エコプラスは、アラスカの少数民族ユピックの教育者シシリア・マーツさんを迎え、地域に根ざした教育についてのワークショップを、東京以外で共催していただける団体を公募中です。
NPO法人エコプラスは国際交流基金日米センターの助成を受け、「アラスカ先住民族の自然観を通して、地域に根ざした教育を考える日米市民プロジェクト」を実施します。プロジェクトに参画し、地域でワークショップを企画する団体を募集します。
1.事業の目的
日本は急速な近代化の結果、自国に存在する以上の多大なエネルギーを消費することでしか維持できない「発展」を手にし、地球全体の「持続可能性」が議論される今、これからの指針が模索されています。これからの社会を作って行くための教育も、見直しが必要です。
欧米の環境哲学・環境/野外教育の研究者らの間には、先住民族の世界観や自然とのつながりを学ぶことが環境問題の解決に重要な役割を果たすとの認識が広がってきています。一方で、アラスカ先住民族の自然観や文化は、日本の人々が古くから持ち続けてきた価値観と共通する要素が多々あります。
本プロジェクトでは、アラスカ先住民族の自然観や環境と調和した暮らしを維持する知恵などを市民レベルで共有しあうことを出発点に、それぞれの地域が他の地域に環境負荷を押し付けることなく共存していける地域社会づくりを目指した「地域学」とでも呼べる知的交流を目指します。
最終的には、地域の歴史・伝統・特性を知り、地域の持続的存続を構築できる次世代を育む「地域に根ざした教育」のあり方を、日米が協力し合って議論し続けるネットワークづくりへと発展させることを目的としています。
2.事業の概要
主催:特定非営利活動法人ECOPLUS
共催:損保ジャパン環境財団(東京講演会)
助成:独立行政法人国際交流基金日米センター
後援:社団法人日本環境教育フォーラム
社団法人日本キャンプ協会
日本環境教育学会
日本野外教育学会
招聘者:レイ・バーンハート氏(アラスカ大学教授)
※東京、塩沢のみ
シシリア・マーツ氏(ユピック民族教育家)
マイケル・マーツ氏
(ベセル放送局シニアプロデューサー)
招へい期間: 2006年11月23日〜12月5日
11月25〜26日
ワークショップ1:新潟県南魚沼市塩沢地区
11月27日
講演会:東京
11月29〜30日
ワークショップ2:公募により、開催
12月2日〜3日
ワークショップ3:公募により、開催
3.三地域でのワークショップ概要:
◇参加者:各地域で環境教育を行う指導者、関心をもつ住民ら約30人
◇ワークショップの内容:
1日目:先住民と教育についてのレクチャーおよび意見交換
アラスカの専門家より、理論の枠組みの提示と、それに基づく意見交換。
2日目:地域に根ざした教育のプログラム作り、課題の話しあい
全員で、開催地域の文化、伝統、食文化などを体験。その体験を素材として、地域に根ざした教育の具体的なプログラム作りをグループで行う。その可能性と課題を出し合い、対話を重ねる。参加者に応じてそれぞれのアクションプラン、プログラムデザインを実施。全員でシェアリング。意見交換。
4.東京講演会概要:
会場:損保ジャパン会議室(東京・新宿)
開催日:2006年11月27日 18:30-20:30
招へい者が講師となっての講演会。東京の一般市民、関心を持つ指導者らが対象。
5.ワークショップ開催地の公募について
これまで紹介されることが少なかった、アラスカ先住民の教育に対する考え方を知る機会を広く作るため、そして「地域に根差した教育」に関心ある人たちとのネットワークを広げるため、このプロジェクトでは、招聘された人たちを受け入れ、各地域でワークショップを開催する意志のある団体を二つ公募します。
興味のある方はぜひお申し込み、お問い合わせください。
■ゲスト:シシリア・マーツ氏(ユピック民族教育家)
マイケル・マーツ氏(ベセル放送局シニアプロデューサー
ゲストのシシリアさんはユピック民族の著名な「エルダー」です。英語をまったく理解しない4歳の時から、寄宿舎生活で学校に通い、ユピック語を知らないアメリカ人教師たちに「教育」されました。少数民族では初めての頃に教員免許を取り、教壇に立ちましたが、大学で教わった教育手法がユピックの文化や伝統と合わないことを無視できず、独自の教育方法を編み出して行きます。今では、文化やその土地に合った教育の推進者として、世界各地にスピーカーとして呼ばれています。
マイク・マーツさんは、アラスカのベセル放送局でシニアプロデューサーをしています。教師を務めた後、アラスカ先住民族の文化や伝統をとりあげたドキュメンタリー番組を多く手がけてきました。マイクさん自身は、「白人」のアメリカ人ですが、シシリアさんをパートナーとして支えています。
■ 受け入れのための経費
招聘した2名とアテンド1名の交通費や食費などの基本的な経費はプロジェクトでまかない、ワークショップ開催のために必要な費用の一部として5万円を提供します。
■ ワークショップの内容
当団体と相談しながら進めて行っていただければ幸いです。
■受け入れの条件
1)「地域に根ざした教育」に何らかの形で関わっている、取り組んでいること。
2)指定の日程のどちらかでワークショップを開催し、参加者を集めることができること。
3)互いに学びあう趣旨から、アラスカからの講師らにとって参考になるものを提供できること。
4)ワークショップでの成果をその後、活用できること。
5)今後「地域に根ざした教育」に関心を持つグループや個々人のネットワークに参加できること。
6)実施後の簡単な評価レポートや、報告書作成に文書を寄せるなどの協力ができること。
■選考基準
1)過去の実績・具体的な参加者像・ワークショップの広報手段など、確実にワークショップを実施できることを示す何らかの証拠があること。
2)成果が広範囲に影響を与えうる仕組みを有しているか、その可能性を持つ参加者(見込み)層であること。
3)アラスカ招へい者らの参考になり、これからのつながりも期待できるグループであること。
4)アラスカ先住民を筆頭とする講師らから学びたい意欲が十分に伝わること。ならびに相互に学びあい、理解しあう姿勢を持つこと。
■応募の仕方
以下の項目について記入し、メールにて下記までご応募ください。
info@ecoplus.jp
・ 団体情報(団体名、住所、電話、ファックス、メール、代表者名、規模、
過去の活動実績)
・ワークショップ開催を希望する理由
・ ワークショップの企画内容(概要)
・ ワークショップ見込み参加者(どんな人たちが何人くらい)
・ アラスカ先住民を筆頭とする講師らからどんなことを期待しているか
締め切りは7月7日(金)です。結果は7月15日までにご案内いたします。
【お問合せ先】
特定非営利活動法人エコプラス
〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-5-16 本門ビル4階
TEL: 03-5294-1441 FAX: 03-5294-1442
担当 村橋