豪雪の山里で大学生が「サービスラーニング」

すっぽり埋もれた1階の窓ぎわを掘り出す。

 新潟県南魚沼市栃窪集落で、2017年2月5日から8日まで、立教大学のサービスラーニング「RSL-南魚沼」が開かれました。サービスラーニングは、現場で奉仕活動をしながら実社会を学ぶ手法で、日本国内でもいくつかの先進的な大学で取り組まれており、立教大学は過去2年の試行を経て、今年度から正規科目として位置付けられました。

 参加したのは、1年生から3年生までの18人。政治、経済から心理、文学、社会など多様な学部学科からの参加でした。

地元のお宅で集落の農業について話を伺う。

 栃窪集落は、戸数54、人口約160人。半数の家庭が高齢者が1人か2人で暮らしている過疎の集落です。学生たちは、集落の長老から集落の状況についての講義を受けました。
「生活の営みとして何百年と続いてきた稲作は、産業としての農業になることを求められてきた」
「農地を集約して出来る大規模農家以外は、農家はいらないとされて、その結果として、過疎高齢化がさらに進むしかない」
「10年後に何軒の家がここに残っているか。集落の存続が危ぶまれる」
そんな生々しい現状に、学生たちは息を飲んでいました。

 期間中の奉仕活動は、高齢者宅などの除雪作業。まったく経験のない学生がほとんどだったので、スコップやスノーダンプといった除雪道具の使い方を地元の方に教えてもらい、作業にかかりました。屋根から落ちてきた雪で1階部分の窓が完全に埋まった家が多く、窓際部分を除雪して、室内に光が入るようにがんばりました。

伝統の輪かんじきをはいて背の丈以上もある雪の上を歩く。

 2日目には、全校児童が10人になった地元の栃窪小学校を訪問。子どもたちが行っていた豆まきの行事に加えてもらって、一緒にゲームなどもしました。3日目には、家庭訪問。4つのグループに分かれて、別々のお宅を訪ね、雪国の暮らしや昔と今の変化、これからの村の姿などについて話を聞かせてもらいました。

 最終日の発表では、「都会ではまったく気付かなかった、水や米と自分とのつながりに気付けた。日々の暮らしが遠くの場所にもつながっているんだと感じた」「自分だけのために生きるのではなく、地域や社会で自分の役割がある、自分のためだけではない生き方に気付いた」「都会のものにあふれる豊かさとは違う、別の豊かさがあることが分った」「参加したほかの学生とここまで一生懸命に議論できた」などという感想が聞かれました。