雨と自然を感じながら、無農薬田んぼで稲刈り

Harvesting Workshop in Organic Rice Paddy under the Rain

 エコプラスは、2020年9月27、28日の週末、新潟県南魚沼市栃窪集落で、休日農業講座「田んぼのイロハ」の稲刈り編を行いました。新型コロナウイルスの対応のため例年の1泊2日ではなく、日帰りを基本とした自主参加企画として実施しました。2日間で24人が、無農薬田んぼでの稲刈りに挑みました。

On September 27 and 28 in 2020, ECOPLUS organized a workshop on harvesting organic rice as a part of “ABC in a rice paddy” in Tochitsubo village, Minamiuonuma , Nigata. Due to the situation of COVID-19, we conducted it as a voluntary participating event without overnight stay unlike the usual workshops. Through 2 days, 24 people participated in this event on the non-chemical rice paddy.

雨の中、刈った稲の束ね方を教わる。Learn how to tie the harvested sheaf of rice in the rain.

 天候はあいにくの雨模様。参加者は雨合羽を着て長靴を履いての作業となりました。地元の笛木晶(ふえき あきら)さんの指導で、カマの使い方と刈り取った稲をワラで束ねる方法を教わりました。特に束ねる技が名人芸。まるで手品のようでした。

Under the very wet weather condition, participants needed to wear rain gears and boots. From Mr. FUEKI Akira who has been taking care of the rice paddies, we learned how to use sickles to harvest rice and the way to tie harvested rice with rice straw. His tying skill was eye-opening and it was just like magic.

 いざ開始・・・。刈り取ったはずなのに稲穂が残っていたり、束ねたのにゆるゆるで崩れたりの悪戦苦闘。さらに追い打ちをかけたのが、雨で田んぼがドロドロの底なし沼状態。膝まで埋まって足が抜けない抜けない。転んだら全身泥だらけ。これが一番参加者を苦しめたのではないでしょうか。

We started harvesting….however, it did not go so easily! It was actually difficult to cut all the stems of rice with sickles clearly. Tying the harvested one with rice straw was another problem because it easily becomes loose if you don’t tie it correctly. In addition to this hard situation, the paddy field, which became bottomless swamp due to the rain,  caught our legs even up to our knees and didn’t let it go. What you will see if you fall on the ground is your entire body covered with dirt. I assume this was the biggest point that made us suffer the most this time.

 しかし、2時間もすると、それぞれコツをつかんだのでしょうか、自分の世界に浸ってもくもくと作業する人、世間話をしながらマイペースで作業する人。

However, in less than 2 hours, we gradually started to get the hang of it.  Some people were just concentrating on their work. Some people were working while having conversations with others.

 不思議なもので、いつのまにか連帯感が生まれます。ドロドロ対策で、ブルーシートを手元に置いて中間集積場所を作ったり、稲を干す稲架(はざ)にかけるために、田んぼを往復しないで稲束をバケツリレーのように投げてかけるなど、チームワークが発生します。束ねた稲は、ちょっとくらい乱暴に扱っても穂は落ちません。

As the time went, a sense of solidarity was created among the participants somehow; automatically we set the bluesheets near each of us as a halfway point to collect the harvest sheaf of rice so that we could minimize the walking distance on the muddy ground. Being in the line and doing a relay the sheaf of rice was also helpful in putting them on the rack to dry them easily. The sheaves of rice that were tied tightly didn’t get loosened even if it was treated roughly a little bit.

 泥にまみれ、ずぶぬれになりながらも、ほっとさせてくれるのが、田んぼにいる生き物たちです。特に人気だったのが、シュレーゲルアオガエルです。これぞカエルという美しさとかわいらしさに、普段は虫も触ったことがない女の子がカエルを撫でていました。

The creatures living in the paddy were an oasis for us having hard time due to working in a muddy and wet condition.  “Schlegel’s Green Tree Frog” was an especially popular star among us. Even the girls who do not touch the insects usually were rubbing the frog who have such an adorable look of typical frog.

稲の間から登場してきたシュレーゲルアオガエル。目の上下が金色に輝き、体は鮮やかな黄緑。“Schlegel’s Green Tree Frog” who popped up from the middle of the sheaf of rice. The upper and down part of her eyes were shining gold and the body had a vivid yellow green colour.

 無農薬の田んぼで、そして機械ではなく手で稲を刈るからこそ会える生き物たちなのです。

We could only see these creatures because it was on the paddy field without any pesticide and working with our own hands but not by the machine.

 2日目のお昼には約1,400㎡の田んぼがきれい刈られて、全て稲架(はさ)に干すことができました。この風景だけでホカホカの新米が目に浮かぶような愛おしさを感じます。来年は、田植えから参加することを決意した人もいました。顔を伝う水は、雨水か汗かそれとも感動の涙?さわやかな達成感を得られた2日間でした。もちろん、翌日は筋肉痛に悩まされましたが・・・。(報告 福井智之)

By the lunch time of the second day, the paddy field which has the size of 1,400㎡ was cleared completely and the rice were all hanged on the drying rack. That scenery was just so lovely to see and I could not help to have an image of newly harvested rice in my mind. Some of the participants made their minds saying “I want to experience planting rice next year but not only harvesting” I wonder what  the liquid going down on the face was. Was it the rain water, sweat, or the tears? A sense of accomplishment was filling our mind at the end. Of course, muscle pain didn’t forget to suffer us the next morning though….! (reported by FUKUI Tomoyuki, translated by HASUMI Chigira)

秋の山に「おやつ」を探すーー子どもデイキャンプ参加者募集(募集終了)

 定員に達しましたので、10月2日午前8時、募集を終了しました。ありがとうございました。

 長く暑かった夏が終わって、秋の気配が深まってきました。新型コロナウィルスの影響で、閉じこもりがちだった子供たちに、自然にたっぷりと触れてもらうデイキャンプを、10月18日(日曜日)に、新潟県南魚沼市清水地区で行います。小学校3年生から中学生までが対象。お早めにお申し込み下さい。

 本事業は、全国で展開される、文部科学省総合教育政策局の「子供たちの心身の健全な発達のための子供の自然体験活動推進事業」の一部です。

新型コロナウィルスへの対応 参加にあたっては、本人やご家族が発熱や、味覚嗅覚の異常がないこと、ご家族が密接な状況での飲食や業務をされていないこと、などを文書で確認させていただいた上での実施とさせていただきます。

  • 【日程・場所】 2020年10月18日、南魚沼市清水地区
  • 【集合・解散】 午前9時現地集合、午後3時半現地解散
  • 【対象・人数】 小学校3年生から中学生、20人
         (事前の健康チェックが必要です)
  • 【参加費】 500円(活動資材実費と傷害保険)
  • 【持ち物】お弁当、飲み物ほか。詳細は参加の手引きで説明します。
  • 【内容】 食べられる植物の実を探したり、水たまりの生物を探したりする自然体験活動
  • 【申し込み】以下のフォームへの入力をお願いします。定員になり次第締め切ります。
  • 【後援】 南魚沼市、南魚沼市教育委員会(予定)
  • 【共催】 南魚沼市環境・野外教育研究会
  • 【主催】 特定非営利活動法人ECOPLUS TAPPO南魚沼やまとくらしの学校
    tappo@ecoplus.jp 090-3214-7549(大前)

シリーズ ヤップでまかれた種たち

第2回:岩崎未央さん

遺伝子研究者の種が歩んだ物語
〜閉塞した空間から広がる世界へ〜

 地球体験チャレンジ「ヤップ島プログラム」30周年を迎えるにあたってスタートした連載企画「ヤップでまかれた種たち」。ヤップを経験した仲間たちのストーリーから、ヤップの意味や価値、そして今後の社会づくりを考えます。

 第2回目のストーリーテラーは、1999年、そして2001年と2回に渡ってプログラムに参加した岩崎未央さん。当時中学生だった岩崎さんは現在、山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所にて特定助教を務め、多能性幹細胞の遺伝子発現解析に取り組む研究者として活動しています。

 思春期の葛藤真っ只中の時期に参加したヤップ島プログラム、当時の想いが研究者としての今にどうつながっているのか、現在取り組まれている研究活動も交えながら、お話を聞かせていただきました。

オンライン・インタビューでの岩崎未央さん

遺伝子の世界に魅せられて

 「研究で色々な種類の細胞を観察しています。ゲノムは同じでも細胞の種類が違うと見た目が全然違うんです。たとえば線維芽細胞という皮膚側にいる細胞、脂肪細胞という脂肪を中にためこむ細胞、神経幹細胞はそのうちに神経として突起が伸びていく細胞。そういう違いを見ていると単純にすごく面白いなと思うんです・・・。」

 山中伸弥教授のノーベル賞受賞を契機に大きく注目を集めているiPS細胞(人工多能性幹細胞)。再生医療に重要な役割を果たすものとして期待されています。

 ヒトの体の中には200種類以上の細胞があります。受精卵という一つの細胞から、そのような特定の種類の細胞になることを「細胞が分化する」と言いますが、岩崎さんは現在iPS細胞研究所にて、多能性幹細胞が分化する時に細胞の中で何が起きているのかについて、タンパク質の解析を通して研究しています。

岩崎グループの仲間と(写真右が岩崎さん)

 穏やかに、内省的に言葉を選びながらインタビューを受ける岩崎さん。細胞について語る時には、Zoom越しにも少しだけ体温が高まるようにも感じられます。

 岩崎さんが人体に関心をもつようになったのは、小学校4〜5年生の時でした。「10歳年下の姪がいるんですが、その子が目に障害をもって生まれてきたんですね。それが子供の時にすごく不思議で・・・」

 身近な親族との関わりを通じて人や科学への思いを募らせる岩崎さん。その後、中学生の頃に見たNHKのドキュメンタリー番組が、岩崎さんの興味・関心を加速させ将来に大きな影響を与えることになります。

 「『脅威の小宇宙・人体・遺伝子』という番組があったんですけど、ここで初めて遺伝子という言葉を知りました。人の細胞は30兆個くらいあるんですが、その1個1個の細胞の中に百科事典1000冊分の情報が詰まっています。その情報が、たとえば脳であったり、肝臓であったり、骨であったり、それぞれの場所で適切に引き出されることで生命機能を維持している。莫大な量の情報が1個1個の細胞に入っているというのがすごく面白くて。そして、このテレビ番組の中で、まだまだわかっていないことが多いと言っていて、自分にもその領域でやれることがたくさんあるんじゃないか、自分がやるべきことはこれじゃないかと思ったんです・・・」こうした体験をもとに、中学生にして遺伝子研究者への道を志すことになります。しかしその一方で、当時の岩崎さんには大きな悩みやフラストレーションと対峙する葛藤の日々がありました。

田んぼのイロハ稲刈り編(9月26-27日=締切ました)

 エコプラスは、休日農業講座「田んぼのイロハ」の稲刈り編を、9月26-27日に、新潟県南魚沼市栃窪集落で開きます。新型コロナウィルスの感染状況はいまだ予断を許さない状況です。今回は、日帰りの活動を2日、連続させる形式で行います。

趣旨
 2,000m級の山々を望む絶景の棚田で、無農薬でていねいに育てられてきた稲の刈り取り作業をします。一株づつ鎌で刈り取り、束ねて天日乾燥します。数十年前まで日本中で続けられてきた作業を通じ、何でも便利、にしてしまった今のありようをともに考えます。新型コロナウィルスの大流行で改めて問われている、新しい生き方のヒントがあるかもしれません。

実施予定日
 9月26日(土曜日)
 9月27日(日曜日)
 それぞれ、日帰り実施とします。

場所
 南魚沼市栃窪地区

内容
 無農薬田んぼでの稲刈り、地域のみなさんからの農業講座、地域散策など。

服装・持ち物
 泥で汚れていい服装でどうぞ。ブヨがいますので、防虫スプレーや虫よけネットなどご用意下さい。田んぼはぬかるみますので長靴は必ず。上下に分かれた雨具も持参下さい。

参加
 通常の1泊2日のプログラムの場合は、参加費10,000円。学生半額。エコプラス会員2割引(宿泊費別)ですが、今回は日帰り開催となります。昼食も持参、傷害保険なども各自で加入いただくこととして、参加費はなし。エコプラスへの寄付(1口3,000円)を出来ればお願いします。

申し込み・問い合わせ
 以下のフォームから参加希望をお寄せ下さい。実施に向けての情報を、逐次送らせていただきます。
定員
 各回20人をめどとします。