題材に、いかに伝統文化がグローバル化の中で、崩れていくか。残る文化と残らない文化について、美しい写真とともに語りました。

21日の午後の後半からは分科会、22日は、壇上と会場全体での討論が展開されました。昼食には、参加者の一人が地域おこしとして開発しているみかんの皮の天然酵母を使ったパンと、地元のジビエであるイノシシを使ったリエットのサンドイッチを提供。このサンドイッチを囲んで、ランチミーティングが開かれ、それぞれが、地域とグローバリゼーションについて意見を交わしました。

おりしも、米国では「Make America Great Again」のトランプ大統領が就任。英国のEU離脱、各国での保護主義への回帰などの中で、いかに世界のほかの人々とつながりつつ、身近なコミュニティの中での学びを深めていくかの議論が続きました。子育て、地域おこし、環境教育、持続可能性教育、野外教育、国際化などの様々な分野の人々が集まり、「豊かさとは何か」「どういう場所で、どう生きるべきか」などを真剣に考えた2日間でした。

これから詳細な報告を作成します。

来場いただいたみなさま、ご支援、ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

毎日の暮らしにある「民主主義」

南魚沼市で校長、市会議員、町づくり関係者らを相手に話すヘイワードさん

国際シンポジウムのために日本を訪れているニュージーランドの政治学者ブロンウィン・ヘイワードさんが、2017年1月19日、新潟県南魚沼市で、教育や行政、地域おこし関係者約40人を前に、「グローバリゼーションと地域」を講演し、意見を交わしました。

ヘイワードさんは、2011年にニュージーランドのクライストチャーチを襲い死者185人を出した震災をきっかけに、大学生たちがボランティアとして復旧活動に精力的に立ち向かったことなどを題材に、「民主主義とは、何年かに1回の投票をしたらそれで終わるのではなく、毎日の暮らしをよりよくするために、日々仲間と対話し行動していくことが大切。毎日がデモクラシー」と強調しました。

ヘイワードさんは、地震や洪水などの自然災害が相次ぐニュージーランドと日本の類似性を指摘。また多くの地方で、過疎化が急速に進んで、さらに高齢化も進んでいるのも共通点だと指摘しました。ニュージーランドでは、若者の投票率の低下が示され、自分たちはだれからも相手にされていないという不満と怒りが渦巻いていると話しました。

大学生たちによる地震の後の片づけ作業

この孤立感を深めていた若者たちが、クライストチャーチの地震をきっかけに、最初は大学生たち約100人がボランティアとしてがれきの撤去などに加わり、その輪は24,000人にも広がって、学生ボランティア行動隊(Student Volunteer Army)と名乗る組織にまで発展し、撤去だけでなく高齢者の支援活動などに乗り出したそうです。

一方で行政当局は、この学生を始めとする市民の声を聞くことなく、見た目の復興を進め、市民らとの間にギャップが生まれたといいます。

ヘイワードさんは、この若者たちの参画のプロセスにこそ民主主義があり、グローバル化が進む中での若者を市民になる支援策があるのだと強調しました。

ヘイワードさんは、クライストチャーチのカンタベリー大学で政治・国際関係論の学部長を務めています、南西に隣接するアッシュバートン市は南魚沼市の姉妹都市となっていて、ともに農業を中心とする過疎地でもあります。ヘイワードさんは、姉妹都市の関係を活かした人的交流、南魚沼特有の雪やコシヒカリを題材としたインターンプログラムの設定、学校同士、シニア大学同士のオンライン交流など、具体的な可能性を次々に提案。最終的には一人ひとりの人間同士の関係が、グローバリゼーションの中での持続可能な社会につながるのではないかと締めくくりました。

絶え間ない意見交換が続きました

この話を受けて、会場では活発なグループ討議が展開され、「地域を知ることの重要性」「違いを認める力」「若い世代の居場所づくり」「子どもと若者が活躍する場作り」などが議論されました。

民主主義とは、お堅い制度上のものではなく、日々の暮らしを良くする一つ一つの対話そのもの。自分たちの足元を見直し、巨大なグローバル経済と危機的な気候変動などの環境問題を視野に入れて、一つ一つの歩みを進めるのだ、という説明は、とても自然で理解しやすいお話でした。

ヘイワードさんらが加わる国際シンポジウムは、1月21日、22日に東京の立教大学と早稲田大学で連続して開かれます。

高野孝子の地球日記・エジンバラのクリスマスに

リボンがかかった塗装の2階建てバス

2016年12月後半、クリスマスを前にして、スコットランドの首都エジンバラの街はどんどん静かになっていくようだった。人々は仕事にめどをつけ、実家に戻ったり、休暇で海外に行ったりしているようだった。

街に派手な飾りはない。二階建てバスが、リボンで飾られたような模様に塗られていたり、目抜通りの建物が金や赤の飾りをつけていたりするくらいだ。

エジンバラに暮らす友人たちと久しぶりに再会した。たわいのない近況話に花が咲く。しかし同時に、英国がEUから離脱することや、アメリカの新しい大統領のことも話に入ってくる。

「まったくしょうがない。でも決まったんだから、これからを考えないとな」。

押し引きが続く英国とEUの様子は連日報道されていた。フランスやイタリア、ドイツ、そして増え続ける難民やシリア情勢。ただの話題としてでなく、実際に難民をサポートする団体に寄付をしたり、アレッポの状況を私に教えてくれたり、英国では、世界情勢を自分ごととしている人たちに多く会った。特別な人たちではない。家の修繕を頼んだ大工さんも難民の話をしていた。

彼らの会話のグローバルな幅に、こちらの知識がついていかない。日本のグローバル化は経済や商品で顕著だが、人の移動や仕事はまだヨーロッパほどではない。日本でグローバル化が進むときは、政治や人の意識まで変わるのだろうか。様々な国際的な事象を自分ごとに、と。

2004年に東ヨーロッパ諸国がEUに加盟したさい、英国にはたくさんの移民が働きに入ってきた。特にポーランドからの流入が多く、多くの友人たちが自虐的に冗談を言っていたのを覚えている。それでも、2015年に海岸に打ち寄せられたシリア難民の子どもの写真をきっかけに、英国で難民を受け入れるべきだという市民の声が高まった。難民支援のデモが行われ、チャリティ団体が物資を送る運動を始めた。ドイツからのプレッシャーもあって、英国政府は、そのあと数年間で2万人のシリア難民を受け入れると発表した。

日本は「移民を受け入れない」政策を堅持している。法務省のサイトによると、昨年の難民認定申請者数は7586人で過去最多だったという。一方認定者数は27人で、前年より16人増加。うち、シリア人は3名。

この政策を変えるだけの意識を日本人は持てるだろうか。いや、そもそも、国民がどんな意識を持っていようと、何を訴えようと、現政権にはまったく通用しないことがわかっているから、問題意識すら持つのがばからしい。考えない国民、それが彼らのねらいなのか。

ミサが行われた後の、セントメリー教会。

12月25日、クリスマスの朝。英国国教会派のSt Mary’s大聖堂を徒歩で目指した。この日は、バスはほぼ動かず、電車も止まっていて駅の門には鍵がかかっている。50分ほど早足で歩き、150年ほど前に建立が始まった大きな建物に到着し、10時からのミサに間に合った。

賛美歌と説教が繰り返される。途中、全員が立ち上がり、隣や前後に座っている人たちと握手し、”May peace be with you(平和があなたと共にありますように)”と微笑みあった。大人も子どもも。私も声をかけられて、少し戸惑った。

「平和があなたと共にありますように」。心の中で繰り返した。あなたの平和を祈るのだ。私が幸せでありますように、ではなく。

セントメリー教会の入り口

教会を出ると、少し離れた左手に物乞いが座り、すぐ右手に茶褐色の肌をした中年女性が「ビッグイシュー」(ホームレスの自立を支援する雑誌)を掲げて立っていた。1部買おうとしたら「私にも寄付をください」と言って、1ポンド少ないお釣を私に差し出し、にっこり笑った。

その雑誌には、失業や貧困、ドラッグなどに苦しみながらも前を向こうとする人たちの記事の中、スコットランド自治政府首相が、英国のEU離脱とシリア難民受け入れ、アメリカの大統領についてコメントする記事が載っていた。

英国社会での政治と暮らしの近さ、人々の社会的意識の高さを思った。

新潟の山里で、とことん雪遊び!3月28日から

青空から雪なげ

エコプラスは、2017年3月28日から新潟県南魚沼市清水地区で、小学生5年生から高校生までの3泊4日と、小学生1−6年生向けの2泊3日の、雪のプログラムを展開します。1月中旬、やっと新潟の山にも雪が降りました。3月末になってもきっと大量の雪が残っていることでしょう。

雪ざんまいキャンプ
斜面を尻滑り!

雪から水を作り、雪の上で火を起こし、雪のテーブルを作り、雪のトイレで、雪でお尻をふく。雪だけの世界でどのように暮らしを組み立てるのか、地元の人の知恵と技をもらいながら自分たちで生きて行く自信をつけましょう。条件がよければ、豪快な雪の斜面での尻滑りも楽しみます。

ちょっぴり難易度の高いキャンプ、チャレンジャー募集です!

【日程】 2017年3月28日から31日までの3泊4日
【場所】 新潟県南魚沼市清水集落とその周辺
【集合・解散】 現地、もしくは上越新幹線越後湯沢駅
【対象・人数】 小学5年生から中学生、高校生まで、16人
【参加費】 10,500円(28 日夜からの9食、プログラム費、装備費、保険代など)
【内容】 テント泊。雪上での火起こし、調理。雪中ハイキングと尻滑り、自然観察、雪のアート造りなど

こどもゆきぐにくらし体験
広間でみんなでお休み

新潟県の山側には、たくさん雪が降ります。清水集落は1月から2月の一番寒い時期には、4メートルもの雪が積もります。3月末でもまだまだ雪がいっぱい。雪に囲まれた暮らしを体験しましょう。昔ながらのお家にみんなで泊まり込んで、食事の準備も一緒にしながら、雪の中で遊び、自然と暮らしから学びます。

【日程】 2017年3月28日から30日までの2泊3日
【場所】 新潟県南魚沼市清水集落とその周辺
【集合・解散】 現地、もしくは上越新幹線越後湯沢駅
【対象・人数】 小学生対象、12人
【参加費】 9,000円(28 日夜からの6食、プログラム費、装備費、保険代など)
【内容】 古民家泊。自分たちでの生活。雪遊び。自然観察など

申し込み

以下の項目を記入して、送信して下さい。事務局から折り返し健康調査票などを送らせていただきます。

参加希望プログラム(必須)

International Symposium “Globalization and Local Community” on 21, 22 January

 

International Symposium, “Globalization and Local Community; Placed-Based Education for the Sustainable Future” will be held in Tokyo.

Dr. HAYWARD Bronwyn

You may send the application from here  >>>Application form

Date and Venues;

Saturday, 21 January 2017, Room 8101, Ikebukuro Campus, Rikkyo University
Sunday, 22 January 2017, International Conference Centre, Waseda University

This symposium offers an arena to discuss the topics from learning to democracy– how do we see the relationship between the expansion of globalism and the local community where people have lives, and how can we truly recognize essence from abundant information due to the digital society under which people sometimes feel as if we know everything, and how do we build up local community and society under these circumstances.

We have three keynote speakers; a political scientist from New Zealand whose research falls in children, environment and democracy under this changing world; a German architect who is working for re-birthing Japanese traditional wooden housings; and a Japanese photographer who has done many journeys including world conflicts areas.

Other participants involved in various fields are expected to attend, including “Forest Kindergarten” (a kindergarten raising children in nature), self-sufficiency life with small-scale agriculture, revitalization of the community, etc. We are looking forward to welcoming you to this event.

Special guests;

Dr. HAYWARD Bronwyn, Head of Department of Political Science and International Relations, University of Canterbury, New Zealand
Mr. BENGS Karl, architectural designer, Germany (currently living in Japan)
Mr. MOMOI Kazuma, photographer, nonfiction writer, Japan

Programme
The simultaneous translation (Jap – Eng) available for keynote speeches and panel discussion, and other form of translation may be arranged for break-up sessions

Overarching theme: Globalisation and Place-based education

Sub themes: virtual experiences, local area and school, livelihood, community and child rearing

Keynote 1: Prof. HAYWARD Bronwyn, political scientist, New Zealand
“Children and Citizenship: the global challenge in an urban century”

Keynote 2: Mr. BENGS Karl, architectural designer, Germany (resides in Japan)
“Revival of old Japanese houses – Why Japanese throw away ‘gems’ and take up gravel”

Keynote 3: Mr. MOMOI Kazuma, photographer, nonfiction writer, Japan
“Ladakh, India – traditional societies protected or vanished”

Break-up sessions (Themed seminars)

  • Session 1: What do you mean by “I understand” – in the time of virtual experiences
  • Session 2: Community and School – folding school down
  • Session 3: Economy of live and living
  • Session 4: Community and child rearing – experiences of forest kindergarten

Schedule: The timing may change on the day.

Day 1 (Jan 21) at Rikkyo University
10:00 Opening
10:10 Keynote 1
11:10 Keynote 2
12:05 – 13:15 Lunch break
13:15 Keynote 3
14:00 Introduction of the break-up sessions, and move to respective rooms
16:00 Re-union; sharing and summary
17:30 Reception (with fees)

Day 2 (Jan 22) at Waseda University
10:00 Opening, Panel discussion 1 – based on questions and issues of Day 1
12:00 – 13:30 Talking lunch – discussion with guests and other attendees, over your own packed lunch.
13:30 Panel discussion 2 – gathering topics from the lunch discussion
15:30 Summary and closure

Committee members;
Prof. ABE Osamu, Rikkyo University
Prof. ANDO Toshihiko, Saitama University
Dr. ITAGAKI Jumpei, Kobe University
Dr. KIMATA Mikio, Fellow, Tokyo University of Foreign Studies
Dr. SASAKI Toyoshi, Kurikoma Kogen Nature School
Mr. SAKUMA Norio, Nature Conservation Society for Dewa Mountains
Dr. TOYODA Mitsuyo, Niigata University
Mr. YOKOYAMA Ryuichi, Nature Conservation Society Japan
Prof. TAKANO Takako, Waseda University, Executive Director, Ecoplus

Supported by Japan Fund for Global Environment

Co-organizer;
Research Center for Education for Sustainable Development, Rikkyo University.
Center for International Education, Waseda University

Organizer;
Ecoplus, a registered NPO in Japan

インド・ラダック~守られた伝統社会・失われた伝統社会~

今回の国際シンポジウムで登壇予定だったインド・ラダックのタシ・アンチョックさんがご家族の事情で来日できなくなってしまいました。

シンポジウムでは、アンチョックさんを紹介いただいた写真家でノンフィクション作家の桃井和馬さんに、世界140カ国での紛争などの取材経験とあわせ、ラダックを舞台にしたグローバリゼーションと地域の状況を語っていただけることになりました。

美しい写真とともに、移り変わるラダックの様子を語っていただきます。21日の午後に登壇いただく予定です。

桃井さんの経歴は以下の通りです。

写真家、ノンフィクション作家  桜美林大学特任教授

1962年生まれ。これまで世界140カ国を取材。「紛争」「地球環境」「宗教」などを基軸に、独自の切り口で「文明論」を展開。第32回太陽賞受賞。主要著書に「もう、死なせない!」(フレーベル館)、「すべての生命(いのち)にであえてよかった」(日本キリスト教団出版局)、「妻と最期の十日間」集英社、「希望の大地」(岩波書店)、他多数。共著「3・11メルトダウン」(凱風社)、「東日本大震災ー写真家17人の視点」(朝日新聞出版)他多数。市民発電事業「一般財団法人 多摩循環型エネルギー協会」代表理事、「多摩グリーンライブセンター『がん哲学外来』カフェ」の運営にも関わる。

http://www.momoikazuma.com/

瀬戸内のみかん酵母パンが登場・・22日のランチミーティング

 国際シンポジウム2日目、早稲田大学でのプログラムでは、昼食時に、グループに分かれたランチミーティングをします。

この場に、瀬戸内海の大三島のジビエ、イノシシ肉のリエットを使ったサンドイッチとクルミとイチジクのパンが登場します。セットで500円!事前予約を取ります。限定40食。同地に移住した小松洋一さんの作品です。

ランチセットの予約は以下からお願いします。

以下、小松さんの説明です。

<ランチに提供する”みかん酵母パン”>


地域特産品の「みかん」から野生酵母を培養してパンを焼いています。酵母菌が粉そのものをしっかりと発酵させているため、栄養価が高くて消化にもよく、とっても美味しいパンです。ランチにご提供するのは、みかん酵母のライ麦パンで作った大三島産猪肉のサンドウィッチ&有機くるみと無花果パンのセット(500円/40食限定)です。大三島では年間800頭以上のイノシシが捕獲されています。一部は島の解体処理場で食肉加工され、都内の高級フレンチや料亭で使われています。今回はその猪肉をリエットにしてサンドします。

日頃の取り組みは次のブログで紹介しています。
「瀬戸内海の大三島で薪窯を作って、みかん酵母パンを焼く全記録」
http://organic-bread.blogspot.jp

<略歴:小松洋一>
NPO法人エコプラスのスタッフとして愛・地球博の地球市民村で働いたことをきっかけに、エディンバラ大学大学院(Ecological Economics専修)に留学。帰国後、マーケティングリサーチ会社に勤務しながら国内外の消費財メーカーのマーケティングに従事する。第1子誕生を機に退職して、東京から瀬戸内海の大三島に移住。島の役場で働く傍ら、特産品の「みかん」から酵母を起こしてパンを焼く取り組みを開始。2018年春に大三島でパン屋をOPENする予定。

子どもと環境と民主主義を考える・・・ヘイワードさん

ブロンウィン・ヘイワードさん(Bronwyn Hayward)

ニュージーランドのカンタベリー大学准教授。政治・国際関係学部長。気候変動などの環境問題と子どもの教育、民主主義などを複合的に研究。2016年気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「1.5度への見通し会議」専門家の一人。英国の「持続可能な繁栄の理解センター」や、ノルウェーのオスロ大学での「若者の声とビジョン」など世界をつないだ研究でも知られる。

 最新の著作は、「Children, Citizenship and Environment; Nurturing a Democratic Imagination in a Changing World」。出版元のルートリッジ社の説明には、以下のような説明があります。

https://www.routledge.com/Children-Citizenship-and-Environment-Nurturing-a-Democratic-Imagination/Hayward-Jackson-Dobson-Hart/p/book/9781849714372

今の時代に育つ子どもたちは、4つの新しい課題に直面しています。危険をはらんだ自然環境の変化、弱まる民主主義、広がるばかりの社会的な格差、そして、かつてない若者の高い失業率といつまでも続くはずがない資源の浪費に象徴されるグローバル経済です。しかし、同時に変革への若いエネルギーも世界のあちこちに見ることができます。

 この本では、市民教育や環境教育への新たな課題を探索します。若者たちが、自分たち自身に対して影響を与える課題に関して、どう対応するかを学ぶプロセスと、どう、教育者や研究者、親、地域社会が支えるか、その責任と可能性を探ります。

政治学者として議論を巻き起こし、同時に希望を示している著者は、新自由主義的な民主主義における若者のシチズンシップに関する概念を再検討しています。彼女は、ニュージーランドのさまざまな事例を比較しならが議論を展開しています。ニュージーランドの若者たちは、この地球全体に対する自分たちの義務というものを意識していると繰り返しています。一方で社会的にはひどい状況にも直面しています。著者は、エコロジカルなシチズンシップに関するSEEDというモデルを開発しました。協働意識(Social agency)、環境教育(Environmental Education)、社会正義( Embedded justice)、分散された熟慮の民主主義(Decentred deliberative democracy)、そして自己の超越(Self transcendence)です。このモデルがどのように若者の民主的な想像力をかきたて、社会正義への参加意識を育むのかが議論されています。

環境を心配する人々、市民科学者、そして世慣れた懐疑主義の人々には、この本は多様なシチズンシップのありようを示し、同時に、多くの試みが、若者たちが変化を生むことをより困難にしているのかを論じています。とりわけ8歳から12歳の子どもを対象とする教師たち、環境市民教育に関わる実践者たち、さらに環境変化や民主主義、世代を超えた正義などに関心を持つ学生や研究者たちに資するものです。成長なき反映の著者であるティム・ジャクソン氏が賛辞を寄せ、欧米を代表する研究者、アンドリュー・ドブソン氏とロジャー・ハート氏もまえがきを寄稿しています。本書の著作料の半分は、クライストチャーチの大地震に関する貧困支援に提供されます。
彼女のブログは、以下から参照下さい。http://growing-greens.blogspot.co.nz/
Youtubeでも見ていただけます。http://www.youtube.com/watch?v=kptEw1aZXtM&feature=youtu.be