
新潟地方はようやく6月19日に入梅。平年より9日遅れだそうです。
ようやく新潟地方も梅雨になり、時折雨がぱらつくようになりました。
が、まだまだため池はからっぽです。本格的な雨が欲しいと農家のみんなは天を仰いでいます。
あまり雨がないので、せっかく代かきした田んぼもまた固まってしまい、再度の代かきができないまま、田植えがずるずると後回しになっている田んぼもあります。
稲の苗は、田植えした時に比べて、茎がいくつも出てきて水面がかなり見えなくなりつつあります。

新潟県南魚沼市栃窪集落で、今年度から始まる休日農業講座「山の上のかあちゃんの畑と料理」の1限目が行われました。
2008年6月15日(日)、「TAPPO南魚沼やまとくらしの学校」がある新潟県南魚沼市栃窪集落で、今年度から始まる休日農業講座「山の上のかあちゃんの畑と料理」の1限目が行われました。
南魚沼市内にお住まいでも嫁いでからずっと畑仕事をしたことがないという女性、「田んぼのイロハ」に昨年度から家族で参加してくださっている親子、シンガポールで中学校の先生をしている女性(オブザーバー)…以上の4名と、同じ「山の上のかあちゃん」でも畑をしたことがないというかあちゃんも1人加わってのスタートです。
10時に集落センターで開講式をして、山の上のかあちゃんこと桑原祐子さんの畑へ移動。気持ちの良い青空の下清々しい風がふき抜ける素晴らしい天気の中、鍬で畝を作り、大豆の苗を植えました。
昼食では、栃窪で穫れた食材がふんだんに使われた祐子さん手作りのごちそうをいただきました。
午後からは集落散策を兼ねて、毎月TAPPOが集落のみなさんと行っている生態系調査「とちくぼ生き物プロジェクト」にも約2時間参加しました。
その後おみやげを手渡したり次回の連絡をしたりした後、参加者から
「本当の贅沢だと思った」
「いつもは買って食べているけれど、今日は大地を耕して、店では売られていない手作りのものをいただくことができた。」
「鍬を使うのは難しくて、自分は何をしているかわからなかった(笑)」
などの感想が聞かれました。
そして16時に解散となりました。
次回は7月12日(土)10時からです。笹団子に使う笹の葉を採ります(11月1日ー2日の最終回ではこの笹を使って笹団子を作ります)。旬の地元食材を使った大好評「栃窪ランチ」もお楽しみに。
宿泊が可能な方は、翌日催される集落の夏祭り(集落のみなさんが鎮守様を担いで集落を練り歩く、というものです)を見ることもできます。*プログラムには含まれません。
みなさんのご参加をお待ちしています。
http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=8&aid=534
開講式ではそれぞれ自己紹介をし、続いて「山の上のかあちゃん」こと桑原祐子さんより、あいさつとこれからのスケジュール発表、畑やそこにやって来る動物についてのお話がありました。
開講式ではまず参加者が自己紹介をし、続いて講師を務めて下さる「山の上のかあちゃん」こと桑原祐子さんより、あいさつとこれからのスケジュール発表がありました。祐子さんは実は東京から栃窪に嫁いで来られ、畑のことはおじいさんおばあさんに教わってできるようになったそうです。今では5カ所も畑を使っていて、今回はそのうちの1カ所に大豆を植えさせてもらいました。
「大豆を植える」と聞いて、「“大豆を植える”というのは、豆をまくんですか?」と参加者から質問。「豆をまくとカラスが見ていて、まいたそばから食べてしまうので苗を植えます。」「昔は豆をまいていたけど、今のカラスはかしこくなったから」という祐子さんの答えに一同「へえ〜」と感心。さらに、
* 昔は枝豆のことを「畦豆(あぜまめ)」と言って大豆は決まって畦に植えていたこと
* 畦に豆を置いて田んぼの泥をかぶせてやると水分がちょうど良かったということ
* 今は畦に植えると豆が実った頃にタヌキが来てかじってしまうこと
など、畑や作物を通じた動物とのかかわりを知りました。
開講式が終わるとすぐに祐子さんの畑へ移動。集落センターから車で2〜3分下った、シャトースキー場駐車場の少し上辺り、栃窪側の道路脇に小道があります。
祐子さんの後に続き、桑の木のトンネルをくぐり、傾斜のあるその小道を3分くらい登って行くと、2段にわかれて祐子さんの畑がありました。斜面に向かって右側はスキー場で、リフトの鉄柱も見えます。面積は全部で約1反。見晴らし抜群!南魚沼を一望に収めることができます。
まずは分担して畝づくりと大豆の苗の移植をしました。
畝づくりは、予め祐子さんが作ってくれていた10メートルくらいの畝がすでにあったので、溝の部分の雑草を鍬でけずるようにしていくという作業でした。初めて鍬を使った参加者はうまく扱えず苦戦。その横でサクサク畝を作っていく祐子さん、さすが!
できた畝からどんどん苗を植えている間に、気が付くと7本の畝ができていました。
大豆の苗は祐子さんが畑の一画で豆から育てたもので、長さは10㎝くらい。小さい双葉と黄緑の本葉が広がっています。
根を傷つけないように深めに鍬を入れ、少し苗を持ち上げます。根が絡み合ってかたまりになっている苗を、ほぐしながら1本ずつにします。
畝ができたところから苗を植えていくのですが、このとき2本1組にするのが上手に育てるポイントなのだそうです。1本では競争する相手がいないのでそれほど大きくならず、3本では多すぎて栄養が行き届かず、結局2本植えるのが一番いいそうです。一同「なるほど!」「何事も欲張ってはいけないのね」と納得。
1組植えたら、足ひとつ分間隔を空けて次の1組を植えていきます。足運びにも決まりがあって、交互に踏み出して重心を乗せる足で間隔を測り、空いている足は植えた大豆を踏まないように真後ろに置いておきます。
そうした作業の間も、大豆の根が持つ成分を活かして土壌を改良することや、秋に土の具合を見て次の年の作物を決めること、大きい実が実ったり長い期間実り続けたりする作物は畑を疲れさせることなど、祐子さんが栃窪に嫁いでからおじいさんおばあさんに教わったお話を伺いました。
オーナー田んぼは好天続きで、成長にはいいのですが、水が不足してきました。
今年は、梅雨になかなか入りません。
好天続きで気温が高いのは稲には都合がいいのですが、田植え直後のこの時期は、水を最も必要とする時期です。
水は、夜間の保温効果があるほか、雑草が茂るのを防いでくれます。水がないと畑のように雑草がわさわさとわき出てきて大変なことになります。
が、雨が降らないまま、ため池の水位はどんどん下がります。大きな川がない傾斜地である栃窪の田んぼは、昔から雨が頼りでした。雨をため池にためて、それを上から順番に下に流して、稲を育てたそうです。
「線香を、水の取り入れ口に立てて、それが消えたら、隣の田に水を入れた」「夜中にこっそり自分の田んぼに水を引きにいった」「それを互いに見回っていたものだ」など、田んぼの水争いに関してはお年寄りたちはいろんな話をしてくれます。
すっかり干上がったため池からの水が流れる田んぼでは、ひび割れも出てきました。
幸い、オーナー田んぼの上にあるため池はまだ少し水が残っていて、田んぼにも水が溜まっている状態です。
雨が欲しいところです。
苗を植え終わったら、次は水やりです。水道が通っているようなところではないので、蛇口をひねればいいと言う訳にはいきません。
水汲み場まで往復すると3〜4分かかるので、1滴の水も無駄にしないのが祐子さん流です。バケツで汲んで来た水をジョウロに移すときも、植えた苗のすぐ近くにジョウロを置きます。こうすればこぼれた水も苗にかかるので無駄にはなりません。
これで大豆の苗を植える作業は終了です。
一息入れた後、祐子さんの多彩な畑を案内してもらいました。金時豆、青豆、ニンニク、ジャンボニンニク、カボチャ、イチゴ、ジャガイモ、キャベツ、タマネギ、山芋…。きれいに区分けされて、整然と作物が植えられていました。イチゴは今が食べ頃で、みんなで収穫させてもらいました。下の方の斜面にはワラビも生えていました。
6月15日(日)、夏の訪れを告げるホトトギスもピョピョピョ ピョピョピョ と鳴く、初夏の気持ちいい快晴の日の午後、2008年度栃窪いきものプロジェクト第2回が新潟県南魚沼市栃窪集落で行われました。
参加したのは、22人(子ども11人、大人11人)。集落の方17人に同じ南魚沼市内からや東京からの参加者も加わりました。今回は、清水が流れ込む空き地「清水端」と第1回でも行った山「天王さま」にいきました。
清水端は、上杉謙信も通ったという栃窪峠に続く古道沿いにある空き地です。冷たい清水が流れ込んでおり、いくつが深い水たまりができています。ここでは、4種類のカエル、イモリ、サンショウウオの両生類や、レッドリストに載っているシナイモツゴという魚、他にもコオイムシやイトトンボのヤゴなど虫も多く確認されました。
地元の小学生の「身近なところにたくさんの生き物がいるんだな」との感想に「弱い生き物である両生類がたくさんいるということは、とても良い環境があるということ。それが人の家のすぐ近くにあることは素晴らしい。」と講師の深沢先生。
去年から継続して参加している地元の小学生は「秋に見た時より生き物が減った。季節の違いを感じた。 」とコメントしました。継続的に観察するとより多角的な視点をもつことができるだと気づかされました。
「天王さまの森が涼しくて幸せだった」
天王さまは、針葉樹と広葉樹が交じりあった森で、森に一歩足を踏み入れると、冷んやり気持ちいい。「森の中は温度が一定で乾燥もしない。そして、ここは特に針葉樹と広葉樹が交じりあった森なので、生息する生き物の種類も多い。」と深沢先生は教えてくれました。早速のセミの鳴き声を聞いたり、クスサンというガの繭やホウの実、リスがかじった後のクルミ、キツツキが開けた穴のある木、大きなブナの木と足下に広がるブナの子どもたち。たくさんの生き物がこの森にいることを感じました。
また、前回見つけたタヌキの穴は今回も健在でしたが、新しい糞の形跡がなかったり、タヌキの皮膚のついた毛が落ちていたりしたので、何者かに襲われた可能性が考えられるということでした。
「とにかく気持ち良かった。癒された。」「昔はこんな風に遊んでいたが、今は仕事場と家との行き帰りなので、久しぶりに童心にかえった。カワニナやドジョウが昔に比べて少なくなっていた。」と参加者の感想がありました。
定点観測では、前回よりも多く、オタマジャクシ2種、マルタムシ、イトトンボのヤゴと幼虫、コオイムシ、アメンボ、ゲンゴロウの幼虫が観察されました。
お楽しみの「栃窪ランチ」の時間です。
お楽しみ「栃窪ランチ」は祐子さん特製ビビンバと他5品。
* ゆでアスパラ
* エリンギとニンニクの芽の味噌炒め
* 小松菜のみそ汁
* カブとカブ菜の浅漬け
* 杏仁豆腐×さきほど収穫したイチゴ
食材だけでも20種類ちかくあるのに、買った食材は3種だけで、あとは全部祐子さんの作った野菜。もちろん味噌も大豆から自家製!昔はどの家も自家製だったそうですが、今では少ないとのこと。
ここでも、使われている食材や味噌について、話題は尽きませんでした。
昼食後は散策を兼ねて「とちくぼ生き物プロジェクト」に参加。約2時間、地元のみなさんと一緒に集落内の豊かな生態系を観察しました。
(詳細は以下でご覧いただけます。)
http://tappo.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=9&aid=568
集落センターに戻って次回連絡の後、「かあちゃんみやげ」のフキノトウ味噌、きゃらぶき、ヨモギ餅が配られました。どれも栃窪食材を使った手作りの品です。
和やかにいっぷくをしていると、参加者の1人が改めて感想を話し始めました。
「本当の贅沢だと思った。畑作業でも水を無駄にしない祐子さんの配慮など、ハッとすることがたくさんあった。」
これをきっかけに、それぞれが感想を話しました。
「貴重な体験だった。とてもいい経験になった。いつもは買って食べているけれど、今日は大地を耕して、店では売られていない手作りのものをいただくことができた。」
「鍬を使うのは難しくて、自分は何をしているかわからなかった」
などの声が聞かれました。
6月3日。ざっと数えたオタマジャクシの数は50匹にもなりました。
3回にわたってお送りしました「モリアオガエル」の特集も今回で最後です。
アワアワがすっかり消え、卵も見えなくなり、水も濁ってきたことから、この後もとの場所へ帰ってもらいました。
農業の大型機械化に伴い、カエルの数は減っています。コンバインを田んぼに入れるためには田んぼをカチカチに乾かさなければならず、オタマジャクシがカエルにならないうちに水が抜かれてしまうのです。そうなると田んぼの生態系もこわれて、特定の生き物が増えたり減ったりする訳です。
身近に貴重な自然があふれている栃窪集落での生態系調査「とちくぼ生き物プロジェクト」では、こんなふうにすてきな生き物との出会いがあります。これからも乞うご期待!