感覚を開き、場との繋がりを築く

「壁のない公立学校」のSeanさんによるワークショップ

ショーンさんのワークショップはじまります
ワークショップはじまります

 2026年9月21日、エコプラスは新潟県南魚沼市の八海山麓スキー場にて、カナダから来日したSean Blenkinsopさんを講師に迎え、ワークショップを開催しました。Seanさんは全てのカリキュラムを屋外で行う、「校舎を持たない公立学校」をカナダのバンクーバーの学校区で開始した際の立ち上げ者の一人です。

 Seanさんは9月19日・20日に行われたエコプラスの「田んぼのイロハ 稲刈り編」にも参加し、泥だらけの田んぼに入っての稲刈りを経験しました。今回のワークショップには、小学生を含む地元のご家族や、関東・名古屋から参加した高校生・大学院生を含む計16名が集まりました。Seanさんは、2024年2月にも東京と南魚沼でワークショップを実施しています。今回の参加者の中にはその時ぶりの再会を喜ぶ人もいました。

 ワークショップの趣旨は、感覚を開き、場とのつながりを築くことでした。約2時間の中で、3つのアクティビティが行われました。一つ目は、身の回りから虹を構成する7色の「何か」を集め、参加者全員で虹を作るアクティビティです。感覚を開き、身の回りにある美しさに目を向けることを目的としました。参加者にはそれぞれ担当する色が割り振られ、その色の葉っぱや花、生き物などを探して集め、虹の形に並べました。

 参加者はそれぞれ別の方向へ散らばり、「〇〇色あったよ!」と教え合いながら、手いっぱいに材料を集めていました。最後には、石や花、苔、葉、枝など、さまざまなものが集まり、きれいな虹が完成しました。参加者からは、「季節によって集まるものが違うだろう」という声や、「カナダでは虹は何色?」という質問も上がり、国による虹の色の違いも話題になりました。一つのアクティビティをきっかけに、さまざまな話題へとつながりました。

二つ目のアクティビティは、場とのつながりをつくることが目的でした。Seanさんは、「周囲を自由に歩き回り、自分を呼んでいるもの、何か惹かれるものを見つけてください。しばらくその場に留まって、それと友達になってみてください」と参加者に呼びかけました。それぞれが「友達」を見つけた後は、3〜4人のグループに分かれ、自分が見つけた新しい友達をグループのメンバーに紹介しました。その際、どんなところに惹かれたのか、どんな友達なのかを説明しました。参加者は、蜘蛛の巣に引っかかった葉や川の流れる音、一帯の光景そのもの、一本だけ伸びるすすき、ふかふかの苔などそれぞれに異なる友達を見つけていました。

 参加者からは、「人によって見方が全然違うことに驚いた」、「好きなものについて話すことで、話した相手とも仲良くなれた」、「自分の友達である木を紹介することを通して、自分自身のことを紹介しているような感覚になった」といった声が聞かれました。

 最後のアクティビティでは、同じグループでそれぞれの「友達」が登場する1分間の物語を作って発表しました。これまでのアクティビティで触れてきた感覚や美しさ、場とのつながりに加えて、想像力と創造力、認識や感情を取り込む活動でした。年齢の異なる参加者同士が協力しながら、「弱ったトンボが元気なバッタに変身し、クモに捕まった葉っぱを助ける話」や、「大人の木になるために、7つの匂いを集める冒険に出るどんぐりの話」など、それぞれのグループから独創的な物語が生まれました。特に、子どもたちの自由で豊かな発想が主役となりました。

 ワークショップが開催された地域に住む参加者からは、「いつもここにはスキーやマウンテンバイクなど、特定の目的があって来ていたが、視点を変えてみると、無限の世界が広がっていることに気づくことができた」という声が聞かれました。普段とは異なる視点でその場を見つめることで新たな発見や学びが生まれることや、場そのものが持つ学びの力に気づく、Seanさんのワークショップでした。

Sean Blenkinsopさん

 Sean Blenkinsopさんは、カナダのサイモン・フレイザー大学の教授。ハーバード大学で教育哲学を専攻、博士号取得。2008年に、公立のメイプルリッジ環境学校(The Maple Ridge Environmental School)を開校。校舎を持たず、野外や地域の図書館などで、幼稚園から7年生(日本の中学1年生)までの教育を展開。その後も別の学校で、12年生(日本の高校3年生)までの教育を同じように、校舎に入りっぱなしでないやり方で学びを展開してこられました。自然を共同教師(co-teacher)とし、自然環境の中を重要な学びの場とする新しい学びの文化を作り出そうとしています。